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風速16M超…陸自演習場野焼きで3人死亡

静岡県の陸上自衛隊東富士演習場で、野焼き作業により男性が死亡した現場付近で続く野焼き=共同通信社ヘリから
静岡県の陸上自衛隊東富士演習場で、野焼き作業により男性が死亡した現場付近で続く野焼き=共同通信社ヘリから
Photo By 共同

 静岡県御殿場市の陸上自衛隊東富士演習場で20日午前10時ごろ、野焼き作業をしていた男性3人が火に巻かれた。3人は全身やけどで病院に運ばれたが、いずれも死亡が確認された。同市在住でボランティアで参加していた30代とみられ、御殿場署が身元の確認を進めている。この日は全国的に非常に強い風が吹き荒れ、気象庁が警戒を呼び掛けていた。

 御殿場署や御殿場市によると、野焼き作業は午前9時半ごろ、計5人で開始。避難した2人の話では、斜面を通る道を上りながら、携帯用ガスバーナーで枯れ草などに火を付けていたところ、風向きが変わって火勢が強くなったという。

 地元消防などによると、同市在住の勝間田和之さん(37)、勝間田嘉弘さん(33)、池谷慶市さん(32)と連絡が取れず、同署が身元の特定を急いでいる。3人は「火防隊」と呼ばれる地元ボランティア団体のメンバーとして加わっていた。

 野焼きは地元にある4つの入会組合が合同で実施、自衛隊員約700人が協力し計約1100人が参加した。「東富士入会組合」の組合長が作業の責任者を務めていた。

 東富士演習場を管理する陸上自衛隊富士学校によると、野焼きは1973年から毎年1回、この時期にツツガムシやガなど害虫駆除などのため実施。当初2月27日に実施予定だったが、積雪や雨の影響で、1週間おきに延期しながら実施時期を探っていたという。

 静岡地方気象台によると、同市では20日午前10時、最大瞬間風速で16・4メートルの南南東の風を記録するなど強い風が吹いていた。強風注意報は出ていなかったが、気象庁が警戒を呼び掛けていた。

 御殿場署は業務上過失致死の疑いもあるとみて、作業の手順や火が広がった状況などについて、責任者らから事情を聴いている。

 毎年多くの近隣住民でにぎわう恒例行事で起きた惨事に、別の団体の男性(38)は「例年、火を付け始めると風がどんどん強まっていくが、今年は特別強く、台風みたいな風だった」と当時の状況を説明。近所の男性(50)は「朝からぬれた洗濯物が飛ばされるぐらいの風で、大丈夫かなと家族と話していたが…」と唇をかんだ。

 05年4月には、東富士演習場に隣接する陸上自衛隊北富士演習場(山梨県)で、野焼きに参加した男性が焼死している。

 20日はほぼ全国的に非常に強い風が吹き、電車の運行を見合わせるなど各地で影響が出た。

 ▼気象予報士・森田正光氏 気象庁は17日に、急速に発達する低気圧の影響で、20〜21日には全国的に大荒れの天気になるという異例の情報をすでに出していた。そんな予報が出ている中での野焼きは、無謀な行為としか言いようがない。完全な判断ミスだ。野焼きのシーズンと重なる3月は、1年のうちで風が最も強い。急に突風が吹いたり、風向きがコロコロ変わるということを肝に銘じてほしい。

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