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裁判員裁判で通訳ミス多数 専門家鑑定 長文は6割以上(1/2ページ)

2010年3月21日21時17分

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 大阪地裁で昨年11月にあった覚せい剤密輸事件の裁判員裁判で、司法通訳人2人が外国人被告の発言を英語から日本語に訳した際に、「誤訳」や「訳し漏れ」が多数あったと専門家が鑑定したことがわかった。長文に及ぶ発言では全体の60%以上になると指摘している。被告の弁護人は「裁判員らの判断に影響を与えた可能性が高い」とし、審理を地裁に差し戻すよう控訴審で求める。

 この被告はドイツ国籍の女性ガルスパハ・ベニース被告(54)。知人女性らから依頼され、報酬目当てで覚せい剤約3キロをドイツから関西空港に運んだとして、覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)の罪に問われ、懲役9年、罰金350万円の判決を受けた。

 南アフリカ生まれの被告は英語が母語であることから、地裁は男女2人の英語の司法通訳人を選任。2人は交代で通訳にあたった。被告は法廷で「違法な薬物を運んでいるという認識はなかった」と無罪を主張したが、判決は「罪を免れるための虚偽」と判断し、容疑を認めた捜査段階の供述のほうが信用できるとして実刑を導いた。

 控訴審から弁護人になった渡辺●修(ぎしゅう、●は「豈」の右に「頁」)弁護士(大阪弁護士会)は今年2月、通訳内容を検証するため、司法通訳人の活動実績もある金城学院大文学部の水野真木子教授(通訳論)に、地裁が2日間の審理の過程をすべて録音したDVDの鑑定を依頼した。

 その結果、主語と述語がそろった文を二つ以上含む被告の発言の65%(61件中40件)で、意味を取り違える「誤訳」や、訳の一部が欠落する「訳し漏れ」があったとした。「はい」「いいえ」といった一言のやりとりを除く短い発言を含めると、通訳ミスは全体の34%(152件中52件)でみられたという。

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