エルサレム近郊の難民キャンプで20日起きた衝突で、投石したパレスチナ人を拘束するイスラエル国境警備隊員ら=ロイター
【エルサレム=井上道夫】ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ナブルス近郊で20日から21日にかけて、パレスチナ人住民とイスラエル軍が衝突し、少年2人を含むパレスチナ人計4人が死亡した。
イスラエルが占領する西岸や東エルサレムでは、同国政府の入植住宅建設計画などに反発するパレスチナ人とイスラエル治安部隊の衝突が相次いでいる。死者が出たことで騒動が広がる恐れがあり、米仲介のパレスチナ和平交渉に影響が出る可能性もある。
20日午後、ユダヤ人入植地に反対するパレスチナ人と同軍が衝突し10代の少年2人が死亡。2人が搬送された病院の医師によると、1人は胸部を撃たれ、もう1人は頭部に銃弾が残っていたという。21日には、パレスチナ人2人がイスラエル兵に射殺された。
イスラエル軍は20日の衝突について、「暴動を鎮圧するためにゴム弾を使用した」とする声明を発表し、実弾の使用を否定した。ただ、衝突時の状況を調査するとしている。21日の事件は「パトロール中の兵士をパレスチナ人が刺そうとしたので発砲した」と説明した。
アッバス・パレスチナ自治政府議長は市民に自制を促しているが、西岸や東エルサレムだけでなく自治区ガザの武装勢力も動き出している。パレスチナ解放機構(PLO)の幹部の一人は、「イスラエルの挑発行為が続けば、インティファーダ(対イスラエル民衆蜂起)につながる恐れがある」と指摘する。
パレスチナ和平を促すため西岸を訪問した潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は20日、自治区ラマラで会見し、「占領地での入植活動は違法」と指摘して、イスラエル政府に入植を停止するよう訴えた。