「バターン死の行進」=AP
【ニューヨーク=田中光】AP通信は18日、65年前に配信した第2次世界大戦時の写真について、「バターン死の行進」とあった写真説明を、「行進の後」と訂正した。生存者の証言がきっかけで調査が進み、歴史的な写真の訂正は珍しいという。
「行進」はフィリピンのバターン半島で1942年に起きた。米比軍8万人が降伏したが、大量の捕虜受け入れの準備ができていなかった日本軍が80キロ以上の道を歩かせ、数千人以上の死者が出たと言われている。
問題の写真は、米軍が日本人から入手したもので、「バターン死の行進で捕虜たちによって運ばれる死傷者たち」として45年に配信された。戦後も各メディアで使われ続けたが、ニューメキシコ州に住む行進の生存者が昨年8月に掲載された写真説明は事実と違うと地元紙に連絡し、AP通信で調査が始まった。その結果、国立公文書館で保管されていたメモなどから、写真は行進の数週間後、収容所で撮られたものだと分かったという。
連絡した生存者はAP通信に対し、「日本軍は、死んだ同僚を運ぶために行進が遅れることを許すはずがない」と話しているといい、現場で同僚の埋葬を手がけたことがあるという。