最新記事へリンク

所長
神浦元彰
軍事ジャーナリスト
Director
Kamiura Motoaki
Military Analyst

English Column of This Month!VOICE OF Mr.KAMIURA

What's new

日本や世界で現在進行形の最新の軍事情報を選別して、誰にでもわかるような文章で解説します。ホットな事件や紛争の背景や、将来の展開を予測したり、その問題の重要性を指摘します。J-rcomでは、日本で最も熱い軍事情報の発信基地にしたいと頑張ります。(1999年11月)

2010.03.20

 米海兵隊向け F35戦闘機の試験機 垂直着陸に成功 

カテゴリ米軍出典 毎日新聞 3月20日 朝刊 
記事の概要
米ロッキード・マーチン社は18日、開発中の次世代戦闘機F35のうち、海兵隊向けの強襲揚陸艦や小さな飛行場でも運用できるタイプの垂直着陸試験に初めて成功した。

F35の垂直着陸型は、在日米軍海兵隊でも運用されているAV8ハリアー戦闘攻撃機の後継となる。

F35は通常離発着型の空軍型と、空母艦載機型の海軍仕様の開発が大幅に遅れている。海兵隊仕様だけが計画通り進み、2012年に実戦配備される。

この日の試験はメリーランド州にある海軍基地で実施され、高度45メートルで空中静止(ホバリング)後、垂直に降下、着陸した。
コメント
正式には、アメリカ空軍仕様の通常離着型はF35A型、海兵隊仕様の短距離離陸垂直着陸型はF35B、海軍仕様の空母艦載機型はF35Cの3週類である。

今回はF35Bの垂直着陸の試験飛行に成功した。

それではF35Bの離陸には垂直機能を使わないかとなれば、原則使わないで強襲揚陸艦などの甲板を使う短距離離陸(発艦)を行う。

なぜなら、離陸(発艦)する場合、燃料や爆弾など満載し、機体重量が重いので滑走し翼の揚力を使って飛び上がる。逆に着陸(着艦)するときは燃料や爆弾を消費しているので、機体重量が減り、垂直着陸(着艦)が可能になるからである。

また、F35AやF35の開発が遅れているのではなく、今は米空軍のF15EやF22で十分に運用でき、海軍もF18スーパーホーネットで間に合っている。だから、あえて開発を急がないのである。

将来に日本の空自がFXで購入するのは、F35Aということになるが、海自が軽空母を建造し、飛行甲板にスキージャンプを設置していれば、F35Bの可能性も出てくる。まあ、空自はf35Aというのが一般的な考え方だろう。

日本が米空母を共同運用するなら、海自にF35Cを導入することも考えられるが、その頃の日米安保の形がどのように変化しているかの問題となる。

あいかわらず空自のFXが話題になるが、今のところF35以外の機種が有力になったとは聞かない。

はやくFXを決めろといわれても、20年、30年と関連する重要問題を、安易に決定するほうが無責任である。(昨日の産経新聞を参照)
BACK