2010年03月18日
「非実在青少年」規制:目に見える形で反論を提示する
「確かに。マンガ家にとっては死活問題ですよね」私はうなずいた。「『ドラえもん』、どうすんですかね。しずかちゃんの入浴シーンのある話、みんな欠番にするんですか?」
「修正してパンツ穿かせるとか?」
「『エスパー魔美』も発禁ですよね」
「それは悲しい! 悲しすぎる」
笑い事ではない。手塚治虫、石ノ森章太郎、永井豪、竹宮惠子といった巨匠の有名な作品でも、少年や少女の全裸のシーンやセクシャルなシーンなんていくらでもあるのだ。それらがすべて違法ということになったら、マンガ界は壊滅的な打撃を受ける。表現規制を唱えている人たちは、そうした事実を認識していないとしか思えない。これだけマンガが日本の文化に深く浸透しているというのに、いまだに「たかがマンガ」と軽んじているのだろうか。
「でも、こわいですよね。日本の文化を揺るがす大問題のはずなのに、マスコミでもほとんど取り上げられないじゃないですか。一部の議員の扇動であっさり通過しちゃいそうで、やばいですよ」
「『マンガなんて自分には関係ない』と思ってる人が多いんですよ」とアオさん。「まず、一般人とマニアの意識のギャップを埋めなきゃだめですね」
――山本弘『詩羽のいる街』第4話より
昨日、mixi日記に「目に見える形で反論を提示する」という文章を書いたら、けっこう評判が良くて、何人もの方に転載していただいた。
だから少し書き直して、こちらのブログにも転載することにした。トラックバック、転載はご自由に。
--------------------
しつこくこの関連の話題を書かせてもらう。
規制賛成派の意見を見ていて思ったのは、彼らは「表現の自由なんて踏みにじってかまわない」と思っているらしいことだ。
だって「自由」は目に見えないから。
「自由」は空気みたいなものだ。そこらじゅうに存在しているのに、漠然としていて、目に見えない。人はそれに支えられて生きているにもかかわらず、普段、そんなものの存在を意識していない。だから「ちょっとぐらい減っても生きていけるでしょ?」と勘違いする人間もいる。
空気と同じく、「自由」も欠乏したら窒息するということが、彼らには理解できていない。
だから「表現の自由」を錦の御旗として振りかざしても、その大切さが分からない人には、アピールしないんじゃないかと思うのである。
彼らにはもっと目に見えるものを突きつけなくちゃだめだ。
そこで、こんなアピールの方法を考えた。
日本の少年マンガの中で、性的描写や暴力描写が頻出するようになったのは、1960年代末からである。その牽引役が永井豪氏であることは言うまでもない。もちろん他にもエロいマンガやバイオレンス・マンガを描いていたマンガ家は何人もいたのだが、最も有名で、当時の子供たちに最も影響力があったのは、この人だと思って間違いなかろう。
主要作品 連載期間
『ハレンチ学園』1968~72
『あばしり一家』1969~73
『デビルマン』1972~73
『マジンガーZ』1972~74
『キューティーハニー』1973~74
『バイオレンスジャック』(週刊少年マガジン版)1973~74
『イヤハヤ南友』1974~76
『けっこう仮面』1974~78
『へんちんポコイダー』1976~77
永井氏の人気の絶頂期が60年代末から70年代後半であったことが分かる。
この時代を生きた人なら、『ハレンチ学園』が巻き起こした一大センセーションをご記憶のはずである。これらの作品のどれも、未成年の全裸、セクハラ、下品なギャグ、暴力描写、残酷描写などがてんこ盛りだった。『けっこう仮面』なんか全裸で「おっぴろげジャンプ」をやるのだ。正直、今の少年マンガのエロ(『To LOVEる』とか)なんて、永井豪作品に比べれば生ぬるいぐらいである。もちろん当時、PTAなどに「有害だ」とさんざん叩かれた。
規制推進派によれば、こうした作品は「青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」ということになろう。つまり永井豪作品のような不健全なマンガが増えることによって、青少年の性犯罪、自殺、殺人などが増加していたはずである。
実際はどうだったか。青少年によるレイプ、自殺、殺人の推移を見てみよう。
強姦被害者数
http://kangaeru.s59.xrea.com/G-youjyoRape.htm#G-youjyoR1-2

60年代後半から急降下している。
各年齢層10万人当たりの若者自殺率
http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Jisatu.htm

1965年からほぼ横ばい。
未成年の殺人犯検挙人数
http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Satujin.htm

60年代後半から、すごい勢いで急降下!
無論、大勢のレイプ犯の中には、永井豪作品に刺激されて犯行に走った者が何人かいた可能性は否定できない。だが、それは実証できない。
たとえ何人かそういう奴がいたとしても、この時代の急激な犯罪率低下の波に飲みこまれ、データからは見えなくなっている。
3番目のグラフから分かるように、日本で少年による殺人が最も多かったのは、戦後の混乱期を除けば、1961年である。マンガは『鉄腕アトム』や『鉄人28号』の時代。少年や少女の読むマンガにエロい描写や残酷描写などまったくなかった。エロゲやエロアニメどころか、TVゲームやTVアニメというものすら無かった時代である。
さらに、規制推進派の主張からすると、青少年向けマンガの表現規制が日本よりはるかにきびしいアメリカやイギリスやカナダや韓国に比べ、日本の犯罪率は高いはずである。
現実はこうだ。
人口1000人当たりのレイプの件数
http://www.nationmaster.com/graph/cri_rap_percap-crime-rapes-per-capita
日本は65ヶ国中54位。韓国16位、イギリス13位、アメリカ9位、カナダ5位。
人口1000人当たりの殺人
http://www.nationmaster.com/graph/cri_mur_percap-crime-murders-per-capita
日本は62ヶ国中60位。イギリス46位、カナダ44位、韓国38位、アメリカ24位。
人口1000人当たりの若者による殺人
http://www.nationmaster.com/graph/cri_mur_com_by_you_per_cap-murders-committed-youths-per-capita
日本は57ヵ国中57位! イギリス52位、カナダ&韓国39位(同率)アメリカ14位。
少ねー! 日本の犯罪、少ねー!
(ちなみにこの統計には、中国や北朝鮮、アフリカの多くの国が入っていない。それらを入れれば、たぶん日本の順位はもっと下がる)
これは世界に誇るべきだ。日本はこれだけエロマンガやエロゲーが氾濫しているにもかかわらず、世界の中でも、とてつもなく犯罪の少ない国なんである。
さらにアメリカのデータを見てみよう。
アメコミ・ファンならご存知だろうが、アメリカでは1949年ごろから、精神科医フレドリック・ワーサム博士が、コミックスが青少年に与える害を説きはじめた。当時のコミックスには、残酷なシーンやセクシャルなシーン(斧で切断された首、目をナイフでえぐられようとしている女性、ムチで打たれている女性、きわどい衣裳で踊る女性、下着姿で縛られた女性などなど)が多かったのだ。こうしたコミックスは青少年を堕落させ、犯罪に走らせると考えられた。
全米で激しい反コミックス運動が起きた。出版社やニューススタンドには「俗悪なコミックスを売るな」という抗議が殺到。一部の地方では、大量のコミックスが学校の校庭などに集められて燃やされた。
1954年、合衆国議会の少年非行対策小委員会は「コミックブックと非行」と題するレポートを発表、青少年に悪影響を与える可能性のある表現を規制するよう、コミックス出版界に勧告した。
これを受け、全米コミック雑誌協会は「あらゆるコミュニケーション・メディアの中でもっとも堅苦しい」と彼ら自身によって評されたコミックス・コードを制定した。1954年8月26日のことである。
その内容は次のようなものだった。
Wikipedia「コミックス倫理規定委員会」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E5%80%AB%E7%90%86%E8%A6%8F%E5%AE%9A%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A
「犯罪者を魅力的に描いたり、模倣する願望を抱かせるような地位を占めさせるような表現を行うべきではない」
「いかなる場合においても、善が悪を打ち負かし、犯罪者はその罪を罰せられるべきである」
「残忍な拷問、過激かつ不必要なナイフや銃による決闘、肉体的苦痛、残虐かつ不気味な犯罪の場面は排除しなければならない」
「いかなるコミック雑誌も、そのタイトルに『horror』や『terror』といった言葉を使用してはならない」
「あらゆる、恐怖、過剰な流血、残虐あるいは不気味な犯罪、堕落、肉欲、サディズム、マゾヒズムの場面は許可すべきではない」
「あらゆる戦慄を催させたり、不快であったり、不気味なイラストは排除されるものとする」
「歩く死者、拷問、吸血鬼および吸血行為、食屍鬼、カニバリズム、人狼化を扱った場面、または連想させる手法は禁止する」
「冒涜的、猥褻、卑猥、下品、または望ましくない意味を帯びた言葉やシンボルは禁止する」
「いかなる姿勢においても全裸は禁止とする。また猥褻であったり過剰な露出も禁止する」
「劣情を催させる挑発的なイラストや、挑発的な姿勢は容認しない」
「不倫な性的関係はほのめかされても描写されてもならない。暴力的なラブシーンや同様に変態性欲の描写も容認してはならない」
「誘惑や強姦は描写されてもほのめかされてもならない」
などなど、まさにがんじがらめの規制。今の日本のマンガ雑誌、軒並みアウトですな。(笑)
暴力表現や性的な表現にきびしい規制が設けられた結果、コミックス界全体から活力が失われた。ニューススタンドがコミックスを置かなくなったこともあり、読者の多くがコミックスを買わなくなった。
コミックス・コード制定前、コミックス誌は650タイトルもあり、毎月1億5000万部も発行されていたのだが、ほんの数年で半減してしまった。多くの出版社がコミックスから撤退した。フィクション・ハウス社やベター社など、倒産した出版社もいくつもある。
その結果、アメリカの犯罪は減っただろうか?
これを見ていただきたい。アメリカの指標犯罪(凶悪犯罪や窃盗犯)の件数をグラフにしたものだ。

まさに一目瞭然! コミックス・コードが施行された54年以降、アメリカの犯罪は減るどころか、急カーブを描いて上昇しており、1980年には3倍にもなっている!
Wikipediaの解説にもあるように、80年代頃からコミックス・コードを破る作品(『ウォッチメン』や『バットマン/キリング・ジョーク』など)が次々に出てきて、現在ではほとんどコードは形骸化している。
ちなみにこのアメリカの指標犯罪のグラフは、前田雅英『少年犯罪』(東京大学出版会)という本から引用したものである。
そしてこの前田雅英氏こそ、今回の「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の改正案を出した東京都青少年問題協議会の専門部会長なのである。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2010/01/40k1e101.htm
どうなってるんだろうか。前田氏は自分の本に載せたグラフの意味を理解していないのか。
つまり、マンガの表現と青少年の犯罪の間には、規制推進派が主張するような正の相関関係ではなく、負の相関関係(表現が過激になれば犯罪が減る)があるのだ。
無論、相関関係があるからといって因果関係があるとは断言できない。相関関係はあっても因果関係のない事例はいくらでもある。
だが、少なくとも、相関関係が存在しないところに因果関係を求めるのは無茶だということは、子供でも分かるだろう。
それに、もしかしたら本当に因果関係があるのかもしれない。海外では「ポルノが性犯罪を抑制している」という研究があることもつけ加えておく。
Porn: Good for us?
http://www.the-scientist.com/article/display/57169/
規制推進派の人たちはこうしたことを知らないのだろうか?
そんなことはない。彼らは知っている。第28期東京都青少年問題協議会議事録(第10回専門部会)には、こんなくだりがある。
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/09_28ki_menu.html
>○吉川委員 (中略)特に、答申案の46ページに、そうした図書が自由に流通していることによって、子どもたちがこのような性交をしても構わないという認識を青少年が持って、健全な性的判断能力が大きくゆがめられることになると言い切っていますが、ここについて、その根拠はどこかと言われたら、それあくまで我々としては、たぶんそうだろうという認識であるとしか言えなくて、私自身、別に過激な漫画、子どもポルノについて容認する立場では全くないのですが、こうした指摘に対しての見解案としては、少しピントがずれていると言われても仕方がないのかなと危惧しております。
「たぶんそうだろう」というのが根拠なのだそうだ。
>○吉川委員 私としては、性犯罪の減少も目的の一つであると言ってしまって、ただ、そうした創作物が性犯罪の発生と密接な因果関係があるかどうかを、必ずしも統計を示してまで立証する必要はなくて、逆に、関係がないという根拠もないわけなので、だから、統計的なデータがないから犯罪との因果関係がないとは別に言い切れないと突っぱねたらいいと思います。
立証する必要はないし、データがなくても「突っぱねたらいい」のだそうだ。
ふざけるな。
お分かりだろう。彼らは自分たちの主張を支持する根拠がないことを知っている。にもかかわらず、規制を主張するのだ。これはもう、「データなんかどうでもいい。俺たちは規制したいからするんだ」と自白しているようなものである。
まとめよう。
【規制によるメリット】
・表現を規制すれば青少年への悪影響が少なくなって犯罪が減る。(ただし証明されていない。データは正反対の相関を示している)
【規制によるデメリット】
・表現を規制すれば逆に犯罪が増える可能性がある。(因果関係は証明されていないが、相関関係はある)
・出版業界、アニメ業界、ゲーム業界が打撃を受け、多大な経済的損失が生じる可能性が高い。
・冤罪事件や言論弾圧に悪用される危険がある。
グラフを提示するとともに、「このメリットとデメリットを比較してください。あなたなら規制に賛成しますか?」と問いかけてみるというのはどうだろうか。
「表現の自由」という抽象的な概念に頼らなくても、これぐらい具体的に、目に見える形で提示すれば、理解してくれる人は増えると思うのだが。
--------------------
「なあなあ、日本ってすっごく治安いいんだって? 街中でホールドアップされたりしないって本当? タクシーに仕切り板がないってのも? 道端にコインの詰まった自動販売機が置いてあっても、誰にも壊されないって?」
「ええ」
「すげえなあ。夢みたい」アリッサは信じられない様子で、何度も頭を振った。「地球上にそんな国、あるんだなあ」
――山本弘『妖魔夜行/戦慄のミレニアム』より
「修正してパンツ穿かせるとか?」
「『エスパー魔美』も発禁ですよね」
「それは悲しい! 悲しすぎる」
笑い事ではない。手塚治虫、石ノ森章太郎、永井豪、竹宮惠子といった巨匠の有名な作品でも、少年や少女の全裸のシーンやセクシャルなシーンなんていくらでもあるのだ。それらがすべて違法ということになったら、マンガ界は壊滅的な打撃を受ける。表現規制を唱えている人たちは、そうした事実を認識していないとしか思えない。これだけマンガが日本の文化に深く浸透しているというのに、いまだに「たかがマンガ」と軽んじているのだろうか。
「でも、こわいですよね。日本の文化を揺るがす大問題のはずなのに、マスコミでもほとんど取り上げられないじゃないですか。一部の議員の扇動であっさり通過しちゃいそうで、やばいですよ」
「『マンガなんて自分には関係ない』と思ってる人が多いんですよ」とアオさん。「まず、一般人とマニアの意識のギャップを埋めなきゃだめですね」
――山本弘『詩羽のいる街』第4話より
昨日、mixi日記に「目に見える形で反論を提示する」という文章を書いたら、けっこう評判が良くて、何人もの方に転載していただいた。
だから少し書き直して、こちらのブログにも転載することにした。トラックバック、転載はご自由に。
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しつこくこの関連の話題を書かせてもらう。
規制賛成派の意見を見ていて思ったのは、彼らは「表現の自由なんて踏みにじってかまわない」と思っているらしいことだ。
だって「自由」は目に見えないから。
「自由」は空気みたいなものだ。そこらじゅうに存在しているのに、漠然としていて、目に見えない。人はそれに支えられて生きているにもかかわらず、普段、そんなものの存在を意識していない。だから「ちょっとぐらい減っても生きていけるでしょ?」と勘違いする人間もいる。
空気と同じく、「自由」も欠乏したら窒息するということが、彼らには理解できていない。
だから「表現の自由」を錦の御旗として振りかざしても、その大切さが分からない人には、アピールしないんじゃないかと思うのである。
彼らにはもっと目に見えるものを突きつけなくちゃだめだ。
そこで、こんなアピールの方法を考えた。
日本の少年マンガの中で、性的描写や暴力描写が頻出するようになったのは、1960年代末からである。その牽引役が永井豪氏であることは言うまでもない。もちろん他にもエロいマンガやバイオレンス・マンガを描いていたマンガ家は何人もいたのだが、最も有名で、当時の子供たちに最も影響力があったのは、この人だと思って間違いなかろう。
主要作品 連載期間
『ハレンチ学園』1968~72
『あばしり一家』1969~73
『デビルマン』1972~73
『マジンガーZ』1972~74
『キューティーハニー』1973~74
『バイオレンスジャック』(週刊少年マガジン版)1973~74
『イヤハヤ南友』1974~76
『けっこう仮面』1974~78
『へんちんポコイダー』1976~77
永井氏の人気の絶頂期が60年代末から70年代後半であったことが分かる。
この時代を生きた人なら、『ハレンチ学園』が巻き起こした一大センセーションをご記憶のはずである。これらの作品のどれも、未成年の全裸、セクハラ、下品なギャグ、暴力描写、残酷描写などがてんこ盛りだった。『けっこう仮面』なんか全裸で「おっぴろげジャンプ」をやるのだ。正直、今の少年マンガのエロ(『To LOVEる』とか)なんて、永井豪作品に比べれば生ぬるいぐらいである。もちろん当時、PTAなどに「有害だ」とさんざん叩かれた。
規制推進派によれば、こうした作品は「青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」ということになろう。つまり永井豪作品のような不健全なマンガが増えることによって、青少年の性犯罪、自殺、殺人などが増加していたはずである。
実際はどうだったか。青少年によるレイプ、自殺、殺人の推移を見てみよう。
強姦被害者数
http://kangaeru.s59.xrea.com/G-youjyoRape.htm#G-youjyoR1-2
60年代後半から急降下している。
各年齢層10万人当たりの若者自殺率
http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Jisatu.htm
1965年からほぼ横ばい。
未成年の殺人犯検挙人数
http://kangaeru.s59.xrea.com/G-Satujin.htm
60年代後半から、すごい勢いで急降下!
無論、大勢のレイプ犯の中には、永井豪作品に刺激されて犯行に走った者が何人かいた可能性は否定できない。だが、それは実証できない。
たとえ何人かそういう奴がいたとしても、この時代の急激な犯罪率低下の波に飲みこまれ、データからは見えなくなっている。
3番目のグラフから分かるように、日本で少年による殺人が最も多かったのは、戦後の混乱期を除けば、1961年である。マンガは『鉄腕アトム』や『鉄人28号』の時代。少年や少女の読むマンガにエロい描写や残酷描写などまったくなかった。エロゲやエロアニメどころか、TVゲームやTVアニメというものすら無かった時代である。
さらに、規制推進派の主張からすると、青少年向けマンガの表現規制が日本よりはるかにきびしいアメリカやイギリスやカナダや韓国に比べ、日本の犯罪率は高いはずである。
現実はこうだ。
人口1000人当たりのレイプの件数
http://www.nationmaster.com/graph/cri_rap_percap-crime-rapes-per-capita
日本は65ヶ国中54位。韓国16位、イギリス13位、アメリカ9位、カナダ5位。
人口1000人当たりの殺人
http://www.nationmaster.com/graph/cri_mur_percap-crime-murders-per-capita
日本は62ヶ国中60位。イギリス46位、カナダ44位、韓国38位、アメリカ24位。
人口1000人当たりの若者による殺人
http://www.nationmaster.com/graph/cri_mur_com_by_you_per_cap-murders-committed-youths-per-capita
日本は57ヵ国中57位! イギリス52位、カナダ&韓国39位(同率)アメリカ14位。
少ねー! 日本の犯罪、少ねー!
(ちなみにこの統計には、中国や北朝鮮、アフリカの多くの国が入っていない。それらを入れれば、たぶん日本の順位はもっと下がる)
これは世界に誇るべきだ。日本はこれだけエロマンガやエロゲーが氾濫しているにもかかわらず、世界の中でも、とてつもなく犯罪の少ない国なんである。
さらにアメリカのデータを見てみよう。
アメコミ・ファンならご存知だろうが、アメリカでは1949年ごろから、精神科医フレドリック・ワーサム博士が、コミックスが青少年に与える害を説きはじめた。当時のコミックスには、残酷なシーンやセクシャルなシーン(斧で切断された首、目をナイフでえぐられようとしている女性、ムチで打たれている女性、きわどい衣裳で踊る女性、下着姿で縛られた女性などなど)が多かったのだ。こうしたコミックスは青少年を堕落させ、犯罪に走らせると考えられた。
全米で激しい反コミックス運動が起きた。出版社やニューススタンドには「俗悪なコミックスを売るな」という抗議が殺到。一部の地方では、大量のコミックスが学校の校庭などに集められて燃やされた。
1954年、合衆国議会の少年非行対策小委員会は「コミックブックと非行」と題するレポートを発表、青少年に悪影響を与える可能性のある表現を規制するよう、コミックス出版界に勧告した。
これを受け、全米コミック雑誌協会は「あらゆるコミュニケーション・メディアの中でもっとも堅苦しい」と彼ら自身によって評されたコミックス・コードを制定した。1954年8月26日のことである。
その内容は次のようなものだった。
Wikipedia「コミックス倫理規定委員会」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E5%80%AB%E7%90%86%E8%A6%8F%E5%AE%9A%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A
「犯罪者を魅力的に描いたり、模倣する願望を抱かせるような地位を占めさせるような表現を行うべきではない」
「いかなる場合においても、善が悪を打ち負かし、犯罪者はその罪を罰せられるべきである」
「残忍な拷問、過激かつ不必要なナイフや銃による決闘、肉体的苦痛、残虐かつ不気味な犯罪の場面は排除しなければならない」
「いかなるコミック雑誌も、そのタイトルに『horror』や『terror』といった言葉を使用してはならない」
「あらゆる、恐怖、過剰な流血、残虐あるいは不気味な犯罪、堕落、肉欲、サディズム、マゾヒズムの場面は許可すべきではない」
「あらゆる戦慄を催させたり、不快であったり、不気味なイラストは排除されるものとする」
「歩く死者、拷問、吸血鬼および吸血行為、食屍鬼、カニバリズム、人狼化を扱った場面、または連想させる手法は禁止する」
「冒涜的、猥褻、卑猥、下品、または望ましくない意味を帯びた言葉やシンボルは禁止する」
「いかなる姿勢においても全裸は禁止とする。また猥褻であったり過剰な露出も禁止する」
「劣情を催させる挑発的なイラストや、挑発的な姿勢は容認しない」
「不倫な性的関係はほのめかされても描写されてもならない。暴力的なラブシーンや同様に変態性欲の描写も容認してはならない」
「誘惑や強姦は描写されてもほのめかされてもならない」
などなど、まさにがんじがらめの規制。今の日本のマンガ雑誌、軒並みアウトですな。(笑)
暴力表現や性的な表現にきびしい規制が設けられた結果、コミックス界全体から活力が失われた。ニューススタンドがコミックスを置かなくなったこともあり、読者の多くがコミックスを買わなくなった。
コミックス・コード制定前、コミックス誌は650タイトルもあり、毎月1億5000万部も発行されていたのだが、ほんの数年で半減してしまった。多くの出版社がコミックスから撤退した。フィクション・ハウス社やベター社など、倒産した出版社もいくつもある。
その結果、アメリカの犯罪は減っただろうか?
これを見ていただきたい。アメリカの指標犯罪(凶悪犯罪や窃盗犯)の件数をグラフにしたものだ。
まさに一目瞭然! コミックス・コードが施行された54年以降、アメリカの犯罪は減るどころか、急カーブを描いて上昇しており、1980年には3倍にもなっている!
Wikipediaの解説にもあるように、80年代頃からコミックス・コードを破る作品(『ウォッチメン』や『バットマン/キリング・ジョーク』など)が次々に出てきて、現在ではほとんどコードは形骸化している。
ちなみにこのアメリカの指標犯罪のグラフは、前田雅英『少年犯罪』(東京大学出版会)という本から引用したものである。
そしてこの前田雅英氏こそ、今回の「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の改正案を出した東京都青少年問題協議会の専門部会長なのである。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2010/01/40k1e101.htm
どうなってるんだろうか。前田氏は自分の本に載せたグラフの意味を理解していないのか。
つまり、マンガの表現と青少年の犯罪の間には、規制推進派が主張するような正の相関関係ではなく、負の相関関係(表現が過激になれば犯罪が減る)があるのだ。
無論、相関関係があるからといって因果関係があるとは断言できない。相関関係はあっても因果関係のない事例はいくらでもある。
だが、少なくとも、相関関係が存在しないところに因果関係を求めるのは無茶だということは、子供でも分かるだろう。
それに、もしかしたら本当に因果関係があるのかもしれない。海外では「ポルノが性犯罪を抑制している」という研究があることもつけ加えておく。
Porn: Good for us?
http://www.the-scientist.com/article/display/57169/
規制推進派の人たちはこうしたことを知らないのだろうか?
そんなことはない。彼らは知っている。第28期東京都青少年問題協議会議事録(第10回専門部会)には、こんなくだりがある。
http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/09_28ki_menu.html
>○吉川委員 (中略)特に、答申案の46ページに、そうした図書が自由に流通していることによって、子どもたちがこのような性交をしても構わないという認識を青少年が持って、健全な性的判断能力が大きくゆがめられることになると言い切っていますが、ここについて、その根拠はどこかと言われたら、それあくまで我々としては、たぶんそうだろうという認識であるとしか言えなくて、私自身、別に過激な漫画、子どもポルノについて容認する立場では全くないのですが、こうした指摘に対しての見解案としては、少しピントがずれていると言われても仕方がないのかなと危惧しております。
「たぶんそうだろう」というのが根拠なのだそうだ。
>○吉川委員 私としては、性犯罪の減少も目的の一つであると言ってしまって、ただ、そうした創作物が性犯罪の発生と密接な因果関係があるかどうかを、必ずしも統計を示してまで立証する必要はなくて、逆に、関係がないという根拠もないわけなので、だから、統計的なデータがないから犯罪との因果関係がないとは別に言い切れないと突っぱねたらいいと思います。
立証する必要はないし、データがなくても「突っぱねたらいい」のだそうだ。
ふざけるな。
お分かりだろう。彼らは自分たちの主張を支持する根拠がないことを知っている。にもかかわらず、規制を主張するのだ。これはもう、「データなんかどうでもいい。俺たちは規制したいからするんだ」と自白しているようなものである。
まとめよう。
【規制によるメリット】
・表現を規制すれば青少年への悪影響が少なくなって犯罪が減る。(ただし証明されていない。データは正反対の相関を示している)
【規制によるデメリット】
・表現を規制すれば逆に犯罪が増える可能性がある。(因果関係は証明されていないが、相関関係はある)
・出版業界、アニメ業界、ゲーム業界が打撃を受け、多大な経済的損失が生じる可能性が高い。
・冤罪事件や言論弾圧に悪用される危険がある。
グラフを提示するとともに、「このメリットとデメリットを比較してください。あなたなら規制に賛成しますか?」と問いかけてみるというのはどうだろうか。
「表現の自由」という抽象的な概念に頼らなくても、これぐらい具体的に、目に見える形で提示すれば、理解してくれる人は増えると思うのだが。
--------------------
「なあなあ、日本ってすっごく治安いいんだって? 街中でホールドアップされたりしないって本当? タクシーに仕切り板がないってのも? 道端にコインの詰まった自動販売機が置いてあっても、誰にも壊されないって?」
「ええ」
「すげえなあ。夢みたい」アリッサは信じられない様子で、何度も頭を振った。「地球上にそんな国、あるんだなあ」
――山本弘『妖魔夜行/戦慄のミレニアム』より
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"非実在青少年"をデータベースで検索
東京都は「アニメやマンガで18歳以下に見えるキャラクター」を 非実在青少年 と定義し、その性的表現(性行為、他、恋愛、キスとか)を「児...
東京都は「アニメやマンガで18歳以下に見えるキャラクター」を 非実在青少年 と定義し、その性的表現(性行為、他、恋愛、キスとか)を「児...
非実在青少年【Silver_PON_Museum】at 2010年03月18日 20:51
「非実在青少年」規制についてわかりやすい、いい記事がありました。
トラックバック、転載自由ということでしたので転載します。
「非実...
トラックバック、転載自由ということでしたので転載します。
「非実...
「非実在青少年」規制【My workroom(漫画描きの部屋)】at 2010年03月18日 22:58
問題点がいろいろ指摘されているこの条例ですが、極めて具体的な反論があったので紹介してみます。 山本弘のSF秘密基地BLOG:「非実在青少年」規制:目に見える形で反論を提示するです。...
非実在青少年の問題の具体的な反証【シークの日記】at 2010年03月18日 23:38
「非実在青少年」規制:目に見える形で反論を提示する。
SF作家・山本弘先生のblogです。
↓山本弘のSF秘密基地BLOG
http://hirorin.otaden.jp/e92767.html
昨今問題になってる、都条例がどうなる...
SF作家・山本弘先生のblogです。
↓山本弘のSF秘密基地BLOG
http://hirorin.otaden.jp/e92767.html
昨今問題になってる、都条例がどうなる...
「非実在青少年」規制についてについてわかりやく解説してくれる記事がありました。【Studio UNILABOの”MANGA配信行為”】at 2010年03月18日 23:56
どうすんの?
我々の・・・特に未成年の起こせる事は余りに少ない
親戚に呼び掛けるぐらいしかできない訳で
投票出来るって大事なのね・・・と改めて思ったりもする
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我々の・・・特に未成年の起こせる事は余りに少ない
親戚に呼び掛けるぐらいしかできない訳で
投票出来るって大事なのね・・・と改めて思ったりもする
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非実在青少年規制の記事【IM@S厨の今宵もあんにゅ〜い】at 2010年03月19日 12:37
どうすんの?
我々の・・・特に未成年の起こせる事は余りに少ない
親戚に呼び掛けるぐらいしかできない訳で
投票出来るって大事なのね・・・と改めて思ったりもする
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我々の・・・特に未成年の起こせる事は余りに少ない
親戚に呼び掛けるぐらいしかできない訳で
投票出来るって大事なのね・・・と改めて思ったりもする
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非実在青少年規制の記事【IM@S厨の今宵もあんにゅ〜い】at 2010年03月19日 12:38
「日本は性犯罪が少ない」と思われている方々へ。 少ないどころか、あまりに多く、そしていろいろな事情で隠されているということを、どうか知ってください。 性犯罪が少ない、という...
日本の性犯罪はあまりに多く、ただ隠蔽されているだけです。【「あなたは悪くない」別館】at 2010年03月19日 12:49
「日本は性犯罪が少ない」と思われている方々へ。 少ないどころか、あまりに多く、そしていろいろな事情で隠されているということを、どうか知ってください。 性犯罪が少ない、という...
日本の性犯罪はあまりに多く、ただ隠蔽されているだけです。【「あなたは悪くない」別館】at 2010年03月19日 12:52
まぁ、この系統の趣味を持つものとして僕は反対の立場です。 リアル児童ポルノ等は当然駄目でしょうけど、この法案の場合そもそも何で現実にいない存在を守らないといけないのか。 根...
東京の非実在青年の規制の件【趣味人はカレイドスコープの夢を見るか】at 2010年03月19日 18:36
なんか全然伝わってない・・・。勢いで書いたとはいえ自分の文章力のなさにがっかりしたので、読まれないと分かっていても自己満足のために整理してみる。 反対運動について、どこ...
[思考]非実在青少年とやらに対する雑感と、ついっ党に関する妄想 続き【鵜の目鷹の目】at 2010年03月19日 19:29
日々是遊戯:海外ユーザーが指摘する「JRPGが変えなければならない7つのこと」 - ITmedia Gamez http://gamez.itmedia.co.jp/games/articles/0902/03/news054.html 1:子供のキャラクターをパーティに加えるのをや...
大人に混ざって子どもが戦うJRPGについて【teruyastarはかく語りき】at 2010年03月20日 19:05
性犯罪統計グラフです。グラフのデータを警察のデータを利用しました
このグラフを見ると戦後、1958年より強姦、強制猥褻両方がすごい勢いで上昇しています。
また、1990年頃から強制...
このグラフを見ると戦後、1958年より強姦、強制猥褻両方がすごい勢いで上昇しています。
また、1990年頃から強制...
性犯罪統計グラフを読み取る【Silver_PON_Museum】at 2010年03月21日 02:02
この記事へのコメント
はじめまして、山本先生。
確かに先生がおっしゃるようにデータを提示する事で規制推進派を論で負かす事はできるかもしれません。
この問題について知識がなく判断をつけかねていた都議の方を見方につけられるかもしれません。
でも、規制推進派の方々はこう思うでしょう。
『何を屁理屈を言っているのだ』と。
彼らは怒るでしょう、そのような不確かなデータで自分たちの正しい主張が何故批判されなければいけないのか、と。
人間は感情と理性の間に生きる生き物です。
自分の感情に反する言葉を投げかけられれば、たとえそれが論理的な反論でも『許せない』と感じるでしょう。
もし、今回の規制改正案をストップさせたとしても、彼らはまた形を変えて何らかのアクションを起こすでしょう。
それはいいのです。
人間には内心の自由があるんですから。
彼らは彼らの考えで動けばいい。
ただ、どうしても納得いかないのは規制推進派の方々は何故、多くの人々の怒りの言葉に耳をふさいでしまうのでしょうか?
論を尽くして、たとえそれが感情的なもの、論理的でないものだったとしても、話し合いの果てに出た答えならばまだマシです。
しかし、彼らは今回、まともな議論をさせずにこの改正案を通してしまおうとしていました。
人間は感情の生き物で、理性の生き物で、そしてもう一つ言葉を持つコミニュケーションの生き物でもあります。
最初から反対意見を聞くつもりのなかった彼らの態度、自己完結的な世界観は言ってしまえば人間のものではありません。
いや、生き物というもの自体が自分以外の他者の存在を必要として、その関わりの中で生きている事を考えるならば、彼らは生き物ではない。生物ではない。
路傍の石くれと何一つ変わらない。
それが私にはとても悲しいし、許せない事だと思えるのです。
作家として今回の規制強化に否と声を上げた山本先生をはじめとする多くの方々を私は強く支持します。
私自身も微力ながら反対運動に協力しました。
山本先生も負けずに頑張ってください。
確かに先生がおっしゃるようにデータを提示する事で規制推進派を論で負かす事はできるかもしれません。
この問題について知識がなく判断をつけかねていた都議の方を見方につけられるかもしれません。
でも、規制推進派の方々はこう思うでしょう。
『何を屁理屈を言っているのだ』と。
彼らは怒るでしょう、そのような不確かなデータで自分たちの正しい主張が何故批判されなければいけないのか、と。
人間は感情と理性の間に生きる生き物です。
自分の感情に反する言葉を投げかけられれば、たとえそれが論理的な反論でも『許せない』と感じるでしょう。
もし、今回の規制改正案をストップさせたとしても、彼らはまた形を変えて何らかのアクションを起こすでしょう。
それはいいのです。
人間には内心の自由があるんですから。
彼らは彼らの考えで動けばいい。
ただ、どうしても納得いかないのは規制推進派の方々は何故、多くの人々の怒りの言葉に耳をふさいでしまうのでしょうか?
論を尽くして、たとえそれが感情的なもの、論理的でないものだったとしても、話し合いの果てに出た答えならばまだマシです。
しかし、彼らは今回、まともな議論をさせずにこの改正案を通してしまおうとしていました。
人間は感情の生き物で、理性の生き物で、そしてもう一つ言葉を持つコミニュケーションの生き物でもあります。
最初から反対意見を聞くつもりのなかった彼らの態度、自己完結的な世界観は言ってしまえば人間のものではありません。
いや、生き物というもの自体が自分以外の他者の存在を必要として、その関わりの中で生きている事を考えるならば、彼らは生き物ではない。生物ではない。
路傍の石くれと何一つ変わらない。
それが私にはとても悲しいし、許せない事だと思えるのです。
作家として今回の規制強化に否と声を上げた山本先生をはじめとする多くの方々を私は強く支持します。
私自身も微力ながら反対運動に協力しました。
山本先生も負けずに頑張ってください。
Posted by ds at 2010年03月18日 19:52
日本文化の基礎は庶民文化だと思います。
江戸時代の浮世絵なんか好例ですね。
で、当時の世界最高レベルの多色刷り技術で、春画も刷ってたりw
漫画は現代の(文字通りの)“浮世”絵だと思います。
嫌悪や政争、利権の為の規制は百害あって一利無しだと思います。
江戸時代の浮世絵なんか好例ですね。
で、当時の世界最高レベルの多色刷り技術で、春画も刷ってたりw
漫画は現代の(文字通りの)“浮世”絵だと思います。
嫌悪や政争、利権の為の規制は百害あって一利無しだと思います。
Posted by Rick=T at 2010年03月18日 22:26
この規制案の大義名分がさっぱり理解できません。
性犯罪抑止のためにエロマンガを規制しろ、というのは「暴力団を取り締まるために『仁義なき戦い』を発禁にしろ」と言っているようなものだと思うのですが。
元々現実に暴力や犯罪があるからフィクションの題材になるのであって、フィクションの中の犯罪をなくせば現実の犯罪も消える、というわけではないでしょうに。例えばいしいひさいちの政治風刺漫画を規制すれば現実の政治家の失策や汚職がなくなる、とは到底思えません。
まぁ、本当にフィクションの内容の規制が現実にダイレクトな影響をもたらすのであれば素晴らしいことだと思うんですけどね。
バカキャラが出てくる漫画を規制すれば頭の悪い人がいなくなって賢い人ばかりになり、貧しい家庭が出てくる漫画を規制すれば不景気は解消、ニートや怠け者が出てくる漫画を規制すれば皆勤勉に働き、これで日本は安泰です。
ところで規制推進派の方々は、言論弾圧や表現規制を企む悪役キャラが出てくる作品を規制すれば、「フィクションの中の悪事の規制は現実にも影響をもたらす」という信念に従い、いなくなってくれるんですかね。
性犯罪抑止のためにエロマンガを規制しろ、というのは「暴力団を取り締まるために『仁義なき戦い』を発禁にしろ」と言っているようなものだと思うのですが。
元々現実に暴力や犯罪があるからフィクションの題材になるのであって、フィクションの中の犯罪をなくせば現実の犯罪も消える、というわけではないでしょうに。例えばいしいひさいちの政治風刺漫画を規制すれば現実の政治家の失策や汚職がなくなる、とは到底思えません。
まぁ、本当にフィクションの内容の規制が現実にダイレクトな影響をもたらすのであれば素晴らしいことだと思うんですけどね。
バカキャラが出てくる漫画を規制すれば頭の悪い人がいなくなって賢い人ばかりになり、貧しい家庭が出てくる漫画を規制すれば不景気は解消、ニートや怠け者が出てくる漫画を規制すれば皆勤勉に働き、これで日本は安泰です。
ところで規制推進派の方々は、言論弾圧や表現規制を企む悪役キャラが出てくる作品を規制すれば、「フィクションの中の悪事の規制は現実にも影響をもたらす」という信念に従い、いなくなってくれるんですかね。
Posted by アデ at 2010年03月18日 22:28
最大の問題は中高年の方々があらゆる分野の「大多数」であることであり、こういう偏見をもった人も少なからずいるということです。それゆえに新聞やテレビがこの問題に対して消極的な理由の重要な一つだと思います。いずれ「世代交代」が進むでしょうが、それまでの間にこの中高年以外の味方をどれだけ増やして、規制法案を成立を阻止しつつ表現の自由を重んじる世代に「世代交代」させるかも考える必要があります。
勝間和代さんが中高年と若者の対立が深刻なために日本の状況に希望がモテない若者が増えていると言っていましたが、この問題もその一面があると思います。
勝間和代さんが中高年と若者の対立が深刻なために日本の状況に希望がモテない若者が増えていると言っていましたが、この問題もその一面があると思います。
Posted by 闇のカリスマ at 2010年03月18日 23:47
初めて書き込ませていただきます。 ユニークな視点で驚きました。これぞGJとしか言いようがありません。さすがと学会会長です。
余談ですが、昨年の大賞候補だったバーバラ・アスカさんの本の続編ともいえる本が近日発売なのですが、現在その内容を”titter朗読”というユニークな手法で公開しています。完結までいましばらくかかるようですが、ご存知でしたでしょうか。山本さんがtwitterをなさってるか存じませんが、もしまだでしたらこの機会に是非どうぞ。ちなみに朗読はこちらのアカウントで行なわれています。
http://twitter.com/cho_lanove
名前 新刊『超ライトノベル実戦作法』全文朗読
現在地 3月20日頃から全国書店およびネット書店におります。
Web http://bit.ly/d642n0
自己紹介 3月23日にアスペクトより発売の『超ライトノベル実戦作法 ~売れるライトノベルは書く前に“9割”決まる』(バーバラ・アスカ、若桜木虔著)の内容紹介アカウントです。上のリンクをクリックすると、amazonの書籍ページにジャンプします。
余談ですが、昨年の大賞候補だったバーバラ・アスカさんの本の続編ともいえる本が近日発売なのですが、現在その内容を”titter朗読”というユニークな手法で公開しています。完結までいましばらくかかるようですが、ご存知でしたでしょうか。山本さんがtwitterをなさってるか存じませんが、もしまだでしたらこの機会に是非どうぞ。ちなみに朗読はこちらのアカウントで行なわれています。
http://twitter.com/cho_lanove
名前 新刊『超ライトノベル実戦作法』全文朗読
現在地 3月20日頃から全国書店およびネット書店におります。
Web http://bit.ly/d642n0
自己紹介 3月23日にアスペクトより発売の『超ライトノベル実戦作法 ~売れるライトノベルは書く前に“9割”決まる』(バーバラ・アスカ、若桜木虔著)の内容紹介アカウントです。上のリンクをクリックすると、amazonの書籍ページにジャンプします。
Posted by モザえもん at 2010年03月19日 00:28
3/17の記事にコメントさせていただこうと思っていたんですが。
「リアル図書館戦争」じゃなくて「リアル『ハレンチ学園』最終回」数歩手前といったほうが適当なような。
私も別のところで議事録を見たのですが、ほとんど「無敵くん」というか、ガードナーの奇想科学者の定義があてはまりそうな委員の発言に頭痛がしてきました。
この方々は自分たちが自由を制限しているという意識がそもそもないように思えます。よく保守派の議員がいいますよね、「適正にしろと言っただけだから圧力じゃない」
藤本由香里先生が書いておられた純潔教育への過信があって、遠ざければ現在の性風俗の乱れが直せるとでも思ってるんじゃないでしょうか(そのくせ性教育はバッシングするんだから…)
とりあえず先送りにはなったようですが都議会の勢力分布が変わったら油断できません。この件に関しては引き続き注意していきたいと思います。
「リアル図書館戦争」じゃなくて「リアル『ハレンチ学園』最終回」数歩手前といったほうが適当なような。
私も別のところで議事録を見たのですが、ほとんど「無敵くん」というか、ガードナーの奇想科学者の定義があてはまりそうな委員の発言に頭痛がしてきました。
この方々は自分たちが自由を制限しているという意識がそもそもないように思えます。よく保守派の議員がいいますよね、「適正にしろと言っただけだから圧力じゃない」
藤本由香里先生が書いておられた純潔教育への過信があって、遠ざければ現在の性風俗の乱れが直せるとでも思ってるんじゃないでしょうか(そのくせ性教育はバッシングするんだから…)
とりあえず先送りにはなったようですが都議会の勢力分布が変わったら油断できません。この件に関しては引き続き注意していきたいと思います。
Posted by 土左衛門 at 2010年03月19日 01:36
ネットでバリバリの規制推進派の女性議員さんに性犯罪のグラフの事をメールした方がその女性議員さんから返事がきたようですが、性犯罪について女性は被害届を出しにくいからそのグラフは当てにならない!(要約)と一喝されたと書いていました。
Posted by とも at 2010年03月19日 04:13
こんにちは。
山本さん、初めてコメントさせていただきます。
山本さんは「目からウロコの南京大虐殺論争」で、
>>
「トンデモさんと議論はするな」。相手が負けを認めない「無敵くん」と分かった時点で、さっさと撤退すべきである。
<<
と発言しておられますが、今回ばかりはそうはいきません!! 南京大虐殺がどうだろうと法令に影響はありませんが、今回ばかりはそうはいきません!!
第一、「エビデンスは必要ない」と発言している規制推進派が証拠を提示したところで自らの主張を改めるということがあるのでしょうか!?
>>
「勝つ」という言葉が「相手が負けを認める」という意味なら、トンデモさんとの議論に勝つことは絶対不可能である。
<<
とおっしゃっているとおりですよ!!
残念ながら反論はまったくもって無意味です!! こうしたデータを提示したところで、推進派が意見を変えることはないでしょう。
本当に頭が痛い話ですね…
山本さん、初めてコメントさせていただきます。
山本さんは「目からウロコの南京大虐殺論争」で、
>>
「トンデモさんと議論はするな」。相手が負けを認めない「無敵くん」と分かった時点で、さっさと撤退すべきである。
<<
と発言しておられますが、今回ばかりはそうはいきません!! 南京大虐殺がどうだろうと法令に影響はありませんが、今回ばかりはそうはいきません!!
第一、「エビデンスは必要ない」と発言している規制推進派が証拠を提示したところで自らの主張を改めるということがあるのでしょうか!?
>>
「勝つ」という言葉が「相手が負けを認める」という意味なら、トンデモさんとの議論に勝つことは絶対不可能である。
<<
とおっしゃっているとおりですよ!!
残念ながら反論はまったくもって無意味です!! こうしたデータを提示したところで、推進派が意見を変えることはないでしょう。
本当に頭が痛い話ですね…
Posted by slpolient at 2010年03月19日 06:28
初めまして。
アメリカの指標犯罪件数について疑問があるのですが、
「80年代頃からコミックス・コードを破る作品(『ウォッチメン』や『バットマン/キリング・ジョーク』など)が次々に出てきて」
とあるにもかかわらず、80年代以降の数値に大きな変化が見られません。
90年頃から減少が始まっているようにも見えますが、その後も減少が続いているかは不明であり、コミックス・コードの影響を語る資料としては、やや根拠に欠けるのではないでしょうか。
アメリカの指標犯罪件数について疑問があるのですが、
「80年代頃からコミックス・コードを破る作品(『ウォッチメン』や『バットマン/キリング・ジョーク』など)が次々に出てきて」
とあるにもかかわらず、80年代以降の数値に大きな変化が見られません。
90年頃から減少が始まっているようにも見えますが、その後も減少が続いているかは不明であり、コミックス・コードの影響を語る資料としては、やや根拠に欠けるのではないでしょうか。
Posted by undo at 2010年03月19日 08:48
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