築地名物「合がけ」大森87年の営業に幕

　東京・築地市場で働く人たちや観光客の胃袋を名物「合がけ」で満たしてきた食堂「大森」が２０日、８７年間の営業に幕を下ろした。合がけはご飯に牛丼とカレーが半分ずつで７００円。この日は午前１１時にカレーがなくなり名物は売り切れ。午後１時には牛丼の具も空になって店じまい。

　大森英則さん（６８）は３代目。１９８８年（昭６３）に脱サラし、病気で倒れた母親から場外市場のカウンター５席の店を継いだ。父親が２３年（大１２）上野で開業し、関東大震災で店を失って築地に移転。合がけは市場の人たちのリクエストで母親が出し始めた。「７０歳でひと区切りを付けようと…。まだ２年早いけどそろそろと思って」と大森さん。３人の子どもに店を継がせることは考えなかったという。閉店間際には会社員時代の上司、同僚５人が駆けつけて３本締め。大森さんは一緒に店を守ってきた妻雅己さん（６６）と笑顔で後片付けに追われていた。

　［2010年3月21日8時39分　紙面から］