自殺未遂の江南区元人事責任者、不正を区庁長に告発

 公金横領の疑いで検察に指名手配され、20日に自殺を図ったものの未遂に終わったソウル市江南区庁の元人事チーム長(51)が、横領容疑が明るみに出る前に区庁長(区長に相当)と会い、区庁内に広がる人事不正を暴露していたことが明らかになった。これにより、警察の捜査は公金横領だけでなく、区庁内の大規模な人事不正疑惑にも及ぶ可能性が出てきた。

 孟廷柱(メン・ジョンジュ)江南区庁長(63)は21日、元人事チーム長から「区庁人事で金品の授受があるとのうわさがある」との報告を受けていたことを明らかにした。

 区庁によると、元人事チーム長は今月10日に無断欠勤し、翌日出勤した際に「拉致された」と区庁に報告した。真相調査に着手した孟区庁長は13日、元人事チーム長を呼び出して面談を行い、陳述書の提出を受け、その席上で区庁内部の人事不正について報告を受けたという。

 孟区庁長は「元人事チーム長から人事不正に関する報告を受け、副区庁長と行政局長を呼び、『区庁人事で金品の授受があるというのは事実か』と尋ねたが、そういう事実はないとの回答を得た」と述べた。このため、孟区庁長は元人事チーム長を再度呼び出して事情を聴こうとしたが、元人事チーム長は15日から休暇を取得し、出勤しなかったという。

 元人事チーム長の陳述書には、区庁人事に際し、金品授受があった事実と、それを指示した区庁幹部の実名が記載されているとの話もある。しかし、孟区庁長は「元人事チーム長の口頭報告や陳述書には、人事不正に関する特定の人名や金額はなかった」と述べた。

 一方、江南区公務員生活安定基金などの公金約7億7000万ウォン(約6140万円)を横領した疑いで警察に指名手配された元人事チーム長は20日未明、京畿道広州市の祈祷院で服毒自殺を図った。元人事チーム長は江南区庁長、家族、親し牧師に宛てた遺書に「自分がみんな抱えていく」などと記していた。元人事チーム長は病院の集中治療室に収容されているが、命に別条はないという。

 江南署は、江南区庁から元人事チーム長による公金横領容疑に関する刑事告発を受け、現在は元人事チーム長の口座資金の流れを追跡している。また、元人事チーム長から人事不正に関する供述が得られれば、徹底的に捜査を行う方針だ。

金時現(キム・シヒョン)記者

シム・ヒョンジョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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