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March 2003
寒い日が続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。選手たちも、インフルエンザにかかってプレーできなかったり(ヴィエリとディ・ビアージョは合宿所を勝手に抜け出したから、出場させてもらえなかったという噂もあったけど)、寒さでピッチが最悪な状況だったりと大変でしょうが、後半戦に突入したことだし、ここらでもうひと踏ん張り……え? なになに? 今シーズンのスクデット獲得はもう決まってる? 誰だ、そんなこと言うヤツは!?
写真●グエリン・スポルティーヴォ Photo by GUERIN SPORTIVO

スクデット獲得チームは、あそこ、
ローマの不調はセンシのケチが原因と、
占いで何でもお見通しです!?
 皆さんは迷信や占いを信じるだろうか? 実は、意外と迷信深かったりするイタリア人。黒猫に目の前を横切られたら、えらい遠回りをしてでもその道は通らない人もいれば、宴会などでたまたま出席者が13名になった場合、赤の他人をむりやりテーブルに座らせてまで不吉な数を避けようとする人も(ちなみに、食卓で13名がなぜ不吉かというと、キリストの最後の晩餐が13人だったことから。その直後にキリストは逮捕され、処刑された)。

 もちろん、星座占いやタロット占いも非常に盛んで、言うまでもなく、年始ともなるとその年の行方を占いで念入りにチェックする。そしてカルチョの世界にも、各チームの運勢を占う専門家がいるのだ。その名はマーゴ・ニコーラ、バーリ出身の48歳(「マーゴ」とは、イタリア語で魔術師、占い師の意味)。しばしばテレビ(しかも、真面目なニュース番組やサッカー番組)にゲスト出演するニコーラ氏は、なんとここ4年間連続で、リーグ優勝チームを当てた経歴を持つお方。ミラン、ラツィオ、ローマ、ユヴェントスのスクデット獲得を予言しただけでなく、各シーズンの2位チームもバッチリと当ててきた、なんともスゴイ(っていうか、コワイ!?)占い師なのである! では、今シーズンの結果はどうなるのだろうか? 『コリエレ・デッロ・スポルト』紙にインタビューされたニコーラ氏は、迷わずこう答えたそうだ。「今年はインテルです。2位はミラン。それにユヴェントス、ラツィオ、キエーヴォと続くでしょう」。


 話によると、ニコーラ氏は未来の出来事を予言するだけではなく、「私は、物事が私の予言どおりに動くよう“働く”のです。ネガティブなエネルギーを祓ったりしてチームを守り、チームがしかるべき道を進むよう、手を貸すのです」とのことで、ニコーラ氏の感応力はチームの行方を左右するほどのモノ(らしい)。つまり、この人を敵に回すと、良いことあるわけない(らしい)のだ。じゃあ、ローマは? 「ローマは“アウト”です。今シーズンのローマは、ご覧のとおり、ベスト5にさえ入らない運勢です。2000−01シーズンは私の予言どおり、ローマが優勝しました。スクデット獲得の最終節まで、私はローマを“支え続けた”のです。ところが……」。ニコーラ氏曰く、優勝を手にして傲慢になったローマは、そこで恩知らずな態度を取り、大きな過ちを犯したのだった。「私はいつも“手助け”をしたチームから、報酬の意味で選手のユニフォーム一式をいただいているのです。他のチームは喜んで送ってくれたのですが、ローマは私の要求を無視したのです。私は数カ月間を置いて、手紙で再び催促してみました。それでも、ユニフォームは来ませんでした」。ケチで知られるセンシ会長のローマは、ユニフォーム十数枚を渋ったおかげで、ニコーラ氏を怒らせてしまった。そのため、昨シーズンから運に見放されてしまった、というわけだ(う〜ん、ローマの現状を考えるとなんとなく納得!?)。さらに、ニコーラ氏の占いによると、今年のローマはショッキングな出来事に出くわすそうな。なんと、「今シーズンが終わったと同時に、トッティはユヴェントスに移籍するでしょう」とのことなのだ! 「ロマニスタにとっては最悪のニュースかもしれませんが、これは私のせいではありません。私はローマの優勝を占ったように、今度はトッティの移籍を予言します」。よっぽど、恩を仇で返されたのが頭にきたんだろうなあ。「私はローマに大金を要求したわけではありません。単なるお礼の印として、選手のユニフォームをお願いしただけです。それを無視するということは、私の支えを拒否したということです。だから私はもう、ローマを守りません」。しかしまあ、『一生ローマに残る』と公言したトッティが、ユヴェントスに行くなんて……!? 「それは、ユーヴェGMルチアーノ・モッジの力によって実現されるでしょう。モッジは、不可能を可能にする力を持った男なのです」。要するに、大金の力によって説得させられちゃう、ってこと?

 その他の2003年の予言といえば、イタリア代表監督に関するものが興味深い。「デル・ネーリ氏(現キエーヴォ監督)がアッズーリ監督の候補に挙がっているという噂もありますが、彼は中央ないしは南部イタリアのクラブチームの監督になるでしょう。アッズーリの次期監督は、ずばり、マルチェッロ・リッピ氏です。ユヴェントスと最近契約を更新したことは大した問題にはならないでしょう。カルチョの世界では、契約なんてあってないようなものですから。え? トラパットーニですか? 彼は一つ、大きな過ちを犯したのです」。もしや、トラップもユニフォームの要求を拒否したのだろうか? ニコーラ氏は新たな“秘話”を提供した。「トラパットーニは、バッジョをW杯に招集しなかった。このことで、私はかなり立腹しました。たとえベンチ要員としてでも、W杯にバッジョを連れていくべきでした。バッジョを招集しないことによって、トラパットーニは自ら不運を呼んだのです。善行をやれる時にやらない者には、罰が与えられるのです」。なんか、深いというか、ムチャクチャというか……。

インテルがスクデットを獲ったら、ローマは今からでもユニを献上したほうがいいかもね
 一人の選手の影響力で、チーム全体の運(?)が左右されてしまうといえば、ニコーラ氏のインテルに関する発言もまた、その一つだろう。「インテルが今まで勝てなかったのは、理由があります。チーム内に、不運をもたらす人がいたからなのです。それはイタリア人ではなく、今はインテルにいない人です」。えっ、それってまさか『ロ』で始まって『ド』で終わる名前の人じゃ……!? 「誰とは言えませんが、ちなみにロナウドではありません。とにかくその人のせいで8年間、インテルは呪いにかかっていたのです。でも今は去りましたから、インテルは今年スクデットを獲得してやっと花を咲かせることができるでしょう」とのこと。しかし、その外国人っていったい誰なんだろう?

 ところで、ニコーラ氏はどういう方法で未来を占っているのだろうか?「それは、秘密です」。ガクッ! 「言えるのは、カルチョに関する十分な知識が必要であるということです。正確に占うには、カルチョの世界を奥まで知り尽くさなければならないのです。したがって、私は常にスタジアムに足を運び、日頃から選手、監督、フロント、審判に関する情報を集め、関係者のエネルギーを感じるようにしているのです」。果たして、今年もマーゴ・ニコーラの予言は当たるのだろうか? お楽しみに……。

衝撃の映像はリボンにスカート姿で
ダンスを踊るローマ軍団。
もしや、やけくそになった?
案外、女装好きだったりして?
 さて、占いでも見放されてしまった今シーズンのローマだが、イタリアでは彼らの衝撃的(?)な映像が話題に上がった。その映像とは、トッティ、パヌッチ、カペッロの3人が、頭にリボン(のようなふわふわしたもの)をつけ、シフォン風のスカートをはき、くるくるとダンスを踊っているというもの(映像をお見せできなくて残念!)。チームの不調にやけくそになった、というわけではなく(それもあるかも?)、これは1月6日のエピファニーア(御公現の祝日)に、センシ会長の発案により開かれた、病気の子供たちや家庭に問題のある子供たちのためのパーティーで披露された催し物の一つだった。ちなみにエピファニーアには、サンタクロースの代わりに、魔女が子供にプレゼントを贈るということになっている。3人は“おばあさん魔女”に扮し、子供たちのためにダンスを披露したのだ。「これでヒザのケガを悪化させちゃうよ」とジョークを飛ばしていたトッティにはいくらかのテレが感じられたが、さすが監督! スカートの端をちょこっとつまみながら踊るカペッロは、完全に役(?)になりきっていた。しっかし子供たちのためとはいえ「こんなことやってる場合なのか?」とつっこみたくなるなあ。

モンテッラ夫妻に続き、
なんとシモーネとアレッシアも破局。
“情熱”は長続きしないようで……。
“なごみ系カップル”の破局は残念。さて、次のお相手は誰ですか? お二人さん
 シモーネ・インザーギ(ラツィオFW)とアレッシア・マルクッツィ(テレビタレント)が、ついに破局を正式発表した。ついこの間まで、子息のトンマーゾ君と一緒に、幸せそうな家族の光景を提供してくれていた二人だったが(1月号のゴシップでカルチョ参照)、やっぱり長続きしなかったようだ(そういえば、なかなか結婚しなかったもんね〜)。アレッシア嬢のマネージャー、ジュゼッペ・カスケット氏の話によると、「アレッシアとシモーネは冷静に話し合い、別れることを決断しました。客観的に現在の状況を見て、二人の間で、すでに情熱が冷めてしまったという事実を素直に受け入れたのです」とか。二人はすでに別居しているらしく、トンマーゾ君はアレッシア嬢が引き取ったとのこと。また一つ、このページの常連カップルが消えてしまったのは、なんとも残念……?

インテル移籍が決定した
バティストゥータは奥さんと
サングラス姿で仲良くなぜか腕相撲。
サングラス、どっちかっていうとイリーナさんのほうが似合ってるかもね
 6月までのレンタルで急きょ、インテルに移籍が決まったガブリエル・バティストゥータだが、こちらは最愛の妻イリーナと、歳月が経っても不仲の気配は一切なく、相変わらずラブラブムードに満ちている。それを裏づけるかのように、最近、夫婦揃ってこんな広告にも出演した(写真参照)。以前、バティが上半身裸で出演した、サングラスメーカーの広告を覚えている方もいるだろう(2002年1月号のゴシップでカルチョ参照)。この度の広告は、同メーカーの新コレクションを宣伝するもの。今回はバティだけでなくイリーナ夫人も一緒に出演して、夫婦でにっこり腕相撲……(って、それってどういう意味なんだ!? それにしても、イリーナのほうが強そうに見えるのは笑える)。何はともあれ、楽しそうでよござんす。末永くお幸せに!

ラツィオ財政難の大きな原因は
選手の高額年俸だった?
長者番付に5人ランクイン!
 毎年、イタリア財務局によって発表される長者番付。今回も、2001年度所得申告データ(2000年の収入が対象)に基づいた長者番付が発表されたが、それにしても相変わらずサッカー選手がいるわいるわ。イタリア長者ランキング100位以上に、カルチャトーレが22人ランクイン。つまり、5人に1人がサッカー選手ってことなのだ! では、そのお金持ち選手たちは誰なのか、早速ご紹介しよう。

 このリストを見てふと気がつくのは、ラツィオ(当時も含む)の選手がやたらと多いということ。インテルの選手2名、フィオレンティーナの選手2名、ミラン、ローマ、パルマが3名ずつ、ユヴェントスが4名で、なんとラツィオは5名もの選手がこの長者番付に載っているのだ。当時のラツィオは景気がよかったんだなあ(今はそのツケが回ってきた?)。

セリエA・2000年の収入が多かった選手ランキング
1位 デル・ピエロ (ユヴェントス) 1190万ユーロ (約14億3千万円)
2位 ロナウド (当時インテル) 880万ユーロ (約10億6千万円)
3位 バティストゥータ (ローマ) 870万ユーロ (約10億4千万円)
4位 ヴィエリ (インテル) 750万ユーロ (約9億円)
5位 マルディーニ (ミラン) 650万ユーロ (約7億8千万円)
6位 インザーギ (当時ユヴェントス) 600万ユーロ (約7億2千万円)
7位 テュラム (当時パルマ) 570万ユーロ (約6億8千万円)
8位 キエーザ (当時フィオレンティーナ) 560万ユーロ (約6億7千万円)
9位 モンテーロ (ユヴェントス) 550万ユーロ (約6億6千万円)
10位 ベロン (当時ラツィオ) 540万ユーロ (約6億5千万円)
11位 ルイ・コスタ (当時フィオレンティーナ) 530万ユーロ (約6億4千万円)
12位 サラス (当時ラツィオ) 520万ユーロ (約6億2千万円)
13位 ネスタ (当時ラツィオ) 500万ユーロ (約6億円)
14位 クレスポ (当時ラツィオ) 480万ユーロ (約5億8千万円)
15位 ビヤホフ (当時ミラン) 470万ユーロ (約5億6千万円)
16位 中田英寿 (当時ローマ) 430万ユーロ (約5億2千万円)
フェラーラ (ユヴェントス)       〃
トッティ (ローマ)       〃
シェフチェンコ (ミラン)       〃
アモローゾ (当時パルマ)       〃
21位 ブッフォン (当時パルマ) 420万ユーロ (約5億円)
ミハイロヴィチ (ラツィオ)       〃
注:長者番付100人中、サッカー選手のみのランキングを掲載。
ラツィオにはすごいメンバーが揃ってたんだなあ……。カネかかるわ、こりゃ

あの“超有名”審判が、
イタリア国営放送に出演。
イタリアの執念(?)はすごいです
 忘れたくても忘れられない“あの”バイロン・モレーノ審判がゲスト出演するバラエティーショーが、ついにイタリア国営放送第2チャンネル(RAIDUE)でオンエアされた。タイトルは『Stupido Hotel』、直訳すると『バカ・ホテル』。スタジオ内は落ちぶれた小さなホテルの設定で、そこに色々なゲストが訪問し、歌ったり踊ったりして番組に参加するという仕組みなのだが、もっとも注目を集めたのは言うまでもなく、相変わらずイタリアでは極悪人の象徴となっているモレーノ審判である。まず、どういう形で出てきたかと言えば……その登場シーンはあまりにも“大胆”だった。インチキくさい黒いビニールのレインコートを着たモレーノが、アタッシュケースを片手に参上し、こういうセリフを述べたのである。「こんにちは、皆さん! 私は誰もが知る国際レフェリー、バイロン・モレーノでございます。私が持つこのカバンの中には、ぎっしりとキャッシュが詰まっています。このお金でみんなで派手に遊びましょう!」。確かに、モレーノが握り締めるアタッシュケースからは、これでもかとお札がはみ出ている。台本の作者の意図では、もちろん“八百長で儲けたお金”という意味だったのだろうが、そういった皮肉を全く気にしていない様子のモレーノは、ホステスっぽいおネエちゃんたちに囲まれてとてもうれしそうに、デレデレした顔つきで(ぎこちなく)踊った。

 その後、成金レフェリーの芝居(……芝居?)を終えたモレーノに、元サッカー選手で現在は解説者のジョゼ・アルタフィーニがインタビューをした。モレーノは、そこで改めて、イタリアvs韓国戦での自分のジャッジは正当であったことを主張(「トンマージはオフサイドだった。副審は確かだと言っていた」とか、「トッティは明らかにダイブした。すでにイエロー1枚が出されていたから退場は当然の処分だった」などなど)。同時に、「レフェリーはあくまでも人間なので、間違いを犯すこともある」とも話し、「間違いを絶対犯さない人間は3種類だけいる。それは生まれなかった人、死んでしまった人、それと何もしない人の3種類だ」などと、わけのわからない発言も。番組の終わりまで思う存分、言いたいことを言い、初めて遊園地に行った子供みたいにテレビ出演を楽しんでいる様子のモレーノは、予定どおり、最後はレフェリーの制服に着替えてエンディングを迎えた。しかし、実はそこにイタリア国民の執念を込めたリベンジが待ち受けていた。スタジオの天井にあらかじめ仕掛けられていた大量の水が、モレーノにぶっかけられたのだ。頭からずぶ濡れになってステージを後にするモレーノの姿はみじめそのものだったが、イタリアではその姿に同情を感じる者は誰一人としていなかったことだろう。でもモレーノ氏、イタリアに来て、何もされずに無事に帰れると本当に思っていたのかな……。

 ちなみに、モレーノはもちろんノーギャラで出演したわけではない。本人は「3000ユーロ(約36万円)の報酬を受けただけ」と公言しているが、実は支払われた額は2万5000ユーロ(約300万円)だったというウワサも。何はともあれ、資格停止処分中でレフェリー業から干されているモレーノにとって、もってこいのアルバイトだったことは間違いない。一方、イタリア市民の一部からは、「あんな最低な男に金を払って国営放送に出演させるなんてとんでもない!」という抗議の声が上がり、番組視聴をボイコットした人も少なくなかったとか(実際に、モレーノの顔なんて二度と見たくないだろうからなあ)。
最も彼を憎んでるはずのイタリアから、なぜか、次々と出てくるモレーノ・ネタ。 イタリア人って、実はマゾ!? っていうか、もはやキミは何者?(顔変わってない?)