「真摯(しんし)な政治活動で責任を取りたい」--。昨年8月の衆院選をめぐり、陣営幹部らが政治資金規正法違反罪で起訴された民主党の小林千代美衆院議員(北海道5区)は22日、同党道連事務所で記者会見を開き、議員辞職をしない考えを表明した。道連内には夏の参院選をにらんで辞職を求める声が上がる一方、「献金の事実を知らなかった以上、辞職する必要はない」と擁護の声も交じる。有権者らの批判も強まるとみられ、党内外から「議員続行」の是非が問われそうだ。
小林氏はグレーのスーツ姿で会見場に現れ、陣営幹部が起訴されたことを謝罪するメモを厳しい表情で読み上げ、頭を下げた。進退を問われた小林氏は「真摯な態度で政治活動をし、有権者の皆さんに(責任を)果たしていきたい」と辞職を否定。事件への関与は「(違法とされる献金を)存じておりませんし、報告も受けておりません」と否定した。
民主党道連の中堅道議は「参院選のことを考えないといけない。思い切って辞めた方がいい」と参院選への悪影響を懸念。道連幹部は小沢一郎幹事長が小林氏への対応を道連に一任したことに触れ、「党本部から切られたんだ。『どうぞお辞めください』ってね」と議員辞職不可避と判断する。
また、自民党道連の竹内英順(ひでのぶ)幹事長は「(自身の陣営の)資金の流れを把握していないのは政治家として無責任。議員辞職すべきだ」と批判。小林氏の選挙区内にある千歳市のパート従業員、菊地珠恵さん(58)は「民主党に期待していたから残念。小林さんが(献金を)『知らない』というのは通らない」と辞職を求める。
これに対し、民主党道連の最大支持母体である連合北海道幹部は「逮捕された4人は完全黙秘で頑張った。(小林氏が)辞めたら(4人の)はしごを外したことになる」と議員続行を支持する。擁護の声は党内にもあることから、小林氏は別の陣営幹部による公選法違反事件の連座制適用が不可避と判断するまで議員を続ける可能性もある。
公選法の規定によると、道5区補選は小林氏が国会会期末(6月16日)までに辞職すれば参院選と同日選となり、国会閉会後は9月15日までに辞職すれば10月の第4日曜日(24日)に行われる。道5区で小林氏に敗れ、比例復活した町村信孝氏は20日の自民党道連定期大会後、補選への立候補の意思について「補選になるか分からないので、まだコメントはしません」と述べた。【堀井恵里子、鈴木勝一、久野華代】
毎日新聞 2010年3月22日 21時33分(最終更新 3月22日 23時12分)