1987年4月の国鉄分割・民営化で、北海道、九州の国労組合員を中心に約7630人がJRに不採用となった。中央労働委員会は旧国鉄清算事業団に移り解雇された1047人について、一部を除き選考見直しや採用をするよう命令。JR側が行政訴訟を起こし2003年、最高裁で中労委の救済命令取り消しが確定した。解雇された国労組合員らは02年以降、地位確認や慰謝料を求め提訴。これまで2つの訴訟の一審判決と高裁判決で組合差別があったと認定。別の訴訟では損害賠償請求権の時効を理由に訴えを退けた。
(2010年3月19日掲載)
1987年の国鉄分割・民営化に伴い、国労組合員ら1047人が不採用となった問題で、民主、社民、国民新、公明の4党は18日、国鉄の債務を引き継いだ独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」などを相手取った損害賠償請求訴訟の原告である組合員や遺族に対し、1世帯当たり2406万5000円の和解金を支払うなどの解決案を政府に申し入れた。和解金は当初の「たたき台」より550万円減額となり、前原誠司国土交通相は「現実的」と評価。国労側も受け入れに前向きの姿勢を示した。
前原国交相は報道陣に「官邸と相談して近く結論を出したい」と説明。鳩山由紀夫首相も「超党派で方向性を出されたので真剣に検討しなければならない」と語った。政府、国労が正式に合意すれば、訴訟の原告、被告双方が解決案を軸に最終決着に向けた協議に入る見込み。国鉄民営化の「負の遺産」は23年ぶりの解決へ動きだした。
4党によると、和解金は同訴訟一審判決(2008年1月、東京地裁)で認定された賠償額550万円を基準に、23年分の遅滞金利や一時金1224万円を合算。原告910世帯が救済対象となり、総額は218億9900万円になる。
このほか政府は組合員らの就職を仲介するため、JR各社に約200人の雇用を要請。経営基盤が弱い九州、北海道、四国、貨物の4社に対しては、給与の半額を3年間肩代わりする雇用調整金も検討する。
和解金も含めた費用はすべて、旧国鉄の資産売却益などを積み立てた同機構の特別会計(特定業務勘定)から支出。4党は政府に対し「(解決案の)完全実施をもっての政治解決を強く要請する」と伝えた。
解決案は昨年暮れ、与党3党と前政権時代から取り組む公明党で協議を開始。今年2月下旬にまとめた「たたき台」では和解金を2950万円としたが、前原国交相は「賠償額と懸け離れている」と難色を示していた。
人道的な解決に努力をお願いしたい。
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