【大紀元日本3月19日】北京で閉会したばかりの「両会」に続き、来る5月1日から10月1日まで上海で開催される上海万博は、中国の次の盛大なイベントだ。しかし上海万博は、中国共産党政権にとってそのいわゆる強盛さを世界に示す最後の機会となるかもしれない?フランス主要経済紙「ラ・トリビューン」(La Tribune) 15日付の記事で、中国のバブル経済は上海万博の閉幕とともに崩壊するだろうとの見方が示された。
「上海万爆」と題するこの記事は、上海万博が閉幕するシーンをこのように描いている:各国の展示館が取り壊され、各国の観光客が去り、撮影機のライトを消し、上海万博が閉幕する瞬間は、中国のバブル経済の崩壊が「爆発」する時期となる。
同紙の論説委員を務める投資アドバイザーのマルク・フィオレンティーノ(Marc Fiorentino)氏が執筆した記事。フィオレンティーノ氏は同記事で、現在中国で起きているあらゆることは完璧なバブルと言え、バブル経済のすべての特徴を持つと指摘する。「特に上海万国博覧会は正真正銘のバブルで、2000年のITバブルや2007年の米国住宅市場バブルよりも一層完璧なバブルである」としている。
2008年に起きたリーマンショック以降、世界経済が大幅に低迷し、国際貿易総額も第二次世界大戦以来最悪な落ち込みを記録した。輸出を主とする中国経済も低迷するはずだったが、「経済成長」が絶対的なモットーとなった中国政府にとっては、景気後退は想像もつかなかったし、その現実を受け入れることができなかった、と同氏が分析。
同氏の観点では、「景気後退」自体が正に反共産党と言える。その「8%成長率を守ろう」(いわゆる“保八政策”)とのスローガンの下で、中国政府は大規模な景気刺激策を始めた。同政府が市場に投入した資金は実際に公表された8000億米ドル(約72兆円)よりも多いとみられる。
中国国民は将来の不安に備えて所得を貯蓄に回す習慣が根強くあるため、国内消費が依然低迷している。そのため、政府の景気刺激策は内需拡大よりも、インフラ投資を図るものである。当局は経済成長ができるならば、必要あるかどうかを問わず、高層ビルや工場、橋などを大規模に建設してもよいと指導した。また、政府は銀行に対して、地方政府や企業への融資について当初、それらの経営状況や返済能力を見なくてよいとの指令まで出したという。
フィオレンティーノ氏は更に、「融資は中国の銀行にとって主要任務で、また愛国主義の実際の行動となった。これによって、「経済成長」が実現されるだけではなく、中国政府のメンツも救われることとなる」と指摘した。
同氏はまた、「大規模な景気刺激策は中国に経済成長をもたらしたというよりも、危険なバブルをもたらした」とし、「現在中国のマネーサプライM2と新規貸出が急増している状況は、米国サブプライムローンが急増した当時の状況と非常に似ている」と示した。
「過熱化した経済を沈静化するため、中国政府は政策金利の引き上げに踏み出したいが、しかし金利の大幅な引き上げで株式市場が急落し、人民元切り上げの圧力も高まる可能性があるため、直ちに金融引き締め政策に踏み切れない。中国のバブル経済が崩壊する以外、他の解決方法はない。それは時間の問題で、中国政府はこのバブル経済を10月末まで保ち続けたいと考えているものと思われる」との見方を示した。
中国人民銀行(中央銀行)は11日、2月末のマネーサプライM2は前年同月比で25・52%増加したと発表した。1月末のM2は同25・98%増だった。一方、2月の新規融資は7001億元と発表した。1月の1兆3900億元から大幅に減少したという。
(翻訳編集・張哲)
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