【コラム】もはや国際問題と化した韓国の死刑制度(上)

 18日、国会法制司法委員会で与野党の議員らが、死刑執行の問題をめぐって、法務部の李貴男(イ・グィナム)長官を攻撃した。与党ハンナラ党は、欧州連合(EU)などとの外交関係を考慮し死刑を執行しなかったことを問題視し、野党・民主党は13年間中止されていた死刑執行の再開の可能性をほのめかした李長官の発言を批判した。

 政府は、ヨーロッパ評議会と犯罪人引き渡し条約締結を進める中で、EU国家から引き渡しを受けた犯罪者については、死刑が宣告されても死刑を執行しないと約束した。この条約はいまだに国会で批准されていないが、一部の委員らは、国内の問題である死刑について、外国に介入の余地を与えたということを問題視した。しかし、視野を少し広げて見ると、死刑はすでに韓国国内だけの問題ではない。

 かなり前に死刑制度を廃止したEUは、人権を守るため、ほかの国にも死刑制度を廃止するよう圧力をかけてきた。EUが2008年と09年に国連に提出した死刑執行の一時停止を求める決議案は、過半数の賛成を得て採択された。EUは、韓国はもちろん、ほかの国とも犯罪人引き渡し条約の締結を進める際、引き渡された犯罪者に対して死刑を執行しないように、という条件を付けている。米国とも同様の条件で条約を結んだ。しかし、米国は死刑が執行されている国であり、世論調査でも過半数が死刑制度に賛成している。

 国連は伝統的に死刑に反対する立場を取っている。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は07年、死刑制度についてあいまいな回答をしたところ、窮地に追い込まれた。潘総長は記者会見で、ある記者が「サダム・フセイン元イラク大統領は処刑されるべきか」と尋ねたところ、「フセイン元大統領は残酷な犯罪を犯し、イラク人に対し言葉にできないような暴政を行った責任がある。死刑は各国が決める問題だ」と答えた。欧米のメディアは、直ちに潘総長のこのような答えは、人権に基づき死刑に反対する国連の基本的立場とは異なると指摘したが、その後すぐに、潘総長が死刑制度を維持している韓国出身だという事実が取り上げられた。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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