「ダイエット薬共和国」韓国(下)
■ヨーロッパでは「禁止」、韓国では「OK」
肥満治療薬の乱用には、韓国政府の緩やかな対応も一つの要因となっている。欧州医薬品庁(EMEA)が今年1月21日に使用中止の措置を取ったシブトラミンも、依然として韓国では使用されている。食薬庁は、「韓国ではまだ重大な副作用が報告されていない」として、「処方調剤の自粛」を勧告、「65歳以上・15歳未満の使用禁止」措置だけを行い、最終決定は4月中旬に持ち越した。
麻薬類に当たる向精神性食欲抑制剤に関しても同様だ。現在韓国で流通している向精神性食欲抑制剤は、フェンタミン・フェンジメトラジン・ジエチルプロピオン・マジンドールの4種類だ。この4種類をすべて許可している国は、世界で米国と韓国しかない。一方、欧州連合(EU)は4種すべてを禁止している。
韓国におけるフェンジメトラジンの使用量は世界第2位、フェンタミンの使用量は世界第3位の水準にある(05年)。こうした事情から、肥満治療用として処方される薬の80.4%に麻薬類が含まれているという調査結果が出た、と消市会は発表した。向精神性食欲抑制剤を投薬された消費者の37%は、食薬庁の勧告期間である30日を超える期間の処方を受け、4.7%は3カ月以上も処方を受けていたことが分かった。
「健康社会のための薬社会」のシン・ヒョングン副会長は、「政府は、肥満治療薬の大部分が保険の適用を受けないという理由から、実際の使用状況に関する分析すら全く行っておらず、シブトラミンについての対処も進んでいない」と語った。
■食欲抑制効果を狙い高血圧の薬まで処方
抗うつ薬・風邪薬・高血圧薬・利尿剤などをむやみに混合する「カクテル処方」も問題だ。これらの薬が、副作用として食欲抑制効果を示す場合があるからだ。実際、今月11日に記者がソウル市麻浦区のB肥満クリニックで「ダイエット薬」の処方を受けたところ、抗うつ薬と便秘薬・風邪薬などを処方された。抗うつ薬の付随効果である食欲抑制を狙ったわけだ。食薬庁の関係者は、「こうした処方は、医師の判断と良心に委ねざるを得ないが、これを長期にわたって服用した場合、副作用が起こる可能性は大きい」と語った。
昨年夏にBクリニックでダイエット薬を処方されたユ某さん(25)=女性=は、服用を始めてわずか二日目に目まい・不眠などの症状が現れ、皮膚には発疹(はっしん)ができた。ユさんは「楽に体重を落とすつもりで始めたが、大学病院にまで行って治療を受け、むしろ余計にお金がかかった」と語った。ちなみにユさんは身長165センチ、体重59キロで、極めて「正常」(BMI21.67)だった。
金慶和(キム・ギョンファ)記者
- 「ダイエット薬共和国」韓国(上) 2010/03/20 11:42:26
- 医薬品リベート根絶策、早くもきしみ生じる 2010/03/22 15:00:13
- 裏金疑惑:韓元首相側と検察が「場外乱闘」(下) 2010/03/22 14:04:50
- 裏金疑惑:韓元首相側と検察が「場外乱闘」(上) 2010/03/22 14:04:45
- ソウル都心の小学校が行う「豪華な教育」とは
2010/03/22 11:39:53
- 自殺未遂の江南区元人事責任者、不正を区庁長に告発 2010/03/22 11:18:00
- 検察が判決文読まずに控訴、その理由とは 2010/03/22 11:17:33
- 韓半島に「スーパー黄砂」が到来したワケ(下)
2010/03/22 11:05:24
- 韓半島に「スーパー黄砂」が到来したワケ(上)
2010/03/22 11:05:06
- 週末の黄砂、観測史上最悪 2010/03/22 11:00:13
- 世界の砂漠を行く女性映画プロデューサー
2010/03/22 08:29:34