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〝萌え〟文化満開　水戸でコミケ　にぎわう市街地

2010/03/22(月)　本紙朝刊　第１社会　Ａ版　23頁

　水戸が“萌（も）え”た日、中心市街地ににぎわいが戻った－。同人誌即売会「コみケッとスペシャル５ｉｎ水戸」初日の21日、強風のため、ＪＲ常磐線のダイヤが乱れ、雨も降ったが、参加者約１万５千人（主催者発表）はそれらにもめげず、水戸市の中心街に点在するイベント会場を目指した。地元商店街の飲食店は特別商品を用意し、従業員がコスプレでＰＲするなどもてなした。

　「30～40年前は、これくらい活気があったんだけどね」
　同市中心部を貫く国道50号。通り沿いに店を構える老舗玩具店主の男性（70）は午前６時ごろから、リュックサックなどを背負って、いそいそと店前を通過していくコミケ参加者をたくさん見かけた。
　強風の影響で常磐線の運休や遅れが相次ぎ、午前のＪＲ水戸駅は大混雑。千葉県市原市から来た男性（32）は「電車の遅れで、目的のサークルの作品が入手できなかった」と肩を落とした。
　一方、コミケのメーン会場・伊勢甚泉町北ビル（同市泉町）周辺は“前泊組”を中心に午前11時の開場前からごった返し、近くの水戸芸術館前広場はコミケ参加者で埋め尽くされた。同６時半から列に並んだという東京都杉並区の男子大学生（20）は「昨日千波湖沿いを歩いたが静かで良い。コミケを満喫したらまた来たい」と笑顔。県三の丸庁舎前広場（同市三の丸）で行われたコスプレイベントに参加した水戸市の女子専門学校生（20）と女性会社員（20）は「水戸開催はうれしい。晴れて良かった」と喜んでいた。
　商店街では、コミケ参加者の勢いに押されるように活気づく店舗もあった。同市南町の魚料理店「山大」の軒先には「コみケッとには若い方が多いと聞きましたのでつくってみました」というお品書きが張られた。それも「カレイ」ならぬ「カレー」。
　前夜にコミケスタッフが来店し、値段も付けて書き残したという。同店は休業日だったが急きょ食材を仕入れて店を開けたところ、カレーは50食以上売れた。「（コミケ参加者が）楽しそうなので私たちも楽しまないと」。店主をはじめ従業員らの笑顔がこぼれた。

【写真説明】
同人誌即売会場への入場を待つ一般参加者で埋まった水戸芸術館前広場＝水戸市五軒町１丁目