皆さんは迷信や占いを信じるだろうか? 実は、意外と迷信深かったりするイタリア人。黒猫に目の前を横切られたら、えらい遠回りをしてでもその道は通らない人もいれば、宴会などでたまたま出席者が13名になった場合、赤の他人をむりやりテーブルに座らせてまで不吉な数を避けようとする人も(ちなみに、食卓で13名がなぜ不吉かというと、キリストの最後の晩餐が13人だったことから。その直後にキリストは逮捕され、処刑された)。
もちろん、星座占いやタロット占いも非常に盛んで、言うまでもなく、年始ともなるとその年の行方を占いで念入りにチェックする。そしてカルチョの世界にも、各チームの運勢を占う専門家がいるのだ。その名はマーゴ・ニコーラ、バーリ出身の48歳(「マーゴ」とは、イタリア語で魔術師、占い師の意味)。しばしばテレビ(しかも、真面目なニュース番組やサッカー番組)にゲスト出演するニコーラ氏は、なんとここ4年間連続で、リーグ優勝チームを当てた経歴を持つお方。ミラン、ラツィオ、ローマ、ユヴェントスのスクデット獲得を予言しただけでなく、各シーズンの2位チームもバッチリと当ててきた、なんともスゴイ(っていうか、コワイ!?)占い師なのである! では、今シーズンの結果はどうなるのだろうか? 『コリエレ・デッロ・スポルト』紙にインタビューされたニコーラ氏は、迷わずこう答えたそうだ。「今年はインテルです。2位はミラン。それにユヴェントス、ラツィオ、キエーヴォと続くでしょう」。
話によると、ニコーラ氏は未来の出来事を予言するだけではなく、「私は、物事が私の予言どおりに動くよう“働く”のです。ネガティブなエネルギーを祓ったりしてチームを守り、チームがしかるべき道を進むよう、手を貸すのです」とのことで、ニコーラ氏の感応力はチームの行方を左右するほどのモノ(らしい)。つまり、この人を敵に回すと、良いことあるわけない(らしい)のだ。じゃあ、ローマは? 「ローマは“アウト”です。今シーズンのローマは、ご覧のとおり、ベスト5にさえ入らない運勢です。2000−01シーズンは私の予言どおり、ローマが優勝しました。スクデット獲得の最終節まで、私はローマを“支え続けた”のです。ところが……」。ニコーラ氏曰く、優勝を手にして傲慢になったローマは、そこで恩知らずな態度を取り、大きな過ちを犯したのだった。「私はいつも“手助け”をしたチームから、報酬の意味で選手のユニフォーム一式をいただいているのです。他のチームは喜んで送ってくれたのですが、ローマは私の要求を無視したのです。私は数カ月間を置いて、手紙で再び催促してみました。それでも、ユニフォームは来ませんでした」。ケチで知られるセンシ会長のローマは、ユニフォーム十数枚を渋ったおかげで、ニコーラ氏を怒らせてしまった。そのため、昨シーズンから運に見放されてしまった、というわけだ(う〜ん、ローマの現状を考えるとなんとなく納得!?)。さらに、ニコーラ氏の占いによると、今年のローマはショッキングな出来事に出くわすそうな。なんと、「今シーズンが終わったと同時に、トッティはユヴェントスに移籍するでしょう」とのことなのだ! 「ロマニスタにとっては最悪のニュースかもしれませんが、これは私のせいではありません。私はローマの優勝を占ったように、今度はトッティの移籍を予言します」。よっぽど、恩を仇で返されたのが頭にきたんだろうなあ。「私はローマに大金を要求したわけではありません。単なるお礼の印として、選手のユニフォームをお願いしただけです。それを無視するということは、私の支えを拒否したということです。だから私はもう、ローマを守りません」。しかしまあ、『一生ローマに残る』と公言したトッティが、ユヴェントスに行くなんて……!? 「それは、ユーヴェGMルチアーノ・モッジの力によって実現されるでしょう。モッジは、不可能を可能にする力を持った男なのです」。要するに、大金の力によって説得させられちゃう、ってこと?
その他の2003年の予言といえば、イタリア代表監督に関するものが興味深い。「デル・ネーリ氏(現キエーヴォ監督)がアッズーリ監督の候補に挙がっているという噂もありますが、彼は中央ないしは南部イタリアのクラブチームの監督になるでしょう。アッズーリの次期監督は、ずばり、マルチェッロ・リッピ氏です。ユヴェントスと最近契約を更新したことは大した問題にはならないでしょう。カルチョの世界では、契約なんてあってないようなものですから。え? トラパットーニですか? 彼は一つ、大きな過ちを犯したのです」。もしや、トラップもユニフォームの要求を拒否したのだろうか? ニコーラ氏は新たな“秘話”を提供した。「トラパットーニは、バッジョをW杯に招集しなかった。このことで、私はかなり立腹しました。たとえベンチ要員としてでも、W杯にバッジョを連れていくべきでした。バッジョを招集しないことによって、トラパットーニは自ら不運を呼んだのです。善行をやれる時にやらない者には、罰が与えられるのです」。なんか、深いというか、ムチャクチャというか……。
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インテルがスクデットを獲ったら、ローマは今からでもユニを献上したほうがいいかもね |
一人の選手の影響力で、チーム全体の運(?)が左右されてしまうといえば、ニコーラ氏のインテルに関する発言もまた、その一つだろう。「インテルが今まで勝てなかったのは、理由があります。チーム内に、不運をもたらす人がいたからなのです。それはイタリア人ではなく、今はインテルにいない人です」。えっ、それってまさか『ロ』で始まって『ド』で終わる名前の人じゃ……!? 「誰とは言えませんが、ちなみにロナウドではありません。とにかくその人のせいで8年間、インテルは呪いにかかっていたのです。でも今は去りましたから、インテルは今年スクデットを獲得してやっと花を咲かせることができるでしょう」とのこと。しかし、その外国人っていったい誰なんだろう?
ところで、ニコーラ氏はどういう方法で未来を占っているのだろうか?「それは、秘密です」。ガクッ! 「言えるのは、カルチョに関する十分な知識が必要であるということです。正確に占うには、カルチョの世界を奥まで知り尽くさなければならないのです。したがって、私は常にスタジアムに足を運び、日頃から選手、監督、フロント、審判に関する情報を集め、関係者のエネルギーを感じるようにしているのです」。果たして、今年もマーゴ・ニコーラの予言は当たるのだろうか? お楽しみに……。 |