医薬品リベート根絶策、早くもきしみ生じる

保健福祉部、入札流れる事態を受け方針転換か

 医療機関と製薬会社がリベートをやり取りする悪習を根絶するため、保健福祉部は、医療機関が定められた上限よりも安い価格で薬を購入した旨を正直に報告した場合、差額をインセンティブとして支給する制度を、今年10月から導入する方針だが、制度を導入する前からすでにきしみが生じている。

 製薬会社がこの制度に対し拒否反応を見せる中、今月に入り、ソウル大(8日)、嶺南大(9日)、忠南大(11日)の各附属病院で行われた、医薬品の購入をめぐる入札が相次いで流れる事態となった。だが、保健福祉部は、根本的な対策を講じるのではなく、制度の導入時期を事実上1年延期するかのような姿勢を見せ、業界はすでに制度の導入が延期されたと見なしているという。

 各大学病院が今回、医薬品の購入に関する入札を行う前にも、一部の品目で入札が2-5回延期され、随意契約が行われたケースはあった。だがそれは、あくまで「一部の品目」であって、今回のように「すべての品目」の入札が流れるということはほとんどなかった。業界では、主な製薬会社が、低価格で落札されることにより、今年10月以降に薬価の上限の調整を図る上で影響が及ぶとみて、大挙して入札に参加したのではないか、との見方が出ている。

 実際、多くの医薬品卸売業者は、今回の入札で各大学病院が示した価格よりも高い価格で入札したり、入札にまったく参加しないケースが多かった。大学病院の場合、公開入札で医薬品を購入していることに加え、製薬会社間の競争が激しいため、以前から低価格での入札が横行してきた。韓国医薬品卸売協会の関係者は、「病院側が示した価格があまりにも安く、製薬会社も(入札に関する)指針を打ち出していないためだ」と語った。

 入札が流れたことにより、病院への医薬品の供給が途絶える恐れがある、という指摘が出てきたのを受け、保健福祉部は今月12日、大韓病院協会や医薬品卸売協会に文書を送り、「10月1日以前に契約を締結した分については、その契約期間とは関係なく、薬価の上限の引き下げの対象から除外する」と通告した。同部はこれまで、「薬価の上限の引き下げは、(契約を締結した時点とは関係なく)10月1日以降に供給される医薬品に適用される」と説明してきた。しかし、入札が流れる事態を受け、これを打開するため、規制を適用する時点を「供給」から「契約」に変えたというわけだ。

 これについて業界では、低価格での薬の購入を自己申告した場合、インセンティブを与える制度について、政府が事実上、施行時期を1年以上猶予したものだ、と解釈している。今年9月30日より前に契約を締結すれば、最低1年間は新たな制度の適用から逃れることができ、さらに病院と卸売業者が3-5年間の長期契約(契約期間は通常1年間)を締結した場合、制度そのものを台無しにしてしまうのではないか、との指摘も出ている。

 保健福祉部の関係者は、「入札が相次いで流れる事態を打開するため、薬価の引き下げの対象を明確に示したものであり、遡及(そきゅう)適用はしない方針だ。また、制度の施行時期を延期したり、猶予期間を与えたりするものではない」と話している。

金慶和(キム・ギョンファ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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