『MOONくらいしす。#4』
原作: MOON.RENEWAL ©Tactics/Nexton





 わたしが連れてこられた場所。そこはコンクリートの壁に囲まれたお部屋。
 その中に、ベッドが1つあるだけ。
 殺風景にもほどがありまちゅ。その上でちゅよ?

「…お前は誰でちゅか?」
 わたしの目の前には、ひとりの男の人がいまちた。
 こいつ…見るからに悪人面でちゅ。
 その人は、さびれた町にある診療所の隅っこで人形を動かしながら、いたいけな子供たちを騙してなけなしのお金をせびっていそうな、そんな感じの男の人でちた。
「君がClassAの…」
「こそどろでちゅ、ちかんでちゅ、へんたいさんでちゅ!!」
「え…?」
 ここで負けるわけにはいかないでちゅ。
 わたしは男の人に戦いを挑むことにしまちた。
「なんてでりかしーのないやつでちゅ! 私のママに言いつけまちゅ!」
「お、おいおい…」
 引いたら負けでちゅ。あんな男に好きなようにされるわけにはいきまちぇん。
 りょーじょく反対!! みんなが安心して暮らせる社会を!!
 自分の居場所は自分で守るでちゅ。ここで女の底力を見せてやるでちゅ!!
 ぼーりょく主義は滅べでちゅ!!

 …

 …

 …

「ぜーはーぜーはー……」
 徹底的に言葉という言葉をぶつけまちた。これで男も少しはこりたはずでちゅ。

「大丈夫かい? 相当疲れているみたいだけど…」
「敵の情けは受けまちぇん!」
「敵って…」
 伸ばしてきた男の手をわたしは跳ね退けまちゅ。
 それにしても…

 少し疲れてしまいまちた……
 突然目の前が揺れてきまちた。
 足下もだんだんとふらついてきまちた。
 あぁ、世界が…まわる……

 ……ぱたん。



「…やれやれ、今度はかなり世話の焼ける子供のようだね」
 子供言うなでちゅ。
 ひょいっと身体を持ち上げられまちた。
 残された意識の中で、それでもわたしは力いっぱい戦う姿勢を…
 …すやすやぴ〜。

「今はとりあえず、ゆっくりとおやすみ…」
 ばたんっ。
 ドアが閉められる前、最後にそんな声が聞こえたような気がしまちた。


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