永久貸与方式とは、期限に関する規定なしに蔵書を韓国へ移転し、その代わり韓国の文化財を数年ごとにフランスに送り展示するというものだ。法的な所有権はフランスにあるが、特別な事情がない限り外奎章閣の蔵書は韓国が所有し続ける。永久貸与を受ける見返りとして、韓国がフランスにどの文化財をどのような形で展示するかについての詳細な条件は決まっていないという。韓国政府の関係者は、「韓国がどの文化財をどのようにフランスに送って展示するかは交渉結果による」と述べ、具体的な言及は避けた。

　永久貸与は、韓国とフランスが交渉中の2001年に廃棄した「等価等量」原則よりは前進した面もあるが、外奎章閣の蔵書が完全に韓国に返還されるわけではないという点で、国内の世論に反する。等価等量は外奎章閣の蔵書を韓国に展示・保管させる代わりに、同様の価値がある韓国の文化財をフランスで展示するという内容だった。永久貸与も、韓国の文化財をフランスで展示するという条件が付与されるが、単純な「相互交換展示」にすぎない等価等量とは異なる、と韓国政府は説明する。ただし、永久貸与が合意されても、外奎章閣の蔵書の所有権は相変わらずフランスにあるため、「不完全な返還」という非難は免れ得ない。

　永久貸与の交渉には時間が掛かる見込みだ。韓国政府は、サルコジ大統領が来韓する11月のG20首脳会議前までにはなるべくこの問題を妥結させたい考えだ。しかし、まずは外奎章閣の蔵書を所有するフランス国立図書館と、永久貸与の条件について論議する必要がある。外奎章閣の蔵書を含む海外略奪文化財の返還問題がフランス国内で論争に発展すれば、交渉の障害になり得る。一方、クシュネル外相は同日、韓仏外相会談終了後に別途の記者会見を開く予定だったが、同日午後に突然取り消した。外奎章閣の蔵書返還問題に関する記者の質問攻勢を避けるためとみられる。

鄭佑相（チョン・ウサン）記者