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【第23回】
黄色いカバーの「標準日本語」といえば、中国では日本語学習者の必須アイテム。世界で一番売れている日本語教材といわれている。今回はその中に出てくる主人公--鈴木一郎こと、和田廣幸さんをインタビュー。「三十而立(三十にして立つ)」との思いで、議員秘書を辞めて中国へ。大学講師、大使館の留学アドバイザー、書道教室の先生、中国書画の蒐集家や研究家など様々な“顔”をもつ和田さんだが、実の姿は書家・篆刻家。今回はそんな多才な和田さんに“書”への思いを語ってもらった。
そうですか、ありがとうございます。ずいぶんと練習したんです(笑)。やっぱり、発声練習とか教えてもらいましたよ。中国の教材出版では最も有名な人民教育出版社や高等教育出版社とはずいぶん長い付き合いがあって、中国での中学校、高校、大学、大学院の日本語の教材に関する録音に参加しました。今回、高校3年生の教科書の録音でまずは完結ですが。ちなみに新版の「標準日本語」では、初級、中級ともに男性の主人公は私の声です。中国で日本語を勉強したことがある人は僕の声を一度は聞いたことがあると思いますよ。
随分と前のことですが中国国際放送局で10分間ほどの「北京の四季」という番組を何年間か担当したことがあります。毎回必死になって原稿用紙に十枚ほどの原稿を書いて、それを自分で読んで録音するんです。すると自然に国際放送局で仕事をしている日本人の女性アナウンサーと知り合いになり、時に男性役が必要なので一緒に録音して欲しいという依頼があって、それが今でもずっと続いている感じですね。こうしたことから日本語教材の出版にも参加させてもらい、自分も中国で何冊か教材を出版しています。また教材と関連してテープやCDの録音、ラジオ日本語講座の講師などもしたことがあります。
日本語教科書の録音風景 |
日本語の専門家といわれるとちょっと抵抗がありますね。でも、専門家の顔をしてないといけないのかな(笑)。北京での生活も知らず知らずのうちに長くなりました…。1994年からですから、今16年目に突入です。
そうですね。1996年からでしょうか。もう10年以上になります。日本に留学したい中国人の学生さんに日本留学に関するアドバイスをしています。もともとこちらの大学で教鞭をとっていた関係からか、中国で初のアドバイザーとして採用してもらいました。
最近は留学したい日本の学校に関してネットで簡単に調べられるようになりましたから、問い合わせの内容も随分と具体的なものになりましたが。十数年前はまだ日本に行けばお金儲けができるという時代でしたから「すみません、日本に行きたいんですけど、明日行けますか?」っていう人もいましたね。突拍子な質問をしてくる人がたくさんいました。「私はお金がありませんが、ニセの銀行残高証明証を作ったらどうですか」とか、そんなことここで質問しない、ここ日本大使館だって知っていますか、っていうようなこともしょっちゅうでした(笑)。
留学していた頃、北京にすでに十一年間いらしたという書の先輩がいたんです。その方の影響でか、できるだけ長くいたいと思い、まずは一年の語学留学をして、その次に何かしないといけないということで、早い時期から北京での就職活動を始めたんです。その先輩の紹介もあってスムーズに外交学院という大学で外国人専門家として採用してもらい、国際関係論や日本語を教えるようになりました。清華大学や北京外国語大学、それにFESCOなどでも教鞭を執りました。