FictionJunction YUUKAのボーカリストとして、澄んだ歌声を聞かせてくれる南里侑香さんが、5月3日から5月6日、新国立劇場・中劇場において、ミュージカル「ANGEL GATE」に主演する。このミュージカルは昨年の再演となるが、演出方法が変わり、より見応えのある舞台になっているという。

その舞台稽古に励んでいる南里侑香さんに、時間を作ってもらい本番に向けての意気込みをお聞きした。

■「ANGEL GATE」のストーリーをご紹介下さい

南里侑香昨年の再演ということで、昨年やったものをまた温めてやるのかと思っていたのですが、台本を頂いたら話の内容が結構変わっていました。それでも、伝えた神髄の部分は残っていて、人と触れあう事の大切さだとか、人と人との絆だったり、人と人との愛であったり、友情であったり。本当に人と人との触れあいが神髄になっていて、その大切さをどのように伝えるかということをテーマに昨年やったのですが、今年はそれをもっとお客さんに感じてもらえるようなお話になっています。

私が演じる本間ユリという女の子は、お父さんと長いあいだ会っていなくて、お父さんはユリと会わないうちに死んでしまっているんです。で、ユリはまっすぐな気持ちをどこかに忘れてしまっていて、どんどんひねくれてしまうところからお話がスタートします。そこから多くの人と出会って、一枚一枚鎧を脱いでいって、最後には本当にまっすぐな姿になるというお話で、本当にいろいろな人の心に触れあっていきます。

テーマは昨年と同じなのですが、昨年は初めてということもあって、伝わりにくかったところもたくさんあったと思うんです。今回はキャストも変わっているし、どのようにしたらストレートに伝わるのか、もっともっと暖かいものを伝えるにはどうしたらいいのか。人と人というテーマは、本当にベタだなと思われるかもしれませんが、意外と現代に生きていると一人で何でもできる気がするんですよね。毎日忙しくしていると、人と触れあうことが面倒だなと思ったり、コンピュータで何でもできるし、お部屋にいて何でもできる。そう思うことがあるのですが、新たな「ANGEL GATE」によって、私自身もそのことの大切さを感じることができたので、昨年よりもたくさん伝えることができたらいいなと思います。演出も、雰囲気も、かなり変わっているので、すごく楽しみです。


■役づくりで心がけていることは

人に心を閉ざすという所は、分かる気もするけれども難しい部分があります。今回は、ユリが最初から人をはねのけてしまっているので、そういう部分がとても難しいんです。人をはねのけるのというのは、自分の存在までも否定していて、それを本当に長年やってきている女の子なので、そこがとても難しく、未だに悩みながら毎日稽古をしています。多分、本番までいろいろ考えていると思います。


■ご自身が演じられる「本間ユリ」をどう思いますか

人をはねのけたり、自分の殻に閉じこもったりというのは、皆、一度はあるんじゃないかなと。その振り幅が人によってとても大きかったり、小さかったりするだけだと思うんです。確かに分かる部分もあるけれども、私はユリほど大きく行動に出たりしないし、何がそうさせるのかという原因もいろいろあると思うのですが、私だったらここまでやらないなと思います。

ユリは心を閉ざしているといっても、外に出かけたりはするので、その部分ではまだ救われているなと思います。自分のことを心配してくれる人たちがいるというのは、うるさいなと思いながらも、救われている部分でもあると思うので。私は毎日、人と触れあって生活しているし、昨年「ANGEL GATE」をやったことで、人と人とのつながりの大切さをどこかで感じて一年過ごして来ました。心を閉ざすということは自分自身でも力を使っているんじゃないかなと思うんです。辛いから心を閉ざすんだろうけれども、心を閉ざすことも辛いんじゃないないかなと思うんです。皆さんもそういう経験があると思うのですが、ユリほどになると演じるのが難しいですね。


■「ANGEL GATE」のみどころはどこでしょうか

今回のユリは、どんどん場面ごとに変わっていきます。ですから、人と触れあうことでユリがどんどん変わっていく流れが伝われば良いなと思います。やはりミュージカルなので、音楽やダンスが出てくるのですが、流れの上で伝えたい言葉がメロディに乗ったり、今回もダンスがとても面白くて、ユリの心情を周りに出てくる通行人や街にいる人、遊んでいる人が表現しているので、視覚的にも楽しめると思います。まだ稽古中で未完成なのですが、歌もダンスも見て欲しいですね。



■ミュージカルの楽しさは何でしょうか

南里侑香私はもともとミュージカルが好きで、お芝居もすごく好きなのですが、お芝居から歌に入ったり、ダンスで心情を表現したりということが、自分にとっては魅力的に見えて、抵抗感は始めからありませんでした。何でお芝居から歌いにいくのと感じる方もいるようなのですが、今回はそれを自然に見てもらえたらいいなと思っています。

この「ANGEL GATE」は、人と人とのつながりという、わかりやすいテーマではあるのですが、少し夢物語の部分もあって、天使が出てきたりします。天使と人間が触れあったり、天界のすごい人が出てきたりとか、そういう夢物語の部分もあるのですが、そういうお話だからこそ歌が入ったり、ダンスがあったりという部分があっても抵抗ないんじゃないかなと思います。また舞台なので、一つの箱の中でお客さんの「はっ」とした呼吸なども伝わってくるし、こちらの息をするタイミングなども伝わって、そこが観客としてもすごく面白いと思うし、舞台に立つ側としても面白いと毎回思うので、そこが一番の魅力ではないかなと思います。


■逆にミュージカルの難しさは何でしょうか

舞台はお客さんと一緒に作っていくもので、自分がこれを伝えたいというものがあったとしても、それをどのようにとらえるのかはお客さん次第だと思います。どんなものを感じてもらっても良いと思うんです。でも、今回の「ANGEL GATE」だったら、人ってこんなに暖かいんだよ、傷つくこともあるけれども触れあって行こうよというものをいっぱい伝えたいですね。ですから、欲みたいなものも出てきて、稽古の間はいっぱい悩みます。


■ミュージカルということで歌を歌われるわけですが、普段の音楽活動との違いはありますか

全く違います。私の場合はもともとミュージカルをやってきているので、ミュージカルの方がある意味とても自然なんです。自分が演じている役の流れで感情を表現するという歌い方が、自然に出てくるんです。アニメなどの主題歌を歌うときは、本当にその場面だけが切り取られているので、その前後というのは自分の中で作品や曲からイメージして歌っています。逆にそれの方が難しかったりするんです。アニメの歌を歌うときも、自分の中でアニメの世界や主人公を作って、それになりきって歌うんです。ですから、本当に久しぶりにミュージカルをやると、私の歌というのはお芝居やミュージカルから来ているんだなと改めて感じます。


■本番に向けての稽古は厳しいですか

今回は、稽古の時間が短くて最初から飛ばして、かなり良いペースでやっています。毎回とてもいい緊張感もあるし、皆の頑張ろうという気持ちがものすごく伝わってくるんです。昨年も出演した人もいるし、初めて参加の人もいるのですが、自分の役割というものをすごく考えて、時間がないので集中して、より楽しく、より頑張ろうとしている毎日です。今のところ余り厳しいと感じることがなくて、これから演出の先生も厳しくなってくるのかなと、ちょっとドキドキしています。本当に良い意味で緊張感があって、皆さんONとOFFがはっきりしているので、毎日を大切に楽しくやっています。


■ご自身一人で行う稽古(役作り)はどのように行っているのでしょうか

ユリのちょっとねじ曲がってしまったような性格というのは、私自身は経験がないので、そういう部分を一生懸命に考えていると、私はその役に似てくるみたいなんです。稽古場では一人で黙々となっている時間が多くて、気づくと下を向いて、ずっと台本を読んでいたりとかしています(笑)。今回は一幕、二幕という形になっているのですが、逆に最後に向けてユリが素直になってくるので、二幕の稽古になってくると段々自分が明るくなってきて、ユリと一体化しているなと、たまに面白く思うことがあります。


■他の出演者と行う合同稽古はどうですか

やはり、みんなでやると楽しいですね。でも、ユリは孤立している部分があるので、ユリの気持ちや寂しさというのを忘れないようにしています。



■ミュージカルに出演ということで体力作りは何かされていますか

ユリの場合は、常に人に壁を作っているので、心もすごく緊張していて疲れる部分もあるし、人を避けよう避けようとして動いているので体も緊張します。逃げ回るシーンも結構あるので、そういう部分では体力を使いますね。稽古が始まると一日中スタジオに居るので、お家に帰るとへとへとで、こんなに体力がなかったんだと思うんです(笑)。ですから、稽古の前からお家の近所をジョギングするようにしたり、稽古場の近くをジョギングするようにしたりして気をつけています。


■「ANGEL GATE」の中で好きな歌はありますか

昨年も「ANGEL GATE」のミュージカルの中で歌われていた、テーマ曲みたいなものがあるんです。すごく「ANGEL GATE」のテーマにメロディと歌詞があっているので、その曲を今回は私も歌うので楽しみにしています。


■ダンスは難しいですか

ダンスは難しいですね。歌では自然と体が動いたりとか、逆に動かさないと歌えないこともあるのですが、ダンスとなると体に力が入ってしまうんです。昨日もダンスの稽古があったのですが、簡単にしてくださいって言っちゃいました(笑)。


■他の役者さんが演じられる場面でお薦めはあるますか

今回も、この人たちが出て来ると笑っちゃうようなシーンがいっぱいあります。ユリの出番の前で、うつむいていなければいけないのに可笑しくて、笑ってしまうよう瞬間があります。稽古では、皆さん手探りで日々変えているのですが、いつも三人組で出てくる天使のチームワークが素晴らしいですね。


■公演直前になりましたが、今の心境は

まだ、直前だという気がしなくて、多分、本番の直前まで皆で猛ダッシュしていると思います。ユリの分からない部分もまだあるので、稽古では手探り状態で前の日と違うことをしてみたり、いろいろやっています。お客さんと会うときまでには、自分自身が納得できて、作品として皆も納得できるものを作って、お客さんに何かを感じてもらえたらなと思います。それまではとりあえず必死で頑張ります。


■ファンの皆さんへメッセージをお願いします

昨年、見に来てくださった方々もたくさんいらっしゃると思うのですが、今回はお話も変わって、出演者も変わって、昨年の「ANGEL GATE」とは別のアプローチで伝えられると思うんです。ですから、すごく楽しんでいただけると思います。勿論、今回初めてご覧になる方も、いろんなものを感じてもらえると思います。
人と人との触れあいというは、簡単に思えて、当たり前のことで、普段は真剣に考えたりしないと思うんです。その話を出演者とよくするのですが、そういうことをじっくり考えられる良い機会だなと思うんです。こういうテーマは、私も最初はベタだと思ったのですが、昨年演じてみて一生のテーマだなと、大切にしていかなければいけないなと思ったので、今回はより何かを伝えたいと思います。本当に男性女性、年齢も問わず一生のテーマだと思うので、いろんな方にご覧頂いてどのように思われたのか、何かを感じていただけたのかを知ることができたら嬉しいなと思います。「ANGEL GATE」を昨年とは別の作品として、新たな気持ちで見ていただけたら嬉しいです。


ミュージカル「エンジェル・ゲート」


南里侑香出演予定:南里侑香・吉野紗香・篠山輝信・BON-BON BLANCO/神田利則 他
脚  本:横山由和/浅井さやか
演  出:浅井さやか
音楽監督:斉藤恒芳

公演日程:
5月3日(木・祝)開場17:30/開演18:00
5月4日(金・祝)開場12:30/開演13:00
5月5日(土・祝)開場12:30/開演13:00
        開場17:30/開演18:00
5月6日(日) 開場12:30/開演13:00

会 場:新国立劇場・中劇場
入場料:全席指定 6,300円(税込み)
主 催:フジテレビジョン
企画制作:スペースクラフトプロデュース


チケット発売場所:
  ・キョードー東京  03-3498-9999
  ・チケットぴあ   0570-02-9999(Pコード:000-000)
  ・CNプレイガイド  0570-08-9999
  ・ローソンチケット 0570-08-4003(Lコード:00000)
  ・イープラス    http://eplus.jp/(パソコン/携帯)
   ※0570で始まる番号は一部の携帯・PHS・CATV電話からの接続不可

問い合せ:キョードー東京 03-3498-9999

■ミュージカル「ANGEL GATE」公式サイト:http://www.angelgate.jp/