ヴァイオリン弾きの休日
Fiddler's Holiday
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ケーブルのブラインドテスト 今日はオケ仲間が集まりました。一緒に室内楽をやる気のおけないメンバーです。これに家内も加わってブラインドテストを始めます。先月、スピーカーケーブルを換えて、その変わりように驚いている私ですが、他人が聴いても同じように変わるのか興味があります。 |
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装置は1、2月に書いた普及型コンポで聴いてもらいますが、その前に、仕事が終って食事もせずに連れて来たので、寿司の出前をとって腹ごしらえです。なるべく機嫌よく協力してもらわないと…。 その間に、ブラインドテストの部屋の準備をします。スピーカーケーブル切替器という便利な機材もありますが、接続が複雑になるので手動で交換します。アンプラックの裏が納戸の隣部屋なので、メインアンプだけをそこに移動して、アンプ側で交換することにします。スピーカー側はAB2本のケーブルを一緒に接続した状態です。隣部屋の扉をケーブルが出せるだけの隙間に閉めて、交換作業が見えないようにすると、リスナー側からは完全な目隠し状態になります。 次に、テストソースを探しました。ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番/ハイフェッツ。カデンツァ風の冒頭が最低音Gの開放弦から、4本の弦を順に鳴らしながら高音へ昇っていく広い音域を弾くので、ヴァイオリンの楽器選びに弾く定番曲になっています。 すると早速、チェロさんから異議あり。 「CDより合奏して生録音したら違いが分かりやすいよ。メンバーも揃ってるから…。」 「でも、うちにはヴァイオリンのパート譜しかないよ。」 「暗譜で弾けるところだけでいいんだよ。音質テストの録音だから。」 こういう話になると全員やることが早い。乗ってくれています。今は携帯サイズの小型ICレコーダーに良いマイクをセットしたら、昔のコンポ型DATより良い録音ができます。こうして弦楽四重奏のテストソースもできしました。(お聴きになりたい方は次頁に収録) ブラインドテストをする前に、ケーブルを一通り聴いて、音の評価を述べ合いました。写真左から、先月 交換したortofon Reference、以前の平行ビニール線(銘柄不明)、Belden STUDIOシリーズで最も太い718MKU、銀単線をテフロンチューブで絶縁し さらに絶縁テープで硬く巻いて縒ったチェロさん自作のケーブル の4種類です。 まず、ortofon Referenceは柔らかみのあるヴァイオリンで、甘い艶のような音調があります。それでいて、細部まで描写していて、先月書いた第一印象は変わりません。といっても、他と比較せず初めて聴いた人には、確かな比較はできないでしょう。 次に、平行ビニール線に交換してみると、途端に平面的な音に変わりました。どこも支障なく鳴っているのに、奏法の細やかな表現や抑揚までもが聴こえにく くなります。比較したら一同納得で、弾まない歯がゆい音というマイナス評価になりました。 Belden STUDIO 718MKUに換えると、豊かな音が帰ってきました。低音がゆったりして、小型ブックシェルフなのにピラミッド型の音場が広がります。高音はごく普通というか、艶やかな美しさはありませんが、標準的といわれればそうかもしれません。 最後に、銀単線の自作ケーブル。これはちょっと特殊な音でした。ピラミッドの広がりがクッキリとまとまりました。低音が少ないのでなく、かっちりした芯のある低音に凝縮されました。これはチェロさん好みの音でしょう。ヴァイオリン弾きからは、高音がきつ目で疲れるという声も出ました。ケーブルでよくも こんなに変わってくれるものです。 以上、先入観も交えて一通り試聴した評価ですが、これがブラインドテストという先入観の入り込まない比較でも、本当に同じ評価になるかという問題です。音の印象を覚えているうちに、ブラインドテストの開始です。 |
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〜次頁へ続く〜 |