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敦賀気比、小林繁さんに届け鎮魂星

 6回、錦織が右前に勝ち越し適時打を放つ(撮影・松井愛子)
 6回、錦織が右前に勝ち越し適時打を放つ(撮影・松井愛子)

 「センバツ1回戦、敦賀気比7‐4天理」(21日)

 大会初日は開会式後、3試合が行われ、第1試合で敦賀気比(福井)が逆転で天理(奈良)を下し、12年ぶりの初戦突破を決めた。1月に急逝した日本ハム前投手コーチ・小林繁氏(享年57)の教え子たちが奮闘、亡き恩師に勝利を捧げた。また、第2試合は初出場の嘉手納(沖縄)が眞謝(まじゃ)博也捕手(3年)の強肩で沸かせたものの、花咲徳栄(埼玉)に完封負けを喫し、「基地の町」の悲願は初戦でついえた。

  ◇  ◇

 天国の恩師へ向けて、力強く右拳を突き上げた。「小林さんの後押しがあったと思う」。六回2死一、二塁。決勝の右前適時打を放った主将・錦織外野手(3年)は一塁ベース上で、感情をむき出しにした。

 錦織だけではなかった。今年1月に急逝した阪神などで活躍し、日本ハムコーチだった小林繁さんが、08年11月までの約2年間指揮を執った「オールスター福井」で指導を受けた“小林チルドレン”が、恩師がプレーした甲子園で躍動した。

 先発の高原投手(3年)は、恩師も立ったマウンドに上がった。「(小林さんに)成長した姿を見せたいと思っていた。『見てて下さい』という気持ちだった」。三回までに3点を失ったが、四回以降は立ち直って8回1/34失点(自責は1)で勝ち投手となった。

 活躍はできなかったが、ベンチの最前列で声を張り上げた中尾外野手(2年)も、小林さんへの思いを胸に秘めて試合に臨んでいた。「オールスター福井」の卒団式の集合写真で、2人が写っている部分だけ切り抜き、赤いきん着に入れて首から提げてプレー。小林さんから譲り受けた日本ハム選手のグラブも、お守りとしてベンチに持ち込んだ。「チームが勝ててよかった。次は結果でいい報告をしたい」。

 “小林チルドレン”の活躍で、チームは98年センバツでは1‐5で敗れた天理に雪辱。東出(広島)を擁した98年以来の甲子園勝利となった。小林さんの後押しを受けた敦賀気比。恐れるものは何もない。

(2010年3月21日)
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