先日、東京都区内発、小田急線・飯田線経由、武蔵溝ノ口までの通過連絡乗車券を購入したと書いた。今回は実際に乗ってみたい。
おさらい。
JR東日本は2010年3月13日のダイヤ改正で横須賀線 武蔵小杉駅を開業する。
この開業にあわせて、新宿~登戸間(小田急線)と渋谷~武蔵小杉間(東横線)の普通乗車券での通過連絡運輸の廃止が発表された(定期券は存置)。
なくなると分かれば行ってみたくなるのが人の性。そうなのか?
ルートは、
東京都区内(東京)→[中央東]→新宿→[小田急線]→登戸→[南武]→立川→[中央東]→岡谷→[飯田線]→豊橋→[新幹線]→品川→[東海]→川崎→[南武]→武蔵溝ノ口。
えきねっとで経路を指定した乗車券は、自動改札を通過させるため120mm券ではなく85mm券で発券される。
乗車券の券面には品川までしか記載がなく、(南武線)川崎・尻手経由、鶴見・浜川崎経由(鶴見線)のどちらなのかが不明となってしまう。
本来であれば発券時に手書き事項として追記すべき内容であるが、指定席券売機MV30ではそのまま発券されてしまう。
なお、この乗車券は券面経路からも明らかなように、東日本会社線、東海会社線、小田急電鉄線の通過連絡乗車券である。
東海旅客鉄道は小田急電鉄との通過連絡運輸を取り扱わないため、規則上はおそらく存在し得ない乗車券であると思われる。
過去に何例かあったえきねっとの経路指定バグだろうか。
いずれにせよ、2010/3/13の早朝にえきねっとのプログラムが更新されたため小田急電鉄線、東京急行電鉄線に関連した通過連絡運輸の乗車券は既に購入できないように修正されている。
前置きが長くなった。行ってきます。
この先は大量の画像が貼られています。だいたい150枚くらい。
東京。
中央線快速電車で新宿に向かう。
新宿。一旦JR改札外へ出場し、小田急線有人改札から再入場。
小田急線は今なお改札鋏を使用しており、駅員に頼めば入鋏痕を入れてもらうことも可能。
JR線の営業キロが100kmを超えており、東京近郊区間外の経路を持つためこの乗車券はJR線内において途中下車が可能である。
では、小田急電鉄線内においてはどうだろうか。
下北沢駅。
ここは小田急電鉄線と京王電鉄線が改札内でつながっており、互いの改札を互いの有効な乗車券で入出場可能となっている。
試すには丁度良い駅なのでここで途中下車してみたい。小田急側の自動改札に恐る恐る通してみる。
何の問題もなく乗車券が返却され、自動改札の扉が開く。
JR線内で途中下車可能な乗車券は連絡会社線内においても途中下車可能であることがわかる。
下北沢の街中を少し歩き、京王電鉄線の下北沢駅改札へ向かう。
井の頭線ホーム。
京王線 下北沢駅。
さて、先ほど途中下車したばかりのこの乗車券で京王電鉄の自動改札を通過できるだろうか。
こちらもあっさりと入場可能。井の頭線の電車を眺めつつ小田急側下り線に戻る。
下り線ホーム。
これ以上は寄り道せず登戸まで一直線。
登戸駅改札口。
自動改札で乗車券が返却される。当たり前なようで私鉄では珍しい現象だ。
続いてJRの登戸駅。
こちらも入場可能。
ここから武蔵溝ノ口までは僅か4駅であるがこれから中央線、飯田線、新幹線を乗り継ぐ無駄に壮大な旅が幕を開ける。もう帰ろうよ。
とはいえ今日はもう遅い。
立川。一旦帰宅し、明日再び旅行再開しよう。
一日で目的地まで到達するのが当たり前になった今時分では貴重な経験のように思う。
翌日。立川10:17発、中央本線957M 大月行に乗り旅行再開。
八王子到着は10:27。
八王子で10:33発 11M 特急スーパーあずさ11号に乗り、一路上諏訪を目指す。
なお特急スーパーあずさ11号松本行きは八王子、甲府、茅野、上諏訪のみ停車の速達タイプの特急である。
コピペにもなった狭い範囲で有名な高原野菜とカツの弁当。
大月を出ると速い速い。しかも振り子特急E351系電車であるため左右にぐわんぐわん揺られる。
そんな中でも食事をし本を読む。乗り物酔いしないタイプなのだと改めて思う。
甲府。半分近く客が降り、空席が目立ちはじめる。
雪が降り出した。3月とはいえまだ冬なのだろう。
12:09、上諏訪着。
特急を降り5分の待ち合わせ、12:14発中央本線・篠ノ井線 435M普通列車長野行きに乗り換える。
信州版路線図。
12:24、岡谷到着。
今回の目的でもある中央本線駅から豊橋までの飯田線全線直通電車。
中央本線から豊橋まで直通する上り電車は以下のとおり。
544M 上諏訪9:19~豊橋15:54(6時間35分)
554M 岡谷12:29~豊橋18:13(5時間44分)
570M 上諏訪16:25~豊橋22:47(6時間22分)
豊橋からの下り直通はさらに少なく、1日わずか1本である。
519M 豊橋10:43~上諏訪17:40(6時間57分)
今回乗車する554M 岡谷発豊橋行きは上諏訪始発の他2本と異なり岡谷始発であり乗る距離自体は短くなるがこの列車だけの大きな特徴がある。
それはこの554Mのみが全直通列車で唯一、下地・船町の2駅に停車することである。
この2駅は原則豊橋~新城間区間列車しか止まらないが554Mは数少ない例外である。
また所要時間を見てもこの列車のみ6時間を切っており上諏訪~岡谷間10分とみても速いことがわかる。
途中主要駅での時間調整的長時間停車がないためであるが、それは即ち食事も飲み物も買いに行けないことを意味する。
しかし国鉄型119系でトイレは付いてはいるものの約6時間乗りとおしか……。
なおこの119系電車は全国でもここ飯田線のみで運用されている形式である。
岡谷。ここからみどり湖経由の新線、辰野経由の旧線に分かれる。
飯田線方面は旧線の辰野から分岐する。
川岸。
辰野。駅名標が妙に凝ってる。
ここまでがJR東日本。ここから先はJR東海となる境界駅のため乗務員が交代する。
正面に止まっているのは辰野12:46発、普通列車161M塩尻行き。
飯田線はここから豊橋まで215.3km、あと93駅。
6時間弱の車内から出られない旅が始まる。誰得。
01:宮木(みやき/ミキ)
02:伊那新町(いなしんまち/イマ) いきなり撮影ミス。
03:羽場(はば/ハハ)
04:沢(さわ/サワ)
05:伊那松島(いなまつしま/ママ)
06:木ノ下(きのした/シタ)
07:北殿(きたとの/トノ)
08:田畑(たばた/タハ)
09:伊那北(いなきた/ナキ)
10:伊那市(いなし/ナシ)
11:下島(しもじま/モマ)
12:沢渡(さわんど/ワン) さわたりではない。
13:赤木(あかぎ/アカ)
だいたい1時間経ったが、さっきから同じような景色がずっと続いている。
14:宮田(みやだ/ミヤ)
15:大田切(おおたぎり/オタ)
16:駒ヶ根(こまがね/コマ) ここで一気に乗客が減る。
17:小町屋(こまちや/コヤ)
18:伊那福岡(いなふくおか/イフ)
19:田切(たぎり/タリ)
まだ長野県内。まだ半分どころか1/4も終わっていない。
20:飯島(いいじま/イシ)
凄く急なカーブ。こういう所がこの周辺には何箇所もある。1M1Tなので加速も減速も早い早い。
21:伊那本郷(いなほんごう/イウ)
22:七久保(ななくぼ/ナホ) 麻雀って楽しいよね。
23:高遠原(たかとおばら/タカ)
24:伊那田島(いなたじま/ナタ)
路線図。「5」のような珍妙に曲がっているのが飯田線。
25:上片桐(かみかたぎり/ミリ)
また急カーブ。隣の駅までとても近い駅が多いが、意外に時間がかかる。
26:伊那大島(いなおおしま/イオ)
27:山吹(やまぶき/ヤフ)
28:下平(しもだいら/シラ)
29:市田(いちだ/チタ)
30:下市田(しもいちだ/シイ)
31:元善光寺(もとぜんこうじ/モシ) 実は辰野からここまで貨物路線でもあったりする。ただし現在貨物列車の設定は無い。
32:伊那上郷(いなかみさと/イナ) 路線はここから大きく迂回しており、列車によってはここで降りて下山村まで走って乗り換えられることも。Ω。
33:桜町(さくらまち/サチ) 駅名標撮り損ねた。
34:飯田(いいだ/イイ) 5分停車なので、記念に途中下車印のみ押して貰う。だいたいここまでで2時間。先は長い。なお飯田~豊橋間は特急ワイドビュー伊那路号が1日2往復運転される。
35:切石(きりいし/キリ)
36:鼎(かなえ/カヘ) なんて字だこれ?
37:下山村(しもやまむら/ムラ) ここから伊那上郷へは下り坂なので電車と競争するならここから狙った方が良いかもしれない。
38:伊那八幡(いなやわた/ヤハ)
39:毛賀(けが/ケカ)
40:駄科(だしな/タナ)
41:時又(ときまた/キマ)
42:川路(かわじ/カハ)
43:天竜峡(てんりゅうきょう/テン)
天竜峡渓谷。隣の架線が無い線路はかつて砂利輸送をしていた時代のものらしい。
なお、ここから先もう全然人の居ないところを走り出す。いわゆる秘境駅。
44:千代(ちよ/チヨ) 駅名標撮り損ね。出口がガードレールで塞がれている?
川の流れが急になってきた。天気が良ければなお良かったのだが残念。
45:金野(きんの/キン)
もちろん誰も降りない。点字ブロックを張り替えた跡がある。
この先何度か天竜川を渡る。
46:唐笠(からかさ/ラサ)
47:門島(かどしま/モン) 電略が漢字の訓読みになっている。
名所案内の看板。天竜川下りの船着き場最寄り駅でもある。
48:田本(たもと/タモ) 駅ホームにはコンクリート壁がそびえ立ち、線路と反対側は天竜川が流れている。どうやっても出られそうにない、完全な秘境駅と言える。
かつては駅に通じる道があったらしいが、どうやらダムの建設により集落がなくなり、駅だけが孤立した状態となっているようだ。
舗装された道路に出るには、プラットホーム端から繋がる急峻な山道を歩いて15分ほどかかるらしい。
なお、この駅で1人下車した乗客がいた事を此処に記す。
49:温田(ぬくた/ヌク)
50:為栗(してぐり/シテ) なかなか読みづらい駅名が続く。
51:平岡(ひらおか/ヒラ)
52:鶯巣(うぐす/ウク) なおこの駅、昭和初期の開業当初は誰でも降りられる駅ではなく、出発駅による制限があったようだ。
具体的には浜松 – 名古屋間、飯田線各駅、上諏訪 – 塩尻間、松本駅などから出発する旅客のみ下車できたという。戦後しばらくして廃止された模様。
同様の扱いをする駅は他に中井侍、上市場、池場、柿平など。いずれも飯田線である。
53:伊那小沢(いなこざわ/コサ)
54:中井侍(なかいさむらい/ナカ) ここも戦前は旅客発着に制限があったらしい。ここまでが長野県。ここからは静岡県を走る。
いつのまにか2両編成後ろ側の車両が荷物室に。新聞を運ぶためのものらしい。
55:小和田(こわだ/コワ) ここから静岡県。なお小和田駅も周辺には民家・商店等はなく、駅に繋がる車道も存在しない。
バブル華やかな頃は皇太子妃の旧姓にあやかって多数の観光客が来た時期もあったようだ。
なおここは静岡県浜松市天竜区である。
ホームには長野県、愛知県、静岡県の三県境界線であることを示すものが建てられている。
56:大嵐(おおぞれ/ソレ) おおあらしと読みたくなる気持ちは分かります。なお駅舎は東京駅を模したものになっているらしい。
57:水窪(みずくぼ/ミサ)
58:向市場(むかいちば/ムカ) 向市場~城西間には川の対岸に届く直前まで行き、再び元の岸に戻ってくる通称渡らずの橋、正式名称第6水窪川橋梁が存在する。
地盤が不安定な場所を走行するため、斜面が崩落したときに備えて特殊な橋になっているらしい。
59:城西(しろにし/ロシ)
城西を出て、相月に向かう途中で急ブレーキが発動する音が。
なんだ?事故か?故障か???
ふと後方を見ると線路の上に人がいる!!
現場に20分ほど停車したのち運転再開。
線路の上で何をやっていたのだろうか。
60:相月(あいづき/ツキ)
61:佐久間(さくま/サク)
電源開発株式会社の何らかの施設。
62:中部天竜(ちゅうぶてんりゅう/チウ) かつて存在した佐久間レールパーク最寄り駅であった。
駅名は「天竜」川沿いの「中部(なかっぺ、地名)」から取ったものであり「なかっぺてんりゅう」と呼ばれていたようだが国有化の際に現在の駅名に改められた。
63:下川合(しもかわい/モカ)
64:早瀬(はやせ/ハヤ)
65:浦川(うらかわ/ウワ)
66:上市場(かみいちば/イハ) 上市場~出馬間は0.6km。これは駅間の短い飯田線の中でも最短である。
67:出馬(いずんま/イツ) 非常に読みづらい駅名。利用者は少ないため、普通列車も一部通過する。ここまでが静岡県浜松市天竜区。
68:東栄(とうえい/トエ) ここからは愛知県に入る。
69:池場(いけば/イケ) この駅も一部の普通列車が通過する。岡谷からだいたい4時間。不思議と疲れないものだ。
70:三河川合(みかわかわい/ワイ)
71:柿平(かきだいら/カキ) この駅も一部の普通列車が通過する。
72:三河槙原(みかわまきはら/マハ) 撮影失敗。
73:湯谷温泉(ゆやおんせん/ユヤ) これも限りなく失敗に近い。辺りが暗くなり始めて写真撮影には厳しい時間帯になってきた。
74:三河大野(みかわおおの/ワオ)
75:本長篠(ほんながしの/ホナ)
76:長篠城(ながしのじょう/ナセ) 駅舎(写真左)は城壁をイメージしている。
77:鳥居(とりい/リイ)
78:大海(おおみ/ウミ) 海ではあるが完全に内陸の駅。
79:三河東郷(みかわとうごう/ミウ)
80:茶臼山(ちゃうすやま/ウス)
81:東新町(ひがししんまち/シシ)
82:新城(しんしろ/シロ) しんじょうではない。ここまでで約5時間。もうあと1時間だ。
ここからは区間列車が増え、1時間に2本程度になる。
渓谷は見られなくなり、長野県内のような風景が帰ってきた。
83:野田城(のだじょう/ノセ)
84:東上(とうじょう/トセ) 駅名標を取り損ねる。
85:江島(えじま/エシ)
86:長山(ながやま/ヤマ) 車内の照明が反射していよいよ撮りづらくなってきた。
87:三河一宮(みかわいちのみや/ミイ)
88:豊川(とよかわ/カワ) ここからさらに区間列車が増え、概ね1時間4本となる。なお、下地・船町の各駅は一部を除き豊川発着の区間列車しか停車しない。
89:牛久保(うしくぼ/クホ)
90:小坂井(こさかい/コイ)
91:下地(しもじ/モチ) ここからは名鉄名古屋本線と合流し豊橋まで線路を共有するが、前述のとおり飯田線電車の約半分と名鉄の全列車が通過する。
92:船町(ふなまち/フナ) 完全な失敗写真。
非常に狭い。遠くに東海道新幹線の高架が見え、東海道線はホームが無く、さらに名鉄と飯田線の通過電車がこの狭いホームをかなりの高速で通過するため頻繁に電車が行き交う様子を見ることができる。
しかしながらこの駅はホームが大変に狭い。停車する列車は1時間2本であるが通過列車は1時間5本でありホーム上で電車を待つのは正直言って怖い。
なお駅舎を出てすぐ横にはJR貨物・豊橋オフレールステーションへの側線と踏切があるが、現在貨物列車が設定されていないため駅舎前踏切が閉まることは無いようだ。
93:豊橋(とよはし/トヨ)
到着。お疲れ様でした。途中の公衆立ち入りで20分遅れていたはずだが、いつの間にか回復してしまったようだ。
だがまだ通過連絡運輸は終わらない。ここから新幹線を乗り継いで、南武線まで戻らないと。
上が各駅に止まる区間列車、下が船町・下地通過の中距離列車。
なお下の18:51発、549M中部天竜行きは水窪以遠の本日の最終電車でもある。
JRホームに隣接する名鉄線ホーム。
名鉄特急、岐阜行き。改札内でつながっているが精算窓口もある。ただしTOICA等ICカードでの精算はできないようだ。
さあ帰りましょう。新幹線で東京に向かうがちょうどひかり号が無い時間帯なのでこだまで向かう。所要時間は約2時間。
19:32発、678A こだま678号の東京行き。
こんなこともあろうかと予め特急券を買っておいてよかったね!
品川。新幹線改札を華麗に通過し在来線東海道線ホームに向かう。
21:52発、東海道線927M普通平塚行き。次の川崎ですぐに降りる。
新幹線で来た区間を引き返しているようだが、別線と見なされるので問題ない。
川崎。最後の乗り換えになる南武線ホームへ向かう。
22:10発、南武線2225F立川行。
ふと路線図を見ると横須賀線 武蔵小杉駅はまだ反映されていなかった。
支社・線区によって違いがあるようだ。
武蔵溝ノ口。東急田園都市線・大井町線乗り換えという案内が未だに違和感がある。それにしてもこんな夜でも混むんだな。
武蔵溝ノ口。
駅員にきっぷを記念に持って帰れないか聞いてみる。特に何も言われず発着駅のみを見た後、無効印をもらい持ち帰りに成功。
まあ確かにこのきっぷみてどこが間違ってますか?っていわれたら10人中10人がこんなきっぷを買う奴と答えるだろうね!
ということで無事通過連絡運輸を完遂しました。
ありがとうございました。だが第二第三の通過連絡運輸が。