裏金疑惑:韓元首相側と検察が「場外乱闘」(下)
公判の争点は結局、郭元社長の話にどれだけ信ぴょう性があるかということだが、郭元社長は捜査段階での供述を公判で一部翻したため、裁判所が検察に対し、起訴状の内容の変更を検討するよう勧告する事態となった。
郭元社長は検察の調べに対し、「5万ドルを(韓元首相に直接)渡した」と供述したが、公判では「いすの上に5万ドルを入れた封筒を置いて出てきた。その際、韓元首相に“申し訳ない”と告げたため、韓元首相は現金が入った封筒を見たと思う」と主張した。また、請託の有無に関しては、捜査段階では「わたしが“何もしないで遊んでいて、退屈だ”と話した」と供述したが、公判では「韓元首相の方から、“何もしないで遊んでいて、退屈ではないか”と聞いてきた」と話した。
これについて韓元首相の弁護団は、「わいろを渡す方法という、最も決定的な部分についての供述が変わった以上、郭元社長の発言自体、信じるのは困難だ」と主張している。「いすに置いて出てきた」というあいまいな供述では、「韓元首相が受け取った」という起訴事実を立証することはできないというわけだ。なお、弁護団は「心臓疾患を抱えている郭元社長が、強圧的な捜査に耐えかねて、うその供述をした」との見方を示している。
一方、検察は「5万ドルを渡した、という大枠に変化はない。むしろ、より具体的な供述だ」と主張している。法廷で「2002年、韓元首相に998万ウォン(約79万円)相当のゴルフ用品を買って差し上げた」という郭元社長の証言を裏付ける、当時のゴルフ用品店の店員の証言も出たことも、検察にとって有利な材料となっている。
これについて法曹界では、「起訴状の内容を“渡した”から“いすに置いて出てきた”に書き換える程度では、どちらが有利か、不利かという判断をするのは難しい」との見方を示している。検察が今後、郭元社長の証言を裏付ける状況証拠をどれだけ確保できるか、また弁護側が裁判所による「合理的な疑い」をぬぐい去るだけの根拠をどれだけ積み重ねられるかが、結果を左右するというわけだ。
■22日、首相公館で実況見分
地裁は22日、首相公館で実況見分を行う。昼食会が行われた当時の様子を再現するものだ。また24日には、郭元社長に電話で「大韓石炭公社の社長職に応募しろ」と話したという、産業資源部(現・知識経済部)の李源杰(イ・ウォンゴル)第2次官(当時)が、26日には、昼食会の当時産業資源部長官だった民主党の丁世均(チョン・セギュン)代表が、証人として出頭する予定だ。検察は、民間企業を退社した郭元社長がなぜ、丁代表と一緒に昼食会へ招待されたのかという疑問を解明するという。
李明振(イ・ミョンジン)記者
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