「ダイエット薬共和国」韓国(上)
ヨーロッパで禁止されている薬物4種類、韓国では無防備に流通
韓国、「麻薬類」食欲抑制剤の使用が世界2-3位
今月10日午後、ソウル市鍾路区のA肥満クリニックにて。肥満度を測定するボディマス指数(BMI)が18で低体重に分類される記者が、「ダイエット薬を処方してもらいたい」とクリニックの受付に告げると、すぐ院長室に案内された。院長は体重を尋ねることなく、「目まいがしたり、吐き気や不眠などの症状が現れることがあるが、少し休んだらまた服用してもいい」と言って、処方せんを書いてくれた。
診療は2分もかからなかった。1週間分の処方せんを出してくれた看護士は、「処方せんは1週間分で1万ウォン(約800円)。服用を継続したい場合にはまた来院して、“希望する期間分”の処方を受けるように」と説明した。
処方せんには、便秘薬・風邪薬と共に「シブトラミン」(食欲抑制剤)成分を含むJ薬品の製品名が記載されていた。シブトラミンは最近、イギリスで患者二人が死亡するなど問題になり、ヨーロッパで販売中止になった薬品で、韓国の食品医薬品安全庁(食薬庁)も、「処方の自粛」措置を促している。しかしAクリニックからは、これに関する警告は一言もなかった。
韓国の肥満率(BMIが30以上の人の比率)は3.5%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均(14.6%)に比べ4分の1に過ぎない。それでも韓国は、体に悪い肥満治療薬や、国連国際麻薬統制委員会(INCB)によって「麻薬類」に分類されている向精神性食欲抑制剤の使用量が、世界で第2-3位に達するほど乱用されている。シブトラミンの生産・輸入額は5年間で11倍(03年44億ウォン〈現在のレートで約3億5000万円、以下同〉から、08年には490億ウォン〈約39億2000万円〉)に増え、向精神性食欲抑制剤の市場も4倍に拡大した。全世界で最も「やせた国」がダイエット薬を最も多く服用する、という逆説が起こっているというわけだ。
「消費者市民の会」(消市会)が15-59歳の男女1000人を対象に実施したアンケート調査(08年)によると、86%がダイエットの経験がある、もしくは現在ダイエット中で、13%がダイエット薬を服用した経験があることが判明した。
問題は、ほとんどダイエットの必要がない人が肥満治療薬を服用し、医師も処方せんを乱発しているという点だ。食薬庁は、世界保健機関(WHO)が定めた国際基準に従い、BMIが30以上の人に限って肥満治療薬を服用するよう勧告している。女性の場合、身長160センチで体重77キロを超えるケースだ。しかし、消市会のアンケート調査によると、ダイエット経験者の63.1%は、体重が正常だった。
肥満治療薬・食欲抑制剤は、脳に悪影響を及ぼす薬物で、勧められた期間より長く服用したり過剰に服用した場合には、不眠や動悸(どうき)、うつの症状が現れることがある。また、やせている人が服用した場合、こうした副作用はより深刻になりかねない、と専門家は指摘する。
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