裏金疑惑:韓元首相側と検察が「場外乱闘」(上)

韓元首相側「郭元社長の発言自体、信じるのは困難」

検察「大枠に変化はなく、より具体的な供述」

 大韓通運の郭泳旭(クァク・ヨンウク)元社長(70)から、5万ドル(現在のレートで約452万円、以下同じ)のわいろを受け取ったとして起訴された、韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相(66)に対する公判をめぐり、検察と韓元首相側が21日、「場外乱闘」を繰り広げた。

 韓元首相の弁護人はこの日、記者会見を開き、今月18日の公判に証人として出廷した、首相室の元警護員Y氏に対し、検察が20、21日の両日に事情聴取を行ったことについて、「ほかの証人に圧力をかけ、裁判に悪影響を与えようとするもので、捜査権の濫用に当たる」と批判した。

 Y氏は公判で、「首相公館(ソウル市鍾路区三清洞)で行われた昼食会のとき、韓元首相が(来客より)先に出てこなかったということはなかった」と、韓元首相に有利な証言をした。これは、「2006年12月20日、昼食会が終わった後、郭元社長が韓元首相に5万ドルを渡し、先に出ていった」という検察の起訴事実と食い違うものだ。韓元首相側は、「検察は捜査段階でまず被疑事実を公表し、公判段階で捜査を行っている」と反発している。

 だが、検察は「Y氏の証言はすでに終わったことだ。裁判の進行とは関係なく、Y氏の偽証容疑について捜査を行っている」と述べた。Y氏は今年1月、検察の事情聴取に対し、「韓元首相は昼食会を終えた後、まず寝室がある2階へ上がり、その後政府庁舎の執務室へ行くことがあった」と証言した。検察は、韓元首相の秘書官を務めたH氏が、公判の前後にY氏と数回接触していたことを確認しており、H氏に対しても近く事情聴取を行う方針だという。一方、Y氏は20日、検察の聴取に対し、「H氏が『“民主社会のための弁護士の会(進歩派の弁護士団体)”に所属する弁護士を紹介する』と持ち掛け、弁護士が電話で『不利な状況になったら証言を拒否せよ』と求めてきた」と証言していたことが分かった。

激しく対立するワケ

 検察と韓元首相側がこのように激しく対立するのは、今回の事件の公判がそれだけ、両者にとって重要な意味を持つためだ。

 検察としては、昨年に金畯圭(キム・ジュンギュ)検事総長が就任して以降、最大の事件だと考えている今回の事件で、思わしくない結果に終わった場合、相当な打撃を受けかねない、と認識している。一方、今年6月2日に行われる統一地方選挙で、野党側のソウル市長候補として有力視されている韓元首相側としては、今回の裁判の結果が運命を左右しかねないというわけだ。

 公判は現在のところ、韓元首相側に有利な状況が展開されているものの、結果を予想するのは困難だ、というのが法曹界の有力な見方だ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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