エンジンオイルのグレード、粘度について
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エンジンオイルのグレード

自動車の進化に伴って、エンジンオイルもまた日々進化を続けています。そのエンジンオイルの品質を分類する代表的な規格である「API規格」もまた、進化を遂げてきました。「API規格」とは、省燃費性、耐熱性、耐磨耗性といったエンジンオイルに必要不可欠な性能を設定したもので、ガソリンエンジンオイルに限れば、SAからSMまでの10段階で分けられます。その10個のグレードは、それぞれ制定された年が違い、新しいグレードほど厳しい基準を持ち、高品質になります。これらAPI規格はEOLCS(※)によって認定されています。

※EOLCS : Engine Oil Licensing and Certification System
1993年アメリカ石油協会やアメリカ自動車技術者協会、アメリカ材料試験協会、アメリカ自動車工業会などの教団体によって組織化されたエンジンオイル認証システム。

SAEが定めたエンジンオイルの規格

エンジンオイルには様々なグレードや規格があります。
ここでは、グレードと規格をご案内します。

SA

運転状態がゆるやかなエンジンに使用可で、添加物を含んでいないオイル(ベースオイル)。

SB

最低レベルの添加物を配合したオイルで、かじり防止・酸化安定性の機能が改善されている。

SC

1964〜67年型のガソリン車に満足して使用できる品質を持ち、デポジット防止性・磨耗防止性・サビ止め性腐食防止性が備わっている。

SD

1668〜71年型のガソリン車に使用できる品質を持ち、SCより高い品質レベルを備えている。

SE

1972〜79年型のガソリン車に使用できる品質を持ち、SDより高い品質レベルを備えている。

SF

1980年製以降の車に適応。酸化、高温デポジット(堆積物)、低温デポジット、サビ、腐食に対する優れた防止性能を発揮。

SG

1989年製以降の車に適応。SFの性能に加え、動弁系の耐摩耗性と酸化安定性が要求され、エンジン本体の長寿命化を果たす性能がある。

SH

1993年製以降の車に対応。SGの性能に加え、スラッジ防止性、高温洗浄性に優れる。

SJ

1996年製以降の車に適応。SHの性能を向上。さらに蒸発性、せん断安定性に優れる。

SL

2001年度制定。SJに比べ、省燃費性の向上(CO2の削減)・排出ガスの浄化(CO、HC、NOxの排出削減)・オイル劣化防止性能の向上(廃油の削減・自然保護)があげられる。

SM

2004年制定。SLに比べ、浄化性能・耐久性能・耐熱性・耐磨耗性に優れている。

API規格ディーゼルエンジン用

CA

軽度から中程度条件のディーゼルおよび軽度条件のガソリンエンジン用、ただし良質燃料使用を条件とし、この条件下での軸受腐食防止性および高温デポジット防止性が必要。摩耗防止性およびデポジット性は必要としない。

CB

軽度から中程度条件のディーゼルエンジン用であるが、低質燃料使用時の摩耗およびデポジット防止性を必要とする。高硫黄分燃料使用時の軸受け腐食防止性および高温デポジットも必要。

CC

軽度過給ディーゼルエンジンの中程度から過酷運転条件用。高負荷運転のガソリンエンジンにも使われる。軽度過給ディーゼルでの高温デポジット防止性、ガソリンエンジンでのさび止め性、腐食防止性および低温デポジット防止性が必要。

CD

高速高出力運転での高度の摩耗およびデポジット防止性を要求するディーゼルエンジン用。広範な品質の燃料を使用する過給ディーゼルを満足させる軸受け腐食防止性および高温デポジット防止性が必要。

CE

1983年以降製造のヘビーデューティーの過給ディーゼルエンジンで低速高荷重と高速高荷重で運転するものの両方に用いる。CD級よりさらにオイル消費性能、デポジット防止性能、スラッジ分散性能を向上させたもの。

CF

建設用機械および農業用機械などいわゆるオフハイウェイディーゼルエンジン用に開発された油で、CDに代わるものとして、性能を向上したもの。

CF-4

1990年代の低硫黄(0.5%以下)の軽油を使用するオンハイウェイ大型トラックなど最も過酷な条件で運転されるディーゼルエンジン用で、CEに比べ特にデポジット性能、スラッジ分散性の向上を図るとともに、熱安定性およびオイル消費防止性を向上したもの。

SAEが定めたエンジンオイルの規格

エンジンオイルを選ぶ基準は2つ。品質と粘土です。その「粘土」はSAE(アメリカ自動車技術協会)が定めた「粘度分類」が標準とされています。この粘度分類はオイルの「粘り」を表し、温度の変化に耐えて潤滑油としての性能をどの程度発揮できるかを示します。この規格は、車種や走行条件などにより選択するものですので、数値が高いからといって優れたオイルというわけではありません。

エンジンオイルの容器の表面には、、「15W-20」ように2つの数字が表記されています。この最初の数字は低温側の粘度を表し、「W」は冬(WINTER)の意味となります。数値が低いほど寒さに強く固まらないことを表します。右側の数字は、気温100℃で測定したときのオイルの粘度を表し、この数字が大きいほど粘度が高く、硬いオイルということになります。つまり、左側の数字が小さい(軟らかい)オイルほど燃費がよく、右側の数字が大きいほど粘度が硬く、エンジンが高温状態になりやすいのです。