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昏睡強盗 上野・湯島で急増

2010年03月18日

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上野盛り場地区等対策推進協議会の約100人が上野駅近くの「仲町通り」を行進して注意を呼びかけた=17日夜、台東区上野2丁目

◇昨年からの被害3億7000万円

 台東、文京の両区にまたがる繁華街「上野・湯島地区」で、アジア系の女性が接客するスナックで客が泥酔させられ、キャッシュカードなどを奪われる昏睡(こん・すい)強盗の被害が増えている。昨年1月以降の被害は約500件、3億7千万円相当にのぼる。春の歓送迎会シーズン本番を控えて17日、地元商店街なども防犯組織を立ち上げ、上野署と合同で夜の繁華街を巡回して注意を呼びかけた。

◇新宿・六本木の取り締まり強化で流入

 上野・湯島地区は上野公園の南側にあり、東京ドーム1個弱の広さに風俗店やスナックなど約1千店がひしめく。

 「酒を飲まされ、その後の記憶がない。店の場所も思い出せない。悔しい」

 さいたま市の男性会社員(25)は今年1月下旬の未明、友人と酒を飲んだ後、1人で同地区を歩いていた。

 「うちに来ない?」。いきなりアジア系とみられる若い女性に腕を組まれ、もう1人に背中を押された。風俗店に連れて行かれ、断ると別の女性にスナックに誘われた。温かいお茶が出され、さらに別のスナックに連れて行かれた。

 店に他の客はなく、女性店員にビールを注いだグラスを無理やり口に運ばれ、嫌々一口飲んだ。直後に眠ってしまったらしい。体を揺すられて目覚めると「会計は3千円」と言われた。財布にはあるはずの現金がなかった。

 「クレジットカードでもいい?」と尋ねると、女性店員が電卓のような端末を持ってきた。暗証番号を入力したら、また眠ってしまった。

 被害に気づいたのは帰宅後。その日のうちに明細を確認したところ、午前6時40分に港区内のコンビニエンスストアの現金自動出入機(ATM)からキャッシュカードとクレジットカードで計28万円が引き出されていた。

 ちょうど最後のスナックにいたころだ。男性は上野署に被害を届け出た。コンビニの防犯カメラに現金を引き出す男が映っていたという。

 警視庁によると、同地区での昏睡強盗の被害は昨年7月ごろから急増した。同庁組織犯罪対策部の幹部は「新宿や六本木で客引きや風俗店への取り締まりを強化したため、上野・湯島地区に流れ込んだ」とみる。

 同庁は昨年末から同地区で悪質な客引きなどの取り締まりを強化し、これまでに売春防止法や都迷惑防止条例(不当な客引き行為等の禁止)などの容疑で47人(韓国29人、中国10人、日本8人)を逮捕。1月末には昏睡強盗の疑いでスナックを経営する中国人の女ら5人を逮捕した。

 取り締まり強化で同地区の客引きの数は今年1月上旬の約130人から現在は30〜40人に減った。2月の昏睡強盗被害はゼロだったが、同庁は「被害はピーク時から大きく減ったものの、手を緩めるとすぐに元に戻る。当面取り締まりの強化を続ける」としている。

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