把瑠都、大関見えターン！自身初８連勝…春場所８日目

把瑠都（右）は旭天鵬を寄り切り全勝をキープした

　◆大相撲春場所８日目　○把瑠都（寄り切り）旭天鵬●（２１日・大阪府立体育会館）　大関取りを目指す関脇・把瑠都（２５）＝尾上＝が初の全勝ターンを決めた。東前頭２枚目の旭天鵬（３５）＝大島＝を寄り切り完勝。自身初となる初日から８連勝で勝ち越しに成功した。大関取りへ母国エストニアでは、しこ名を冠した「把瑠都道場」が設立されたことが判明。ふるさとの期待を背に一気に大関を奪い取る。中日を終え全勝は把瑠都、横綱・白鵬（２５）＝宮城野＝ら３人。大関陣は４人全員が敗れ先場所４日目以来の総崩れとなった。

　把瑠都が盤石の相撲を見せつけた。旭天鵬が不用意に巻き替えにきた好機を見逃さなかった。「もう出るしかないと思った」。一気に出て寄り切り。１３秒２の全く危なげない相撲で、初の中日勝ち越しを決めた。師匠の尾上親方（元小結・濱ノ嶋）の４０歳の誕生日に「いいプレゼントになった？　そうだね」と笑みを浮かべた。

　自身初の８連勝で大関昇進へ向けますます期待が膨らむが、母国・エストニアでもこれまでにない盛り上がりを見せている。故郷のラクベレでこのほど、「把瑠都」の名前を冠した道場が誕生した。エストニアの関係者によれば玄関には「把瑠都道場」と書かれた看板が掲げられており、柔道や相撲ができるマットが備えられている。

　この道場は把瑠都が１６歳から始めた柔道などで汗を流していた思い出の場所。日本の大相撲での活躍を記念して名前がつけられた。同関係者は「地元の市長や相撲関係者がすごい応援してくれている」と証言した。母国の大きな期待に応えるためにも、今場所で一気に大関昇進を決めたいところだ。

　初の中日勝ち越し。武蔵川理事長（元横綱・三重ノ海）は「落ち着いて素早く前に出ている」と絶賛した。９日目の魁皇戦から大関戦が始まる。いよいよ正念場を迎えるが同理事長は「精神的に乗り越えられるか。自分の相撲を信じていくしかない」とエールを送った。

　これに対し把瑠都は「まだ勝ち越しだけじゃダメだというのは自分の中でよくわかってるから」と気の緩みはない。ノルマの１３勝まであと５勝。母国の声援を後押しに、エストニアの英雄が連勝街道を突き進む。