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卓上四季

和の国(3月21日)

経済政策がうまくいかなかったからと、北朝鮮の幹部が銃殺されたらしい。金正日総書記の側近だ。不満の矛先が独裁体制に向かわぬよう、詰め腹を切らされたようだ▼デノミが失敗した。人々は飢えている。トップが決定にかかわっていないはずはない。だが側近を身代わりのように処刑する。民の命の軽い国で、一般の人々はどんな目に遭っているのだろうか▼拉致問題や核開発など、何かと乱暴で物騒な国である。だがそのことと、高校授業料の無償化から朝鮮学校を除外することとは次元が違う話だ。政府は無償化の結論を先送りした。学校に不明な点があるなら、話を聞けばいい▼生徒は高体連などのスポーツ大会に普通に出場している。卒業生は多くの大学の受験資格もある。国連の人種差別撤廃委員会は、教育の機会提供への差別に懸念を示した。子供らが学ぶ場に分け隔てはふさわしくない▼札幌の朝鮮学校の生徒がこの問題でチラシを配った。受け取りを拒否する人も多く、目の前で投げ捨てる人もいたと、先日の紙面で読んだ。「怖いですが、親が学費で苦労しているのでがんばります」。16歳の言葉は胸に痛い▼自他の国の人々を悩ます独裁者への批判は当然だが、子供を差別的に扱い、まして怖い思いをさせてどうなるのか。かの国になくて日本にあるのが民主主義だ。寛容と平等を示せなければ「和の国」が泣こう。

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