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Twitter Send 2010/03/22 13:19 KST
在樺コリアン訴訟、韓日請求権協定にも影響あるか


【東京22日聯合ニュース】サハリン残留韓国・朝鮮人の旧日本軍による強制労働当時の郵便貯金の払い戻しを求める訴訟で、日本政府は、韓日請求権協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定)の締結以降に韓国籍を取得した韓国人の個人請求権も消滅したと主張している。

 日本の裁判所がこの論理を受け入れた場合、影響を受ける対象は無限に拡大することができる。まだ日本と請求権協定のような戦後特別条約を結んでいない北朝鮮にも影響が及び、韓国主導で南北が統一されれば、北朝鮮住民の個人請求権も協定締結の1965年までさかのぼり消滅する可能性がある。さらに最大限に拡大すれば、請求権協定締結後に韓国に帰化した日本人の財産権も一部消滅することにもなる。

 日本政府の今回のような主張は、韓国側の解釈とは異なる可能性があることを分かった上でのもので、これは深刻な問題だ。日本政府は裁判所に提出した文書のなかで、協定の解釈権は締結国にあり、韓国国民の範囲も請求権協定の合理的解釈に基づき日本政府が判定することになると主張している。これが受け入れられた場合、1990年代以降に永住帰国したサハリン残留韓国人らの強制郵便貯金は、韓国政府が代わりに補償しなければならない。北朝鮮住民の請求に対しても同様だ。

 韓国政府としては、韓日請求権協定締結時には予想もつかなかった責任を負わされることになるため、裁判所に日本政府の解釈は妥当でないとの見解を示すなど、敏感に対応している。外交通商部関係者は、日本政府の主張が受け入れられないよう、サハリン残留韓国人側弁護団を通じ、積極的に対応していくと話した。

 ただ、裁判所が日本政府の主張を受け入れた場合、韓国政府はこれを根拠に個人の請求権の解決などを規定した韓日請求権協定第2条の無効を主張することが可能だ。

 「条約法に関するウィーン条約」は第2条で条約の用語について、通常の意味に従い解釈すべきと定め、第48条などでは締約国間の解釈が異なる場合、錯誤や是正変更の原則により条約は無効になると規定している。

 しかし、裁判所が日本政府の主張を受け入れると同時に、韓日請求権協定が無効になるわけではない。協定の解釈をめぐり韓日間で紛争が生じた場合はまず外交上のルートで解決しなければならないと、請求権協定そのものに明示されているためだ。

 外交通商部はまずは外務省との協議で食い違う解釈を調整し、それでも解決できなければ、両国で構成する仲裁委員会の決定に従わなければならない。ここでも妥結に至らなければ、韓日請求権協定第2条の無効を宣言することができるが、事態がここまで悪化する可能性は低いと、専門家らは予想する。

 旧日本軍被害者らによる各種請求権訴訟は、日本国内でも政治的に敏感なイシューだ。前例から見ても、政府側弁護団が任意でこうした主張をしたとみることは難しい。日本政府関係者も、各省庁の協議を経たと話している。それではなぜ、日本はこうした主張をし、韓国を刺激したのか。

 これについて、韓国の外交専門家は「まず訴訟に勝つためにあれこれと主張したのだろう」と話す。日本政府はこれまでにも、消滅時効が過ぎた、あるいは日本国内法に基づき認められないなど、さまざまな論理を掲げ訴訟に対応してきた。このうちいくつかの主張が裁判所に受け入れられた前例がある。今回の主張も、そうした脈絡のものではないかとの見方だ。ただ、この専門家も、今回の主張については「あまりに刺激的」と指摘。ここまでの主張をしてこなかった日本政府が、なぜこのように態度を変えたのか疑問だと述べた。

 サハリン残留韓国人側の高木健一弁護士は、日本政府がこうした主張を掲げたのが昨年3月だったという点に注目すべきだと述べている。当時の自民党政権は、8月末の衆議院議員総選挙を前に、北朝鮮に対する追加制裁案を策定するなど、保守色を一層強めていた。結局、政権は民主党に渡り、韓国政府は民主党政権発足後の9月末に反発の主張を裁判所に提出した。その後、日本政府は、原告側の主張撤回要求に「無対応」を貫いている。

 鳩山由紀夫首相は野党議員時代、日本が太平洋戦争で外国に与えた被害を国会レベルで調査しようという内容の法案を提出したことがある。2001年5月には民主党代表として京畿道・安山にあるサハリン残留韓国人定着支援施設を訪問するなど、前向きな見方を持っているという点を意識したものと解釈される。

 高木弁護士も、最初は日本政府が道義に背く主張をしたことに驚いたとしながらも、鳩山首相の立場はこうした主張とは異なるだけに、今後、外務省などがどのような措置を取るかを見守る必要があると指摘した。

japanese@yna.co.kr