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【コラム 撃戦記】

せこい試合は物足りない

2010年3月16日

 けちくさい、みみっちいことを“せこい”と言ったりする。スポーツでも受けを狙った“せこい”試合が気になる。高難度の技や捨て身の大技を捨てた戦いに、物足りなさを感じることが多い。

 バンクーバー冬季五輪で、注目していたスピードスケートやジャンプ、フィギュアスケートは、見る者を堪能させてくれたが、物足りなさも残った。フィギュア女子では、私は女子で唯一4回転ジャンプを成功させた安藤美姫を、トリノ五輪から注目していた。というのは、4回転は“自分らしさ”の象徴であり、旺盛なチャレンジ精神に心を引かれたからだ。だが、ロシア杯を前にコーチの指示を受けて封印。それでも五輪ではひそかにチャレンジしてくれることを期待していたのだが…。高難度の技を駆使してこそ五輪の醍醐味(だいごみ)ではないだろうか。

 服装の乱れで“品格”が問われたスノーボード・ハーフパイプの国母和宏も紙面をにぎわせた。トリノに続いて2大会連続金メダルとなったショーン・ホワイトの決勝は、国母のダブルコークの上を行く新技。格の違いを見せつけられては国母のツッパリも“せこい”ものになった。

 格闘技にもある。反則ルールを逆手に猛アピール。相手に減点を取らせる“せこい”王座戴冠。それが緻密(ちみつ)な戦略だとしてもファンは勇気をもらえない。 (格闘技評論家)

 

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