福岡市西区の能古島(のこのしま)で同市博多区の会社員女性(32)の切断遺体が見つかった事件は、22日で発見から1週間がたつ。温厚で面倒見が良かったという被害者。帰宅を待ち伏せされ、事件に巻き込まれた可能性もあるが、有力な目撃情報はない。福岡県警は、女性の交友関係を中心にトラブルがなかったか捜査するとともに、遺体のほかの部位について博多湾沿岸にまで範囲を広げて捜索している。
「おとなしかったのに営業で採用されたと聞いてみんな感心していた。内定後は医薬品を一生懸命勉強していた。恨まれるような人じゃない」。女性が大学時代にアルバイトをしていた鹿児島市内の居酒屋の店主は振り返る。
女性は福岡県の高校を出て鹿児島県の大学に進学。卒業後は医薬品卸会社に就職した。女性としては初の営業担当で、会社関係者は「後輩の面倒見がよく、物事に動じない性格。犯人を許せない」と話す。
捜査関係者によると、女性は博多区のアパート2階に一人で住んでいた。今月5日午後7時ごろ、福岡県筑紫野市の勤務先を退社。翌6日午前5時ごろ、ゴルフコンペのために同僚が女性宅を訪れたが、応答がなかった。自室には普段使っていたバッグや財布があり、県警は、女性が5日夜に帰宅後、6日未明にかけてトラブルに巻き込まれたとみている。
部屋は施錠され、室内には物色された形跡や血痕、土足の跡はなかったが、ベランダ側の窓ガラスが内側から割れていた。業務用の携帯電話は室内にあったが、私用の携帯電話が見つかっていない。
捜査関係者によると、どちらの携帯電話にも事件につながるような不審な通話履歴はなかった。県警は、犯人が女性と待ち合わせるのではなく、帰宅を待ち伏せしていた可能性もあるとみている。