小寺達也
   
  今回のゲストは、この強烈なキャッチコピーで女子の大きな支持を得る話題沸騰中のコスメ「美肌一族」のPR部門を担当する小寺達也さんです。「スマート」という言葉がぴったりの小寺さんに「クリエイターの本質とは」「仕事の極意」を伺いました。

美肌一族/FIメディア

---小寺さんのゼイヴェルとの出会いをカンタンに教えてください。

小寺達也 大浜史太郎(注.1)という人に出会ったんです。「この人すげーな」、「この人の夢を叶えたいな」と思いました。大浜は、日本には感性を持った人がそれを発揮できる環境がないと言っていて、「感性をスパークさせる」という理念を持った会社を作ろうとしていました。「右へならえ」の義務教育などに言えることなんだと思いますが、日本は感性を発揮できない"つくり"になっていると思うんです。でも、それじゃあ日本は良くならないし、本当にハッピーにならない。クリエイティブな人たちを支えたいと思い、大浜のサポート役としてゼイヴェルの立ち上げに携わりました。

 自分にはクリエイティブの発想なんて全くないと思っていました。でも、大浜と過ごしているうちに自分も「クリエイティブな仕事をしたい」と思うようになったんです。クリエイティブな人をビッグにさせるのに自分もクリエイティブな感覚を持たないといけないなと考えるようになりました。

(注.1)
大浜史太郎:日本最大級の女性向け携帯サイト「girlswalker.com」を運営する
クリエイター集団、株式会社ゼイヴェルを率いる代表取締役社長兼webマスター



美肌一族/FIメディア

---クリエイティブな感覚を育てるために小寺さんがしたことというのは?

 とにかくたくさん文章を書きました。まるで千本ノックのように(笑)。「悪女占い(注.2)」という占いコンテンツの記事編集を一人でやっていました。動物占いとか家電占いが流行っていた頃です。「女の子は怒られたい願望がある」という仮説のもと、マリーアントワネットなど、俗に言う悪女に怒られているような文を毎週、毎日書いていました。「アナタ、こういうタイプなのヨ。」とか「絶対こうなるのヨ」という調子で。そのときの時事や流行と関連させて、ちょっと笑わせたり、女の子が自然に興味持つことを織り交ぜて、親近感を沸かせる工夫をしていました。エナメルパンプスが流行っている時には「エナメルパンプスはいた方がいいわヨ」とかね。

 女の子が興味を持つことを知るために、さまざまな雑誌を読んだり、テレビを見たりして勉強しました。その結果、「悪女占い」はたくさんの人に楽しんでもらえましたし、自分の中では「女の子向けのメディアを作るぞ」という意識が生まれました。やはり、量をこなすことが大事。絶対大事なんだと思いますね。

(注.2)
「悪女占い」を中心としたiモードサイト『悪女の館』は、2000年6月の
開始後6カ月ほどで無料登録の会員数50万人を突破した。



美肌一族/FIメディア

---自分がクリエイターだと自覚するようになったきっかけはありますか?

 認められるようになってからですかね。1年目で感じるようになりました。 「小寺の文章って人と違う発想だよね」、「面白いね」と周りから言われるようになったんです。嬉しくて「他の人とは何か違うんだな」ってカン違いしたんです。(笑)この発想も自分が成長するために必要だと思います。クリエイターでなくても、世の中で成功している人はその分野でカン違いしていると思うんです。イチローだって「俺は野球が一番うまいんだ」っていうカン違いがあると思う。その道のプロは世界一自分をカン違いしていないと。


美肌一族/FIメディア

---現在、「美肌一族」のPRを手がけている小寺さんですが、大ヒットの理由はなんだと思いますか?

小寺達也 女の子が興味持つものの代表はファッションとコスメですよね。大浜がgirlswalker.comでファッションをやっていて、僕がコスメのPRディレクターを担当することになりました。でも、僕は男性なので、コスメについて何も知らないじゃないですか。だから、有名メイキャップアーティストのメイク本を読んだり、周囲の女の子にどういう化粧品を使っているのか聞いたりしてコスメについて猛勉強しました。すると、普通の女の子は意外とコスメに詳しくないことがわかりました。肌に気を使っていそうなキャビンアテンダントやモデルの子でさえ、「乳液っていつ使えばいいの?」と言っていましたから。

 どうしてわからないんだろう。ちょっと勉強したらわかるのに、と疑問に思いました。でも、調べてみたら美容雑誌の歴史自体まだ浅かった。コスメについて気軽に教えてあげられる何かができたらいいなと思いました。

 女の子がキレイになりたいと思うときってどんなときか考えてみると「愛されたい」ときなんだと思いました。つきつめていくと、「愛されるもの」を作りたいなと思ったんです。だから、「美肌一族」のテーマは「もっと愛されたいあなたのために」。

 肌をキレイにしたいとか白い肌になりたい、というのは全部「好きな人、大切な人に愛されたい」という気持ちからだと思います。そういう気持ちの方がいい肌になる。そこを教えてあげられるバイブルを作りたい。そのためには化粧品だけではだめで、ストーリーで伝えたいと考えました。ストーリー展開の中で主人公が恋をして、「魔法の水」と称される化粧水が出てきたりするんです。「美肌一族」と女の子の間には、「化粧品」という切り口だけではなく「ストーリー」という接点があるのです。「美肌一族」の人気の秘密は、ここにあるのだと思います。

 女の子に人気の海外ドラマ「SEX And The City」のように、ストーリーにドキドキして、ドラマに出てくるファッションの流行を追いかけられるような、「美肌一族」がそんな、女の子の憧れの存在になればと思っています。




美肌一族/FIメディア

---東京ビジネスアイデアコンテストに期待する応募者像を教えてください。

小寺達也  ビジネス、特に人の心を掴むことがとっても重要ですよね。男だったら最高のホストのような人に来て欲しい。「ココロの隙間、お埋めします!」じゃないですけれど。例えば僕は、メールマガジンの記事にかなり気を使います。メールマガジンは読者との対話の一言目なので、相手(読者)に答えてもらわなければ意味がないんです。同じ文章でも、心がこもっているかどうかはわかってしまうから、いかに人間味を出すか。「人間そのものをページに出せ」と口うるさく言います。
 お客さんと対話ができて、ココロの隙間を感じてあげられる人に来て欲しいと思います。

■ 取材日  :2007/3/8
■ ライター :Yutaka Kinami


 


 

 

 

小寺 達也 氏
株式会社F1メディア
取締役

http://www.f1media.co.jp/


立命館大学時代にアメフト部で日本一、某生命保険会社で トップ営業マン。その後、株式会社ゼイヴェルの創業に参画。 ガールズウォーカーの創生期に関わり、「悪女占い」など、 モバイルサイトのプロデュースを行う。 モバイルインターネット事業部統括本部長などを歴任後、 PRに目覚め、現在は、最高1日2880万円の売上を記録する 人気コスメ“美肌一族”のPRディレクターなども務める。
 

小寺達也

 

 

左が「美肌一族」 ヒロイン・美肌紗羅。WBC(ワールド・ビハダ・チャレンジ)の勝敗を巡り繰り広げられる姉妹の闘い、嫉妬、裏切りを綴るドラマティックな物語です!キャラクターのインパクトとストーリーの面白さが話題を呼び、女性向けファッション誌を中心に多数の誌面で特集されています(右)。