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【サッカー】

ヴェルディ買収 大手IT企業ネクシィーズ

2010年3月19日 紙面から

 大手通信機器販売会社の「ネクシィーズ」が、経営難に苦しむJ2・東京ヴェルディの運営会社、東京ヴェルディホールディングズ(VHD)の株式取得に乗り出していることが18日、明らかになった。昨年10月、出資会社の日本テレビが東京Vの経営から撤退することを表明。東京VのOBが中心となり、東京VHDを設立し、再スタートを切ったばかり。しかしスポンサー料が確保できず、5月には資金が底をつく窮状に追い込まれている。ネクシィーズは3月中に株式の過半数を取得することを目指しており、4月のJリーグ理事会で正式に承認される。

 ネクシィーズは3月中に東京Vの株式の過半数を取得し、役員を派遣して経営権を握ることを目指している。その意向はJリーグ側にも伝えられており、交渉は大詰めを迎えている。

 東京Vは昨年、メーン出資会社の日本テレビが経営から撤退。東京Vの前身、読売クラブの下部組織に在籍した崔暢亮会長、渡貫大志社長らが持ち株会社として東京Vホールディングス(HD)を立ち上げた。しかし、不況の影響でJリーグに提出した再建計画書に明記したスポンサー料5億4000万円が確保できず、経営が悪化。ことし2月のJリーグの調査で、経費が予算を15%も上回ることが判明。経営陣は資金が底をついた場合、経営から退く旨の念書をJリーグに提出している。

 3月14日のホーム開幕戦となった熊本戦(味スタ)では、1万人動員作戦を展開したが観衆はわずか5755人。両ゴール裏の広告看板はわずか3枚ずつという悲惨な状況だ。当日のスタジアムは2階席だけでなくバックスタンドも観客を入れず、使用スペースを減らし経費を削減するという涙ぐましい努力を続けているが、新たなスポンサー獲得のめどが立たず台所事情は火の車。関係者の話では、早ければ4月末、遅くとも5月末に資金が底をつき、選手の給料を支払うことも困難になるという。Jリーグ誕生当初はV川崎として93、94年と2年連続年間王者に輝き、黄金時代を築き上げた。しかし、主力選手の放出、東京移転などで求心力を失い観客数が激減。2度目のJ2転落後は、存続すら危ぶまれる状況に追い込まれている。

 最終的には4月のJリーグ理事会での承認を経て、正式決定となる。ネクシィーズの出現で、開幕直後のクラブ消滅という最悪の事態は避けられそうだ。

◆『最終検討している』本紙の取材に『ネクシィーズ』

 大手通信機器販売会社の「ネクシィーズ」(本社・東京都渋谷区)は18日、本紙の取材に応じ、東京Vの経営権の取得を検討していることを認めた。東京V、Jリーグに対して、すでに同社の意向を伝えており、同社の佐藤英也社長室長は「現段階として最終検討をしております」と言明。東京V株式の過半数以上の取得を目指し、経営参画について3月末を期限に結論を出す方針を示した。

 同社はインターネット接続事業を中心とし、東証1部、大証1部に上場している。

 東京Vの株式取得に関して、佐藤室長は「マジョリティー(過半数)を取った上でないと、当社も上場会社としての役目を果たせません」とした上で、「胸にロゴを入れるだけでは単なる広告宣伝になってしまう。そうではなく、しっかりタッグを組むためには、そこ(経営権)を考えていかないといけない」と、買収検討に至る経緯を説明した。

 同社は元中日、阪神監督の星野仙一氏のスポーツを通じた若年層の支援「ホシノドリームプロジェクト」なども手掛けており、スポーツ界への将来的な本格参画を視野に入れていたもよう。今後の見通しについては言及を避けながらも、佐藤室長は「(クラブ経営の)ノウハウなどについては無知な部分がありますが、その中で、ご支援、お手伝いができることがあれば」と話した。

 

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