「大相撲春場所8日目」(21日、大阪府立体育会館)
大関昇進を狙う関脇把瑠都が旭天鵬を寄り切って、初日から8連勝で勝ち越しを決めた。この日、40歳の誕生日を迎えた師匠の尾上親方(元小結濱ノ嶋)を喜ばせる白星となったが、場所後の大関昇進を一番のプレゼントにする。横綱白鵬は初顔合わせの玉鷲を寄り切り無敗を堅持したが、4大関は全員が敗れた。全勝は白鵬、把瑠都に平幕の時天空。
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右を差したものの上手を取れず、把瑠都はじっくり勝機を待った。旭天鵬が左を巻き替えた瞬間、一気に前へ。そのまま相手を土俵外へ追いやった。不惑を迎えた師匠に贈る白星に、支度部屋では「一気に出るしかないと思ったよ」と終始にこやかだった。
部屋では20日夜に、尾上親方の誕生パーティーが開かれた。毎年恒例のイベントだが、大事な場所の真っ最中の把瑠都は乾杯のグラスに口をつけた程度。その代わりにたっぷりと師匠のグラスに酒を注いだ。親方は「しこたま飲まされましたよ。記憶がなくなりました」と苦笑いで振り返る。
普段の場所なら把瑠都も飲んで大騒ぎ…のはずだが、大事な大関とりの今場所は禁酒の誓いを立てている。友人や付け人と夜の街に繰り出してはウオツカのボトルを4、5本空ける大の酒豪だが、「今場所は飲んでないよ」(把瑠都)。場所前の激励会でもほとんど酒を口にしなかった。
体調管理には万全を期している。それでも大関とりの重圧に体は悲鳴を上げている。この日は朝げいこを休み、昼前まで寝て体力回復に努めた。「疲れは…ちょっとあるっすね。体がどんどん硬くなる」。体と心の疲労がたまる中、9日目から大関戦が始まる。
幕内では自身初となるストレート給金にも「あまり感じない。勝ち越しではダメなのはよく分かってるから」と視線を上に向けた。狙うは大関の座ただ一つ。伝達式を師匠への一番のプレゼントにする。