外資誘致不振、迷走する松島(下)

■開発と外資誘致を強制する契約書の条項はなし

 仁川市は、NSICが外資誘致など当初の条件を実行に移さなかったとしても、これに制裁を加えることができる、という条項を契約書に記載していなかった。松島開発計画も当初の外資誘致ではなく、収益性を高めるという方向性に変わっている。外資系企業が事務所を構える国際業務団地の規模は、昨年の当初計画に比べ、38%(約52万平方メートル)縮小した。一方で、国際業務を除く収益性の高い商業用地(一般の商業・住商複合など)は、当初205万平方メートルほどだったのが、249万平方メートル以上へと21%も増えた。

 ソウル大学環境大学院の崔莫重(チェ・マクチュン)教授は、「国際都市機能に見合わない多くのマンション開発事業が行われていることから、松島がベッドタウンへと転落する可能性はかなり以前から指摘されてきた。外資系企業や資本を誘致するためには、外資系企業が望む形で開発を行われなければならず、関連法規による規制も緩和する必要がある。現在の法律による規制では、学校や病院などを建設する際、非常に複雑な条件を設定している」と指摘する。

 仁川大学経済学科のヤン・ジュンホ教授は、「松島国際都市は外資の誘致を名分とした規制緩和が行われるべき地域だ。政府は当初、外資誘致に伴い産業構造の高度化を目指していたが、実際は住居用のマンションや商業用建物など、投機の対象となる一般の不動産としての価値ばかりが上がり、不動産の二極化が深刻な状況になっている」と述べた。

 これについてNSICは、「道路などの都市インフラやコンベンションセンター、中央公園などの公共施設、国際学校、ホテルなど、外資の誘致に向けた施設を整備するのに8000億ウォン(約640億円)以上の資金をすでに投じた」と反論している。

アン・ジュンホ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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