3月19日久々にディスクユニオン新宿ジャズ館に行ってみる。台場が職場になると、なかなか今までのように頻繁に都心に出ていくのは難しい。りんかい線を使うと一番近い都心の猟盤場は渋谷であるが、渋谷のディスクユニオンは狭くて見ずらいし、さほど品揃えが充実しているというわけでもない。
ただし、ここには新宿やお茶の水で売り切れたCDが売っている場合があって重宝している。例えば、先月Denny Zeitlinがコロンビアに残した録音の完全収録盤が出たためディスクユニオンお茶の水と新宿のそれぞれに見に行ったのであるが、どちらにも置いておらず、新宿店の店員さんが検索したところ、渋谷にまだあった。そこで、新宿店の店員さんが渋谷店に電話してくれて、渋谷店にある上記作品を取り置いてくれた。親切な新宿店の店員さんには感謝したい。そしてとり置いてくれた渋谷店の店員さんにも感謝したい。
新宿とかお茶の水とか吉祥寺だと、コアなジャズ・オヤジがファースト・プライオリティをもって押し寄せるので、案外渋谷のように「ジャズ専門」という店構えを持っていない店の方がブツを探しやすいのかもしれない。
それはそれとして、今回は渋谷ではなく新宿である。台場にある東京テレポート駅からりんかい線で乗り換えなしで新宿に到着することができるのはありがたいが、30分もかかるのでちょっと遠い感じ。まずはディスクユニオン新宿ジャズ館へと向かう。
新宿ジャズ館に到着すると、3月21日に廃盤CDセールを行う旨が書いてある。廃盤CDセールのポスターには、その日出品が予定されている代表的なCDの写真がいっぱい掲載されている。数年前の廃盤CDセールだと、いわゆる「レア本」掲載のCDが売られていて、結構熱気があったものだったが最近はどうなのだろうか。3月21日のセールのポスターをみても、これは欲しいという目玉商品はなかった。それどころか、店の方で勝手に目玉商品を作って売っているという感じすらする。目玉商品は、目玉性を支える根拠とか権威があってこそ目玉商品なわけで、それを店が作るのでは目玉性に説得力が欠ける。
それはそれとしてまずは2階の中古新入荷のフロアをブラブラする。まず目に留まったのが、Dollar Brand “African Piano”である。私が学生だった20年以上前、一度貸しCD屋でこれを借りて聴き、一応普通のジャズピアノでありつつも、やたらバネがあってタイトル通りアフリカン・テイストのあるピアノが脳裏にこびりついていた。それから20年間もこれを買わなかったのは特に理由があるわけではない。今回それが1155円と適価で売っていたのでこれを買うことにする。
続いてSadik Hakim “Witches, Goblins, Etc.”に目がとまった。これは20年ほど前のジャズ批評で「知名度はいまいちだがなかなかの力作」みたいな趣旨で紹介されていて以前から興味があった。これは2,3年前にCD化され、その後中古屋でしばしば見つけて買おうかと思っていたが、1500円を上回るような値段で売っていたのでちょっと躊躇していた。今回それが1470円で売っていたので、この程度の値段であればまぁいいかと思って買うことにする。
さてこの辺でいいかなと思って念のため棚をブラブラとみると、MJT + 3 “Make Everybody Happy”が目につく。厚化粧の女性が爆笑している比較的有名なジャケットである。Vee Jayレーベルの作品は20年ほど前にファンハウスからまとめてCD化されたことがあったが、その後Wynton Kellyのものなど有名なミュージシャンのものは頻繁に再発されつつも、例えばVictor Feldmanとか、Leroy Vinnegar とか、知名度のさほど高くないミュージシャンのものは廃盤のままである。MJT+3のものもそれである。これには私が好きなHarold Mabernが入っていて興味があった。値段も廃盤の割には1470円とまぁまぁの価格だった。そういうわけでこれも買うことにする。
この日、ディスクユニオン新宿ジャズ館では中古CD3枚で10%割引をやっていた。欲しい3枚がまとまったことだしちょうどいいやと思ってこれらのCDを買う。その後3階の中古CDフロアに行ったが、特にほしいというものはなかった。
最後に1階に行ってみる。先週私が買ったJohn Hicks “I’ll Give You Something To Remember Me By….”があるかどうか見てみた。さすがディスクユニオン新宿ジャズ館、一枚も売っていない。おそらく3月15日に販売になるやいなや、好事家たちが寄ってたかって買いあさったのであろう。この作品を3月14日にフライング購入しておいてよかった。
ついでに新宿タワーレコードにもよってみる。特にほしいという品はなく、上記John Hicksの作品をタワーがフォローしているかどうかをちょっとみてみる。すると、あるわあるわタワーのジャズCD売り場のそこかしこに4枚ずつ位分散して置いてあって、数えてみると全部で12枚置いてあった。さすがタワーレコード、ジャズ好事家が全くマークしていないことがよくわかる。最近タワーレコードやHMVあたりでも、「レア本」に掲載されるような盤だと、入荷と同時に目玉商品として売り場の随所に展開している。タワーやHMVのバイヤーであっても、店によっては侮れない。
そういうわけで、満足のいく品を買ってこの日新宿を後にする。例によって昔の作品ばかりになってしまったが、昔の作品であっても聴いてみたいと思いつつ未だ入手していない作品は山ほどあるし、昔のすぐれた作品を削ってまで現代ジャズ作品を聴いてみたいというものでもない。
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2009年03月20日
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Tridentはやたら再発されるのにNight And Dayで幕を開ける“Zeitgeist”が出ず痺れをきらしてました。
とうとうMosaicから未発表音源も含めCD化ですか(溜息)。しかし値段を考えるとウーン・・・、悩みますね^^;
DUの担当者に訊いたら全店在庫なしとのこと。あまり入ってこなかったのか人気で即刻売り切れたのか。
若い頃の録音、少ないしな。今10件ほどオーダー入ってるそうなので私のような根強いファンがいるのか。
VeeJayの作品はどれもよくファンハウスとFreshsoundの再発で揃えました。大好きなVictor Feldmanの
“It's a wonderful world”泣きたくなるほどいいです。“I thought about you”なんてホロリとします。
goissさんの母校、そうだったんですか。親の従兄弟の息子がそこの法学部をでて弁護士になっています。
法事で会う位ですが。学年はたぶんgoissさんと同じかひとつ下、もしかしたら顔見知りかもしれませんね。
Tridentはやたら再発されますが、その他のコロンビア録音、とりわけZeitgeistはなかなか出ませんでしたね。CathexisやCarnivalは、一応2in1で再発されていはしたものの、Carnivalの一部の曲はCD収録時間の関係でカットされており残念でした。そのため、今回のモザイクからの再発は貴重なものであると思います。そりゃ好事家がよってたかって買いにいき、すぐ売り切れるわけです。DU渋谷で売っていたものも、どうも最後の1セットだったようです。
Victor Feldmanの作品を私は結構好きでひところよく聞いていました。Victor Feldmanの"The Arrival of Victor Feldman"がひところCDで出たのですがその後すぐ廃盤となり、1992年ころからこれを見つけようと躍起になってあちこちのCD屋を足を棒にして探したものでした。これが私の廃盤探索の嚆矢となったものです。
私の卒業した大学は山の中にあります。それがいやで大学院はバカ田大学の隣に行きました。しかし山の中も2週間に1度くらい行くのは休養になっていいものです。そういうわけで私はその学校で本職と兼任で教師をすることに決めました。
goissさんが廃盤セールがあると書いていらしたので新宿ジャズ館へ。昼過ぎで既に廃盤放出の棚は食い荒らされており目ぼしいものは何もない。髭のジャズオヤジがそこから8,400円のCDを抜きだし男性店員に状態がよくないからマケろと言い寄っている。気の弱い私にはとても言えない。今日も収穫はなく気が滅入る。
一縷の望みを繋ぎ新宿中古センターへ。新入荷の棚には何もないが下を見ると複数のダンボールにアウトレットの商品が詰まっている。中にJimmy Giuffreの“In concert”が500円、Hugh Lawsonの“Prime Time”が800円だったのでゲットする。少し気持ちが和らぐ。ついでに普段は見ない525円の棚に目を移すとエッと思うような作品が捨て置かれている。既に持っているのでイカンと思いつつも見るに忍びないのでNORMAの“The gilrls sings vol.2”など3枚ほど抜いてレジに行く。またやってしまった、気は晴れない。
なので余り期待できないが帰りに近所のCD屋に寄ってゆく。そこで追い討ちをかけるような出来事が・・・。つい先日DUで迷った末に買ったELENCOの希少盤が1,380円で並んでいる。私の買値の半額。。。血の気が引きつつ、やはりGoissさんのように待つことも大事なのだと思い知る。しかし最後に大番狂わせが。先日話題に上ったビル・エヴァンスの“Consecration”の国内盤「ラスト・レコーディング」のT・U・Vが仲良く揃ってジャズ新入荷の棚に並んでいるではないか。それも盤質Aで値段も各1,380円とリーズナブル。シリーズものは揃っていないと買えない私はこれぞ「買いなさい」という神の啓示だと思って欣喜雀躍しながら買う。
最後になんとか救われる。ジャズの神様も私を哀れんでくれたのかもしれない・・・。
ほんの一時間ほど前のエヴァンスとの出会いがあまりに劇的だったのでgoissさんになったつもりで書かせて頂きました。もうしませんのでご容赦を^^;今聴きながら書いていますが一生の宝物になりますね、コレは。
面白い!! 私になったつもりとおっしゃいますが、私が書くよりも面白いです。最後にオチをつけたあたりなかなか凝っていますね。「もうしませんのでご容赦を」などといわず、これからもジャンジャンやってください。
私も昼過ぎくらいからDU新宿に行ってみようかと思いましたが、別の所用のためやめました。ポスターに出ていたCDを見る限り、さほど期待できるものとは思えませんでした。それにしても、「状態が悪いからまけろ」といった髭のジャズ・オヤジがいたんですか。そういうのは初めて聞きました。やはりジャズ・オヤジにはいろんなのがいるものです。私を含めて。
この日の東京めたぼサマの最大の収穫はコンセクレーションではないかと勝手に思っています。ビル・エヴァンスの晩年の作品はどれも命を削っての絶唱で、どれを聴いても感動します。コンセクレーションもその一つです。
ちなみにこのコンセクレーションのセッションには、どういうわけかエヴァンスの18番"Nardis"が入っていません。コンセクレーションのボックスものにも入っていません。晩年のエヴァンスの"Nardis"は、"Paris Concert Edition II"に入っています。こちらは鳥肌ものです。
“Paris Concert Edition 1,2”注文しました。Edition 2のほうを順に試聴していて曲想やプレイにデニー・ザイトリンに通じる精神性を感じ、晩年のエヴァンスはこんなに重厚なタッチをしていたのかと驚かされました。Nardisにきてイントロから拍手が起こった時点で毛が逆立ちましたのでこれは買うしかないと直感しました。
ちょうどHMVで「輸入盤3枚買うと30%OFFセール」をやっていたのであと一枚を何にしようかと考えあぐね、そうだ!見送っていたMarco Di Marcoの“Un Autunno Aparigi”がいいと即決しました。
運命の女神に「さあ最後の聖域へ」と誘われているかのようですね(笑)。
ゴイスさん こんばんは
新宿の廃盤セールですが、私も所用があり行ってみたのは午後の遅い時間でした。
確かにゴイスさんが仰るようにポスターをみても、これはという目玉商品はないですね。
ゴイスさん曰く《それどころか、店の方で勝手に目玉商品を作って売っているという感じすらする。目玉商品は、目玉性を支える根拠とか権威があってこそ目玉商品なわけで、それを店が作るのでは目玉性に説得力が欠ける。≫のご意見ですが、単純に考えれば仰ることごもっともと思われる反面、逆に独自な廃盤を創出(?)することも悪いことではないと考えるものです。
廃盤とはまさに再発をされることがない盤の総称でしょうが、内容の秀逸性、需要と供給の織りなす希少性、ある影響力のある外部の宣伝効果等が上手く功を奏し、権威と言う共同幻想的なものがあまねく行渡った時、晴れて一級の廃盤となり得るのでしょう。しかし、ここでいう『内容の秀逸性』には一般性が乏しく特殊性が多く、好みの違いやジャズ鑑賞へのセンスの違い等が千差万別であるため、実際に聴くと風評とのギャップを感じる者もいて然りなのでしょう。
所詮廃盤神話はジャズの感動をより深く求める欲望が作り出す幻想の上に成り立っているのでしょう。私の経験に即しても実際に聴いた後、なるほどこれは凄いという盤など数えるほどしかなかたのも事実。逆にこれでいいのだと思う昨今です。金ぴかの廃盤ばかりがゴロゴロしていたら困りますものね。
故に、売り側がこれぞ廃盤だという盤を創出するのもゴイスさんが仰る権威という意味が不明ですが、これはこれで好いのではないかと思うのです。そういう環境で真の廃盤が生まれゆく、そんな市場原理を尊重したいと考えるものです。
「内容の秀逸性、需要と供給の織りなす希少性、ある影響力のある外部の宣伝効果等が上手く功を奏し、権威と言う共同幻想的なものがあまねく行渡った時、晴れて一級の廃盤となり得るのでしょう」というのは私もまったく同感で、私が言っている「権威」というのはまさしくこの点です。
店がそうした権威をすくい上げて高値を付け、廃盤セールに持ち出すのならそれはそれでいいと思っています。
問題は、店がそうした権威をすくいあげることなく、逆に自らが権威となって高値をつけて廃盤セールに出品することにあると思っています。
しかし、店が商品を売らんかなとして「目玉商品」を作ることはそれは廃盤の紹介の機会としてはありかなぁとも思いますし、売り手の在り方としてはごくごく当然至極なのでしょう。そして、その中でカスは淘汰され、真の廃盤が生まれてくるのもまた市場原理なのですね。
それにしても最近、廃盤セールでは淘汰されるCDが多すぎですね。1470円で売ればいいものをセールでは5000円近い値段をつけて出品し、それが売れなくてセールが終わると借りてきた猫のようにおとなしくまた1470円くらいで売るというような(しかしこれは、今に始まったことではないか)。
Paris Concert注文しましたか。エヴァンスと言えば、例の4部作+お城くらいのイメージを持っている人にとってはこの作品は結構衝撃的だと思います。「これは買うしかない」と思った東京めたぼサマの直感は正解と思います。
私がジャズを聴き始めた1986年当時はこれはCD化されておらず、1989年になってようやくCD化されました。特にEdition 2の方は発売当日が大喪の礼の日で、自粛営業をする石丸電気に駆け込んでこれを買った覚えがあります。この作品しばらく廃盤で入手しにくかった時代もありましたが、現在は容易に入手できます。よい時代になったものです。