金剛山の韓国側保有不動産、北「没収辞さず」と脅迫

 北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会は18日、韓国側による観光ツアー実施が中止されている金剛山観光地区で、韓国側が保有する不動産に対する調査を25日から実施するとし、韓国側関係者に現地への出頭を求めるとともに、調査に応じない場合には、不動産の没収や金剛山への入境制限措置を取ると韓国側に通告した。

 韓国の統一部、金剛山観光事業を運営してきた現代峨山に届いた通知文書によると、同委は「韓国側が金剛山観光を4月まで再開しなければ、新たな事業者が金剛山と開城地区に対する観光事業を開始する」としている。

 北朝鮮は今月4日、「南朝鮮(韓国)当局が観光を引き続き妨害すれば、観光事業とそれに関連するすべての合意、契約を破棄し、観光地域内の南側(韓国側)不動産を凍結する」と表明しており、今回の通知は韓国側に対する「脅迫」のレベルを引き上げたものと言える。統一部は「南北合意と国際的慣例に反するもので、非常に遺憾だ。金剛山観光は韓国国民の身辺の安全に関する問題が解決された後で再開するという政府の立場には変わりがない」と強調した。

 統一部によると、金剛山観光地区内の土地は、現代峨山が2002年から05年にかけ賃借契約を結び、ホテル、温泉、ゴルフ場、刺し身レストランなどに韓国企業が3592億ウォン(約286億円)を投資。うち現代峨山による投資額は2263億ウォン(約180億円)となっている。

 しかし、北朝鮮側による圧力に韓国側が応じる可能性はないとみられる。安全保障当局者は「北朝鮮は不動産を没収されかねない状況に追い込まれた韓国企業が政府に圧力をかけることを期待しているとみられるが、こうした旧態依然の脅迫に譲歩する政府ではない」と述べた。

アン・ヨンヒョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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