【Fatal These】辿るは希望に繋がる地

<オープニング>


「「聖杯が……!」」
「聖杯を奪い返すのです!」
 アエアネスが反射的に命を下す。
 別館から出てきたラザルスとシモンの部隊と合流を果たした巡礼士たちが一斉に、奪われた聖杯を持つ猿の姿を追いかけようとする。
 このままでは、ゴースト軍団の只中に突っ切る事になり、そのまま取り囲まれれば脱出も難しくなり、包囲を解かないまま消耗戦になれば、多少は持ちはするだろうが、全滅という先が見えていた。
 休息も取れないまま、どんどん体力を削られていけば、残るは死だけだ。
 なんとか止めなければ。
「待てよ!」
 頭に血が上った巡礼士の人々を流刃が止める。
「こんな所で、相手のど真ん中に飛び込むっていうのかよ!?」
「本館に戻りましょう」
 恭也は先程聞いた言葉を思い返しながら、落ち着いた声音で言う。
 奪われたら奪い返す。
 それは本心だろう。
 だが、それは成功率の低いものだと思えた。
「あれは……!」
 ルーベットが眉を寄せ、聖杯を持つ妖獣の姿を目で追いかけ、絶句する。
 聖杯を手に入れた猿の妖獣が、ゴースト軍団の中を抜け、淡い色の髪を持つリリスに捧げた。
「キキッ」
「いいこ」
 胸がざわめく。
 揺籠の君だ。
 聖杯を両手で受け取り、興味深げに眺める。
「あたらしいおもちゃであそびましょう」
 聖杯がきらきらと光っていないのに、少し残念そうな表情を浮かべたが、効果にかわりはない。
 ひとしきり聖杯のするするとした手触りを楽しむ。
 その間にもゴースト軍団と巡礼士の戦いは行われている。
「退きましょう」
 桜花が、冷静なイアソンを見あげた。
 揺籠の君を取り巻くリリスが多く、一気に魅了されてしまい攻撃手としては、ずるずると引き摺られるように減少していく。
 浄化の風や、赦しの舞などで回復を図るも、ここに留まっていれば、自身の邪魔をしようと迫ってくる巡礼士たちに揺籠の君が手をあげるか分からない。
「せいはいをまもっていたじゅんれいしさんたちは、てきとうにかずをへらしてください。ゆりゆりはせいはいをつかってぎしきのじゅんびをします」
「何の儀式を……!?」
 舌っ足らずな言葉遣いで、揺籠の君は不穏な言葉を吐いた。
「せかいけっかいのぎしきをぎゃくかいてんさせて、せかいけっかいをほうかいさせるぎしきをおこなうので、ぎしきをするところもせいはいもまもってください。ゆりゆりのあそびをみなさんにみせてあげます」
 ゴーストたちが揺籠の君を歓喜に満ちた目で見つめ、そして勢いのある叫びで応えた。
「聖杯を使い、『世界結界の儀式を逆回転』させ、世界結界を崩壊させる儀式だって!?」
 ルーベットがその言葉を聞き取り、驚愕した。
 世界結界を崩壊させる事態になれば、世界の常識は大きく崩れてしまい、世界結界の向こうにいる来訪者も容易く現れることができるようになるだろう。
「そんな事になったら!」
 シモンがラザルスの方を見やり、ここは命を掛けて取り戻さなければと、真剣な眼差しを向ける。
「やるか」
「ええ」
 覚悟を決めて挑もうと動き出す。
「アエアネス、彼らの言うとおり、本館に戻り戦力を立て直そう」
 イアソンはアエアネスの腕を取る。
「……仕方ありません。本館へ撤退する!」
 これ以上、戦力を減らすのは得策ではない。
「儀式を行うには時間が必要です。それまでに立て直します!」
 時間が掛かる、それまでに阻止できればいい。
「対策を本館に戻り考えよう! いくぞ!」
 ルーベットが叱咤するように、皆の注目集め、撤退を開始する。
 アエアネスの命を聞いたラザルスとシモンは、悔しそうに突撃槍を振るい、ゴースト軍団の中を突破するべく、紡錘陣形をつくると、本館へと続く森の中へと入っていく。
 追いすがってくるゴーストの数は妖獣が多く、最初は進みは遅いものだったが、目的を持つ者は強い。
 持続する緊張感の中、戦い続け、死の影を振りほどき、本館に戻って心配している仲間に知り得た情報と無事な姿を見せて、ただいまを言うのだ。
 短い時間が永遠に近い時間に感じたころ、本館を、周囲を警備している巡礼士の姿を捉え、安堵する。
 漸く脱落する者がいないように、小夜やぐーちゃんが傷を癒しつつ、森を突破し、本館へとたどり着いたのだった。

「皆さん」
 沙樹は防波柵を通り抜けられるように、一緒に守っていた巡礼士たちとゴーストの侵入を許さないように招き入れた。
 全員が入った後、防衛を担当する巡礼士たちから、同行してくださいと言われ、沙樹は共に本館内へと戻った。
「みんな……!」
 本館の上階で姿を捉え、駆け下りてきた波那が戻ってきた仲間の無事な姿にほっとする。
「おかえり……!」
 ホーリィは、仲間が欠けることなく戻ってきた事に内心感謝しながら、明るい声でいった。
「ただいま」
 対して、返ってくる声は少し暗い。
「あなた方は会議室で待っていて下さい。後で此方からお伺いさせていただきます」
 アエアネスは、そう言うと本館防衛の指揮をしていたバルナバスと合流すべく、ホールに向かった。
「分かりました」
 恭也は頷き、各々の立場で動く為、館内で解散する。
「会議室で王子様と水原様が、心配してお待ちしていると思います。早く顔を見せましょう」
 小夜は、今は心配している2人に、安心させてあげられるように、顔を見せてあげたかった。
「そうだな」
 流刃はひとつ溜息をつくと、ひとつずつ片付けていくかと呟いた。

 ――騎士団本部攻撃の命を揺籠の君よりうけ、任についたナイトメアビースト8人が、凄いやる気をだしていた。
 やる気は空回りしそうな勢いだったが。
 どこか最悪の最悪(タルタロス)を思い出させる面々だが、どこか違う。
 ショート・グッドモーニング。
 ロングさんに触発された痛い人だが、ショートさんはロングさんを超リスペクトしているので、そんな事は気にしない。
 胸ポケットに入れた紙を取り出した。
 プリンタ印刷したアリーナチケット(銀紙)だ。
 でも、使えない。
 出来損ないだから。
 使えなくてもやけに大事に扱っている。
「俺たちにィ、不可能などないィ!」
 ロングさんたちが派手にやったように俺たちもするのだ。
「気長にいきましょう。だって、私達であの館を好きにいたぶれるのだもの」
 放漫淑女。有木・あきら(ありき・−)は、ふふふと笑う。
 大舞台の渋谷のスクランブル交差点で派手に登場させて貰えなくて、巡礼士の島攻略するのに、その1その2とかで混ざっていたのが、余程悔しかったらしい。
「派手に落としてしまいしょ」
 赤樹川・紅水(あきがわ・こうすい)は、紅水迷宮の中で遊んであげると可愛らしくいった。
 迷宮とか作れないけど。
 まだ。
 悪夢爆弾で我慢して貰うのだ。
「みんなもっふもふにしてやるよ!」
 全部もふもふ成分200%にしてしまう、恐ろしいもふ能力。
 もふもふにされると魅了されてしまうこと請け合い。
 同じく悪夢爆弾だけど。
 夢見るのが良いよねというのは、もふ使いの持木・毛里(もちき・もうり)。
「攻めて攻めて攻めまくるわよ! 私のこの可憐な胸に見とれるが良いわ!」
 攻木・可憐(せめき・かれん)の胸はたいそう残念だった。
 貧乳ではなく微乳レベル。
 攻木・亜蓮(せめき・あれん)の胸はたいそう残念だった。
 男子なのは未だ良い。
 だが、ボディビルダーでプロテインたっぷり摂取した身体は、無駄につやつやして、俺の上半身を見ろぉぉぉぉと、常に上半身裸だった。
 春も近いとはいえ、まだ風は冷たい時があった。
 寒そうである。
「ねーちゃん、ポージングしていい?」
 今のポーズは決まらなかったらしい。
「そんなの変わらないわよ」
 可憐が亜蓮に速攻突っ込んだ。隣に上半身裸男はウザイらしい。
「うざ」
 黄昏・峰男(たそがれ・みねお)が、とても嫌そうな目線を姉弟に向けた。
 美しくない者は消してしまいたい、爆発させてしまいたいと思っている、爆弾魔タイプである。
 でも投げるのは悪夢爆弾。
「攻め落としたら、食べて良い?」
 森畑・一(もりはた・はじめ)は樽のような身体を揺らして、はぁ、と溜息をついた。
 おやつを全部クルーザーに残してきてしまったのだ。
 ぎゅるぎゅるとお腹の音が派手になっている。
 食料あるかな、とぎゅるぎゅる鳴る音をBGMにして、ショートさんが宣言した。
「ショートォ・ロンドで逝かせてやるぜ!」
「はーい!」
 良い子ちゃんな黒服たちが、元気よく返事をした。
 全員でショートォ・ロンドを決めまくってやるという、蹂躙計画発動だった。

「皆、無事だったか」
 団十郎は戻ってきたメンバーの無事な姿を見て、ほっと息をつく。
「よかった……」
 椎奈はゴーレムに団十郎の後ろ位に下がらせて、皆の無事を祝う。
「合流できたのは良いことなんだが、こっちの状況は悪い」
 ルーベットが別館での出来事を整理して話し始めた。

 聖杯が奪われ、聖杯は揺籠の君の手に渡った。
 揺籠の君は聖杯を使い、『世界結界の儀式を逆回転』させ、世界結界を崩壊させる儀式を行おうとしていること。
 儀式をする為にはアエアネスが言うには、準備に時間がかかる為、儀式が始まる前に阻止できれば、世界結界崩壊の危機は免れること。
 そのために戦力の大半が、聖杯の準備と聖杯の防衛に割かれていることなど。

「そうか、時間が少しでもあるのなら、それまで足掻けばいい」
 団十郎はそういって、新たに知り得た情報を整理していく。
「現在、この島では電波障害で、銀誓館に連絡をすることが出来ない。皆には、このことを銀誓館に伝える為に島を脱出してほしい」
「そうだな、それが一番の打開策か」
 流刃が同意する。
「本館はその間、籠城して持ち堪えられる。なら、この島でゴースト軍団に対処している巡礼士たちを手助けする為に、銀誓館に戻るのは皆じゃなければならない。巡礼士の人々が銀誓館に連絡を取ったとして、皆が居ないことに不審を抱くだろうからな」
「そうですね」
 小夜が、小さく頷いた。
「王子様は……」
「俺は、ここに残る。島の周囲にはまだゴーストが居る。戦場を突っ切っていくのは無理だ」
 脱出も命がけだ。
「皆なら、出来ると信じている」
「勿論だ」
 拓己が間に合うように戻ってくると力を込める。
 再び島に戻ってきて、巡礼士の人々と協力して聖杯を取り戻す。
 そして、本館に留まる団十郎と共に、無事に銀誓館に戻るのだ。
「揺籠の君は聖杯を手に入れた事により、本館は幸いにも攻撃が熾烈になる事はない。勿論、戦力は減らされてしまっている以上、戦力的には厳しいだろうが、皆が銀誓館に連絡を入れる事に成功して、救援が来るまでの間は持ち堪えられるだろう」

 脱出する為にしなければならない事だが、と団十郎は言葉を続けようとした時、扉をノックする音がした。
 応えると、アエアネスとバルナバスが入ってきた。
「ああ、どうぞそのままで」
 メンバーの元に近づくと、本館の周囲の状況を伝える。
「8人のナイトメアビーストだ。黒服もいる」
 団十郎はその事について、最悪の最悪(タルタロス)の8人のようには強くはないと言う。
 ショートォ・ロンドだけは気をつけて戦えば、上手く行くだろうと。
「本当なのですね」
 団十郎の予報能力に驚きながらも、受け入れている。
「俺以外の皆は、島を脱出して銀誓館に連絡を入れて貰い、救援を頼むつもりだ。皆が帰ってくるまでの間、本館で籠城戦をして、耐えて欲しい」
「わかりました。脱出する為の時間を稼ぎましょう」
 アエアネスは、皆が脱出する間、本館正面で注意を引きつける。
 その間に厨房の半地下になっている裏口から出、森を通り抜ければいいと提案した。
「それからは、リリスたちが乗ってきたモータボートを奪う必要がある」
 モーターボートが停泊している辺りは、リビングデッドが見張りをしているが、油断している。
 襲われるとは思ってないだろうから、奇襲を掛ければ容易いだろう。
 流石に定員オーバーだから、湖上封鎖しているクルーザーに強襲して乗り込み、奪取する必要がある。
 これらのクルーザーには、ナイトメアビーストとリリスが乗り込んでいるから注意してくれ。
 クルーザーを無事に制圧した後は、陸を目指すだけだ。
 だが、一艘だけ違う動きをするのだから、追っ手が掛かるだろう。
 それらを振り切って無事に陸に到着してくれ。
「無事を祈っている」
 団十郎はそういうと、安心させるように微笑を浮かべた。
「裏口に案内します」
「お願いします」
 皆がアエアネスと共に出て行くのを、団十郎とバルナバスは見送る。
 団十郎が1人になるので、バルナバスが護衛として残ったのだった。

 館内の廊下を歩き、厨房に到着すると、セシリアが待っていた。
「こちらです」
 半地下になっている裏口を抜けると、森があった。
 この場所は、森が近くある分、森の中で活動しているゴーストたちが襲いかかってくるのではと思ったが、森を少し入った本館に近い場所では巡礼士が守っているということだった。
 だから、こちら側から侵入を受ける事はないのだと。
「裏口を閉めてから、3分後に作戦を開始します。それに合わせて行動をして下さい」
 アエアネスはそう言って、半地下に留まっているメンバーに言った。
「すぐに連絡してくるからね!」
 椎奈は穏やかな表情を浮かべているアエアネスを見つめる。
「王子様のこと、お願いします」
「守るわ」
 小夜の言葉にセシリアが応え、裏口を閉めた。

 3分後。
 両者が動き出す。
 表門では、防波柵から打って出て、ナイトメアビーストたちと交戦を始めた。
 派手な音が鳴っているのは、此方に聞こえるようにという配慮。
「「行くぜ!」」
 ルーベットと拓己の言葉が重なる。
 半地下から階段を駆け上がり、森に入っていく。
「無事に脱出できるよう、祈っています」
 森からの侵入を防いでいる巡礼士に見送られ、島岸を目指す。
 守るべきものの為に。

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参加者
鏡・流刃(真猫・b00137)
風嶺・桜花(使役ゴーストの名前はとりさん・b04465)
ホーリィ・ランプフィールド(インビジブルスマイル・b18301)
篠宮・沙樹(死ノ宮ニ咲ク沙羅樹・b18858)
ルーベット・アキモト(気儘勝手・b22039)
不破・恭也(操り手が居なくなった操り人形・b24561)
紫堂・小夜(小学生水練忍者・b26122)
水原・椎奈(陽だまりの姫君・b31817)
紗白・波那(輝ける花・b51717)
渡辺・拓己(中学生呪言士・b56301)



<プレイング>

プレイングは1週間だけ公開されます。

鏡・流刃(真猫・b00137)
島に残って加勢したいけど、連絡役も大事なんだよな。
連絡終わったら、ケリつけに戻ってきてやるからな!

基本>
◆事項は他に従う
大人しく音を立てないように注意を払う。
周りの気配、音などに注意を払う。

クルーザーへの対応>
騙す時は捕虜らしく。
布を口にあて、縛られておく。拘束は直ぐに解ける(脱出できる)ようにしておく。
イグニッションは騙してる間は我慢。
近づくまでは大人しく。起こされたらじたばたしつつ、時折痛い目にあう感じかな。
なーんか日常を思い出すのが嫌過ぎるorz
相手が「そうかも」と思えばよし。距離が近ければ何とかなるだろ。

騙せなかった時は強襲かな。逃げ切れそうにないし。
船同士の距離が近いうちに、ぷちか誰かに猫変身した俺を全力で投げてもらうか。
船(出来れば乗船できるような高さ)もしくは直接ゴーストにぶつけてもらえば、そのまま変身も解けるし。途中で解除できるなら解除する。つっても、これ、奇策もいい所なんだよな。
クルーザーで乗員が厳しいようなら、猫変身して隅で大人しくしとく。猫状態じゃ戦力にならんので。

戦闘>
船までの移動中では、足を止めないようにする。近接攻撃ばかりになるが、仕方ないか。
牽制中心。弱っている敵優先。皆と連携して動くように心がける。

連絡は、他の人にお任せ。
その間、俺は周りの警戒だな。逃げ切れたと思った時に万が一なんぞあられても困るし。

今回は退くが、これ以上、好きなようにさせるかっての。

風嶺・桜花(使役ゴーストの名前はとりさん・b04465)
…聖杯、奪われちゃったけど、まだ、間に合う
…ううん、間に合わせる為に、頑張らないと、ね
…行こう、とりさん

◆は共通事項とし指示&指示されたら従う

【個人的戦闘方針】
とりさんは前衛で壁役
突撃するは控える

私はぐーちゃんの近く

雑霊弾は改から使用
「…この地に揺蕩う同胞よ、我が求めに応え敵を撃て!

とりさんの被害が200以上でゴースト治癒
HPが1/4以下でゴースト合体
「…とりさん、頑張って
「…止むを得ない、ね。…以合成神!


【岸まで】
雑魚戦は雑霊弾を控える

ビースト遭遇時は一を挑発
「…ビーストになってまでデブって、救いようがない、の
「…絶対峰男は、醜いから爆破したいって思ってる、の。…間違いない、の
「…ゆりゆりのどこがいいか、理解に苦しむ、の(敵のゆりゆりの呼称を聞き出す

【ボート奪取】
とりさんは船外

【クルーザー奪取】
◆可能な限り
・他から離れている
・陸を向いている
・針路に他の船がいない
船を選択

◆何食わぬ顔で近付き(使役は船の下)全員乗り込むか誤魔化せなかった時に合図して戦闘

◆声をかけられたら
「俺タチのォ、ショートォ・ロンドでキメてやった連中をォ、ここに連れけてって、揺り籠の君の命令なんだぜィ
「歯向かわないようボコってんで、引き上げ頼むわ
で対応

・戦闘時
とりさんは敵を船外に突き飛ばすように突撃

【陸へ】
とりさんが沈まないなら敵船に突入させる
無理なら船の盾になる

私は敵船の操縦者を狙う

…皆、絶対、生きて帰ろう、ね

ホーリィ・ランプフィールド(インビジブルスマイル・b18301)
繋ぐの。笑顔、希望…そして、生命。必ず…!

◆は共通事項とし他に指示&従う

◆戦闘基本方針
ナイトメアビースト→リリス→その他の優先順で戦闘
弱点等判明したら互いに情報交換


警戒(鋭敏感覚)しつつ可能な限り早く移動
ぐーちゃんを側面、自身は中程に立ち
基本射撃、皆から遅れそうなら近接攻撃に切替

◆モーターボート見張り
隠れて攻撃の届く範囲に近付き物陰から奇襲
其々の攻撃方法に合わせタイミングを計る

一撃必殺狙って魔弾使用
損じたら移動しつつ近接攻撃

見張りを倒したら迅速にボートへ
船上、水中の敵を警戒しつつ武器とぐーちゃんは体の下に隠して捕虜のフリ
ばれたり乗り移る前に襲われたら進路上の敵から優先して反撃

以降戦闘は魔弾使用
射手は出来るだけ移動時に
皆の立ち位置、状況に注意
声を掛け合ったり、必要なら攻撃やぐーちゃんでフォロー
移動しながらの近接攻撃も怯まずに

クルーザーへ全員乗ったら錨の鎖を破壊
操舵席奪取を優先し敵を全力で排除
奪取後は敵の接近、侵入の阻止と警戒を続行
連絡は任せるわ

もふ使いが居たら笑顔で挑発
生温い、わ。ぐーちゃんに勝るもふもふなど有り得ないのです!!

・ぐーちゃん
怪我の酷い人から優先的に回復
振り切る際、船体が狙われたらその攻撃を防ぐよう指示
敵数が少数なら足止めとして攻撃に
強く、頬擦りして送り出すわ


万一船で逃げ切り不可能と判断した場合
小夜さんを先に行かせた後泳いででも陸へ

絶対諦めない。笑顔だって絶やさないわ。

篠宮・沙樹(死ノ宮ニ咲ク沙羅樹・b18858)
・森
森を抜ける際は、移動・回復を兼ねて黒影剣を中心に戦う。
相手を倒すより突破を重視。
ビーストに要注意とのことなので、悪夢爆弾を警戒、移動の際はまとまりすぎない。
移動時は時折ミストファインダーで射程アップを行い、
移動が遅れる人がいれば遠距離瞬断撃で支援


・ボート奪取
速攻。敵がいればミストファインダーで射程を伸ばした瞬断撃で仕留める
奪ったボートの運転を担当。(特技:騎乗有。設定として船舶免許所持)


・クルーザー奪取
奪う船はスピードが出るものがよいが、
それ以上に、逃走時の針路を塞がれ難い向き、配置のものを選ぶ

ボートでクルーザーに近づく際、見咎められたら『捕虜を連れてきた味方』の振りをする。
捕虜役の鏡さんを(本気で)殴ってみせ、相手に信用させる。
途中でバレたら、周辺への敵の攻撃は仲間に任せ、とにかくボートを全速でクルーザーに寄せる

乗り込んだら、操縦席を破壊されないうちに確保。
燃料確認し、即座に前進加速に入る。
敵を引き離すため、抜錨は省き、誰かに錨の鎖を斬ってもらう


・逃走
クルーザー操縦も担当
必ずしも港でなくとも、なるべく早い上陸を目指す。
琵琶湖の規模や島から岸までの距離を考えると、敵の追撃を振り切れない可能性もある。
船を走らせたままでも(能力者なら)岸に飛び移れる場所があれば、皆にはそのまま上陸してもらう。
追撃が振り切れていない場合は、クルーザーを旋回、敵船にぶつける方向に向けてから湖に飛び込む

ルーベット・アキモト(気儘勝手・b22039)
前々回の地図と3分の間にこの島の詳しい地図をもらえないか巡礼士にお願いする

油断ならない状況と敵ばかりなんだが…なんかあいつ等が…やめた、気を入れ直す!


前衛
ヴァイパーの使用基準は4体以上。クルーザーを襲うときは派手すぎるので使わない
ラジカルは6割以下、近い時に使用
クレセントファングは惜しまずブチかます

地図役兼前衛
共通事項に従う
地図を確認しながら行くので最前衛は辞退。だが警戒はする
現在位置からゴールまで指でそったりして解り易くする
回避する時は相手の様子を注意し、よく観察と推測をつけてから
走り抜けたり、物陰や忍び足を駆使する

ボート襲撃は味方に合わせて突撃

クルーザー強襲は捕らわれた役が似合うか
目立たないように基本静かに動かず「貴様ら!後で必ず聖杯を取り返し退治してやる!!」的な
感じで煽る

クルーザーで戦闘が始まる時は強化せずに突っ込む
鎖も位置的に誰もが無理な時だけ斬りに行く
制圧後,まず陸までの最短ルートを伝えて船内の不要な物を調べ,
敵に気づかれるまでそれとなく動かしたり壊したりしておく

篠宮の近くである船の舷側で行動。進路変更した時や後どれ位など叫ぶ
敵が気付いて近づいてきたら、さっき確認した物を投げつけたり、
敵の射撃攻撃を打ち消すように狙って放つ
ナイトメアビースト,リリスは気にしてそうな事をかなり悪意を足してザクザク言っていく

船を庇うような行動はとるが、もし航海不能時は泳いで連絡を取る

不破・恭也(操り手が居なくなった操り人形・b24561)
他の方が◆で書いている事項に従う

心情
最後の一人になっても連絡が取れれば此方の勝ちです、その一人が自分でなくても

森を抜けるまで
・最前列でなるべく目立たないよう背を低くした体勢でを走る
・戦闘になった場合クレセントファング改(以下クレ改)を多用し短期決戦を狙う、但し最低5発は残す
・八人のナイトメアビーストと遭遇した場合は他の人の挑発に乗ったタイミングか、敵が口上を述べている最中に攻撃する「お約束?そんなに付き合っている暇はないです」
・ショートロンド対策に仲間との間隔は空ける

ボート強奪
・皆とタイミングを合わせクレ改で攻撃、但し二発は残す
・ボートが巻き込まれて壊れないように注意
・戦闘終了後は乗り込む準備が出来るまで周辺の警戒
・ボートでの移動中は学園の制服は目立つので真ん中に囲むようにした方が良いのではと提案

クルーザー強奪
・残りのクレ改は使い切る
・敵がEアビを使った時のみ呪詛呪言改を使

クルーザー移動
・足の速い船が前に回りこむようなら優先的に狙う
・追っ手は船だと密集した隊形が取り辛いと思うので限界はあまり考えず地獄の叫び改を多用(船にダメージが行くようなら船も対象に
・状況に応じて呪詛呪言改を使う(狙えるなら操縦者
・アビを使い切ったら通常射撃
・陸が遠い場所で船が航行不能になった場合は紫堂さんを先にいかせこの場で足止め、追っ手の船が奪えそうなら皆に提案
・近ければ泳いでその後電波の届くところまで全力で

紫堂・小夜(小学生水練忍者・b26122)
王子様、巡礼士の皆様
必ず助けを呼んでまいります
どうか、どうかご無事で…!

◆はお願い&従う

◆悪夢対策
紫堂が寝たら起きている中で気攻の低い武器持ちがすぐ気魄攻撃し起こす
また移動しなければならない時舞が効かなければ各自低い武器攻で起こしあう

・各フェイズでの戦闘
移動戦闘時は爆水掌と分身
足を止め戦える時は手裏剣で攻撃&舞で支援
祖霊は移動優先時は倒れそうな仲間にのみ使用
クルーザー強奪後はHP4割以下の人に
回復の優先度は篠宮>使役主人>自分>その他

ショートォがいたら真っ先に倒す
「後ろでブルブルしてるなんていかにも雑魚なのです」
煽って前衛に引っ張り出し集中攻撃を提案

・森
縦列ほぼ中央で移動
周囲、特に黒服を警戒
可能なら黒服を奪って仲間に渡す

・ボート
物陰から手裏剣で奇襲

・クルーザー強奪
ロープを括らず身体に巻きつけ捕虜のふりをする
乗り込む前に戦闘になったら手裏剣で攻撃&回復支援
乗り込めていたら後ろに何も無い方向へ爆水掌をうち
吹き飛ばして湖に落とす
迅速を第一に

・船の移動時
手裏剣で敵船を沈没させる
船体に張り付いた水棲妖獣は爆水掌で剥がす
自船を守るとりさんとぐーちゃんは優先的に回復

敵影と距離を取れたら1話で定時連絡用に持参した
衛星携帯電話で学園へ連絡を試みる

・最悪の場合
携帯をジッパーつきのビニール袋にしまい湖に飛び込む
深い所を移動最優先で陸を目指す
適宜分身や攻撃
湖底を這ってでも意地で陸に辿り着いてみせます
必ず

水原・椎奈(陽だまりの姫君・b31817)
まだ、わたしたちは負けてないよ〜!
銀誓館のみんなに、伝えないとね!



森の中では自分は中央、使役のゴーレムは最後尾に。
攻撃は雑霊弾改を使用。足が止まるので、皆とタイミングを合わせる。
走り抜ける場合は近接攻撃のみ。



ナイトメアビーストの集団と遭遇したら、ショート・ロンドを警戒し、
敵を挑発して分散を図る。わたしのターゲットは筋肉の人。
「ゴーレムの方が、あんなのよりずっとたくましいよね〜!」

仲間と攻撃を重ね、孤立・傷ついた敵から順に倒していく。
雑霊弾奥義使用。
ゴーレムはサンダーブラスト改を惜しみなく。
「邪魔はさせないよ〜!やっつけちゃえ、ゴーレム!」

自分とゴーレムの体力によりゴースト合体・ゴースト治癒・祈りを捧げるを使用。



ボート襲撃時はできるだけ物陰から近づき射撃攻撃。
ゴーレムが載り切らなかったらゴースト合体。

クルーザー奪取時は芝居をする人に合わせる。
この時ゴーレムは合体か舷側に掴らせて隠す。
敵から攻撃があれば、雑霊弾奥義(なければ改)で攻撃。
攻撃がなければ乗り込んでから攻撃。
いればゴーレムはパワーナックル改。

敵のボートが追ってきたらボートを雑霊弾改で攻撃。
水棲妖獣がいたら射撃・雑霊弾奥義(改)で牽制。



◆事項は他に従う。

◆共通事項
ボート停泊地に着くまでは、最短距離を狙い強行突破。
敵の数がとても多いなら回避。森を抜ける直前では敵を避ける。
ナイトメアビースト戦は、爆発範囲に重ならないよう散開。

紗白・波那(輝ける花・b51717)
●心構え
希望は最後まで持ち続けるわ。

また皆で一緒にシフォンケーキ食べたいしね!

●行動
全行動は仲間と協調し連携の意志を持つ。
最優先:「誰か1人でも銀誓館へ連絡する事」に繋がる為に行動。命も誇りも二の次。

◆共通事項は他に従う

・戦闘全般(優先度高い順)
仲間HP60%以下:ギンギンパワーZ
自HP〃:ラジカルフォーミュラ
近敵:術式攻撃
遠敵or追手:スピードスケッチ

体力高い敵は集中攻撃等臨機応変に。

・森
私は前側。静かかつ迅速に移動。
移動優先。進路上の敵のみ術式攻撃。

変な8人は倒す。
分散陣形(お互い4m程度の距離置き)。
あんたら邪魔よ!この残念胸!バーカバーカ!

※予め拓己君にチョコ渡し済み

・ボート
仲間の演技に合わせ。
周囲もよく見て不意打ち警戒。
失敗時、クルーザーに乗り移る時は皆を引っ張ったり押し上げたりで素早く。

・クルーザー
スピードスケッチは5発前後残す。
回復主。特に篠宮さんを守る。

◆クルーザーで陸へ
船の周囲を警戒。
逃走に最も邪魔となる追手から遠距離攻撃で妨害する。
敵や船体を狙う。命中率に支障が出なければ操縦者や船底付近狙いも視野に。

アビ切れ後は不要物を投げて進路妨害等で対処。

◆学園連絡
携帯or公衆電話。陸に到着後は電波届く迄疾走。
「至急救援が必要な旨、現在の状況」余裕あれば今迄の経過も話す。

お願い、早く助けにきて!

私は連絡内容を携帯の留守電に録音。
最悪、陸に近づくように泳ぎ。陸に思いっきり投げるor仲間に任せる。

渡辺・拓己(中学生呪言士・b56301)
【心情】
籠城がいつまで持つか判らない。
早く学園に連絡を取らなければ…待っていろよ!

◆事項は他に従う。

【行動】
森は最短を狙って突破。
出口付近は戦闘回避、避けられない時は最小限に抑える。
移動は縦列。中央を紫堂にし、俺は前方に位置する。
ビースト遭遇時以外はアビ使用を控え、ナイフによる近接攻撃で対処。

奇襲は敵の死角から攻撃範囲まで接近し、タイミングを合わせた遠距離攻撃でボート強奪。

船上では体にロープを絡め捕虜のフリをして接近し、速やかにクルーザーへ乗り込む。
※イグニッション済み。武器は服の下に隠す。
攻撃を受けたら即座に反撃に移る。
真っ先に操舵室へ向かい、篠宮の警護兼サポートとして敵の露払いをするぜ。
船は横波に弱いし横からの奇襲に備えておくか。
沈められたら元も子もない。
もし戦闘で一部が破損したら機械修理技能で応急処置をするぜ。
携帯の電源は入れておき、電波が繋がり次第、銀誓館へ連絡を入れる。

【戦闘】
優先順は、ビースト>リリス>他
奇襲時よりスピードスケッチを主に、複数の敵が居て限界が掛らなければパラノイアペーパーを使用。
対ビースト時は中心に紫堂を置き、そのBS回復範囲内で各自バラけて行動。
デブビーストが現れたら、予め匂いが漏れないよう袋に詰めて置いた紗白から貰ったチョコを投げて隙を作る。
HPが半分以下になったらギンギンパワーZで回復するぜ。

最悪の場合、出来得る限り時間稼ぎをする。
あとは任せた。




<リプレイ>

●森を抜けて
「正門の巡礼士たちを指揮しているのは、ランドルフさんみたいね」
 聞き覚えのある声に篠宮・沙樹(死ノ宮ニ咲ク沙羅樹・b18858)がいう。
「派手にやってくれている間に通り抜けるぞ」
 打ち合わせをした通りに動きだす。
 既にイグニッションをし、すぐに戦闘出来る様、準備万端だ。
 通り抜けやすい場所を選ぶ。
(「島に残って加勢したいけど、連絡役も大事なんだよな。連絡終わったら、ケリつけに戻ってきてやるからな!」)
 鏡・流刃(真猫・b00137)は振り返り、本館を見上げた。
(「…聖杯、奪われちゃったけど、まだ、間に合う。…ううん、間に合わせる為に、頑張らないと、ね。…行こう、とりさん」)
 儀式を行うまでまだ時間があると、風嶺・桜花(使役ゴーストの名前はとりさん・b04465)は真シャーマンズゴースト・シャドウのとりさんをみる。
「まだ、わたしたちは負けてないよ〜! 銀誓館のみんなに、伝えないとね!」
 暗くなりがちな雰囲気を払拭するように、水原・椎奈(陽だまりの姫君・b31817)が、まだまだ大丈夫だと、出来るだけ明るい声で皆を元気づける。
「絶対諦めない」
(「笑顔だって絶やさないわ」)
 ホーリィも笑顔で応える。
「…皆、絶対、生きて帰ろう、ね」
 桜花の言葉に皆頷く。
(「最後の一人になっても、連絡が取れれば此方の勝ちです。その一人が自分でなくても」)
 不破・恭也(操り手が居なくなった操り人形・b24561)は、全員で戻るのが最善だけど、いざとなれば…と考えていた。
「この島の詳しい地図をもらえないか」
 ルーベット・アキモト(気儘勝手・b22039)は、迷ったり遠回りにならないようにと、自身の本業能力であるスーパーGPSで位置確認しつつ進めれば、無駄な時間を消費せずに済むと考え、森を少し入った本館に近い場所で守っている巡礼士に訊ねる。
「島と島の周囲の物になりますが…」
 そう言って巡礼士が取り出したのは、プリントアウトされた地図だった。
 巡礼士たちの通常時の人員配置の物らしかった。
「助かる」
 ルーベットは礼を言うと、巡礼士が頷き返すのを視界の端に捉え、静かな緊張感の中、遠くに剣戟の音を聞きながら、行動を開始した。
 陽の当たらない地面は湿気を含んで、足が僅かに沈み込む。
 本館の正門にあたる側面に広がる森の中を迂回し、ナイトメアビーストたちの背後に出る予定だ。
 森はその辺りまで続いているが、細長く延びているため木々の層としては薄い。
 森の中で戦闘となれば、森の外にいるゴーストやナイトメアビーストたちに気づかれる可能性があった。
(「王子様、巡礼士の皆様、必ず助けを呼んでまいります。どうか、どうかご無事で…!」)
 紫堂・小夜(小学生水練忍者・b26122)は、籠城戦を始めた巡礼士と本館の一室に留まっている団十郎の事を思う。
 できるだけ敵と遭遇しないよう祈りながら、先へと急ぐ。
(「繋ぐの。笑顔、希望…そして、生命。必ず…!」)
 言葉を交わした巡礼士の人々の犠牲が少ないよう祈り、ホーリィ・ランプフィールド(インビジブルスマイル・b18301)は駆ける。
(「希望は最後まで持ち続けるわ」)
 紗白・波那(輝ける花・b51717)は、彼らなら持ち堪えてくれると信じている。
 そして揺籠の君の企みを潰して、穏やかにまた皆で一緒にシフォンケーキ食べたりして、話をしたいと思う。
(「籠城がいつまで持つか判らない。早く学園に連絡を取らなければ…待っていろよ!」)
 渡辺・拓己(中学生呪言士・b56301)自分たちを送り出す為に言った訳ではなく、団十郎も言っていたから大丈夫だと思うが、それでも出来るだけ早くするに越した事はない。
 木々という障害物がある為、視界は悪い。
 死角から飛び出してきた場合に備えて強化は済ませてある。
 ルーベットのスーパーGPSで位置を確認しつつ、十分に周囲を警戒。
 体力のある者が前衛に、使役たちは前衛や側面にあたる場所に居て貰っている。
「出会わない様にと祈っていたけど、そうはいかない様ね」
 戦闘が多ければ、それだけ時間をロスするからだ。
 沙樹は冷静さを感じさせる声音で周囲に喚起した。

 森にいるのは妖獣で、狼型が3体襲いかかってきたが、回避することなく戦う事を選択する。
 数が多ければ、被害を最小限になるよう、層の薄い所を強行突破する方針だった。
 3体なら、そう時間を掛けずとも倒せるという判断。
 とはいえ、戦っている内に他の妖獣も集まってきた場合、厄介なので1体に集中して攻撃し、倒れたら次の標的と数を減らし、こちら側の有利を保持しつつ戦闘維持する。
 眼前の敵を葬り去ると、妖獣と遭遇する事はあったが、数は少なく滞りなく倒し、森を抜ける事が出来そうだった。

●本館内
「銀誓館の方々は出発されました」
「無事に辿り着いてくれるといいが」
 戻ってきたアエアネスの言葉に王子団十郎は皆の無事を祈る。
 それから一言二言バルナバスと言葉を交わし、会議室を辞していった。
「じっとして待つのは苦手かね?」
「いつも運命予報士として送り出す側で、待つのは慣れているのだが…」
「ほう」
 興味深げに、バルナバスが団十郎を見た。
「黙っているのも気詰まりじゃろうから、話でもどうかの」
 さぁ、話をしろと催促されている様な気持ちを少し感じながらも、おじいちゃんに話をする孫の如く、団十郎は話し始めた。
 沈黙したままで居るよりは会話の成り立つ方が、気が紛れていいと思ってはいたので。

●ナイトメアビースト8人衆
 森の中を抜けると、桟橋まで続く道の出来るだけ端に出る。
 本館側へと目を向ければ、黒服達をけしかけ、ずらりと並んで偉そうに胸を反り返させている8人のナイトメアビーストの姿があった。
 後ろ姿からして、黒服の戦う様子を見ているのだろう。
 森の中を抜ける場所の近くに潜んでいた妖獣との戦闘で気づいたのか、数人が周囲を歩き回っている。
(「油断ならない状況と敵ばかりなんだが…なんかあいつ等が…やめた、気を入れ直す!」)
 ルーベットは突っ込んでやりたい衝動に駆られつつも、時間が惜しいと自身に言い聞かせた。
 皆の回復を出来るように、小夜を中心とした戦闘配置だ。
 固まらないようにばらけて戦闘行動を開始する。
 お腹が空きすぎて、樽のような身体をごろごろと地面を転がっているのは森畑一だ。
 拓己が、一の前に波那が持っていたチョコレートの包みを投げ落とす。
「わ、甘いにおいだー」
 たぷんたぷんと大きな腹を揺らして、地面にしゃがみ込み包みを拾う。
「…ビーストになってまでデブって、救いようがない、の」
 ぐさっと鋭い言葉を吐く桜花に、一はぎゅるるるると腹の音で応える。
 戦いより甘い物らしい。
 その間に、距離を詰める。
 余裕なのかバカなのか、ナイトメアビースト8人はマイペースだ。
 相手に合わせる事はないと、皆は万全の配置完了。
 後は倒すだけ。
「ちょっと、なに拾い食いしてるの!」
 攻木可憐が一をしかる。
 何故、私が拾い食いを注意しないといけないの!? と、不満顔だ。
「悪いな」
 拓己はパラノイアペーパーを周囲に飛ばし、波那が可憐の胸を夢詠の鍵と銘のあるGペンで指し、コミックマスターの本領発揮とばかりに、スピードスケッチでSDキャラの可憐を描き出す。
「あんたら邪魔よ! この残念胸! バーカバーカ!」
「なんですって!?」
 きぃっ! 可憐が地団駄を踏む。
 一の手にあるチョコレートが小さく切り裂かれ、地面に落ちた。
「あ。チョコ〜」
「拾い食いは、止めなさいって言ってるでしょ!?」
「うざい」
 一が悲しそうな声をあげるのを、黄昏峰男が嫌そうな目線で投げかける。
「名乗りをせずに攻撃を仕掛けてくるとはァ! 俺たちが怖いのかァ! 何てったってショートォ・ロンドで逝かせてやるか…ぐは!?」
 ショート・グッドモーニングが、ふはは! と高笑いをした後、もったいぶった長口上を述べている間に恭也はクレセントファングで蹴りつけた。
「お約束は守らねばならない形式美だぞォ!?」
 衝撃を受けた! とオーバーアクションでうちひしがれるショートさん。
 放っておけば、のの字を書き出しそうな勢いだ。
「お約束? そんなに付き合っている暇はないです」
「くっ」
 ばっさりと切り捨てる恭也。
 ルーベットの放ったライトニングヴァイパーがショートさんと可憐、一を巻き込み直線に奔る。
「何すんのよ!?」
 切れっぱなしの可憐に持木毛里が宥める。
「可憐ちゃん、そんなに切れないで。みんなもっふもふになるとしあわせだよ!」
「生温い、わ。ぐーちゃんに勝るもふもふなど有り得ないのです!!」
 ホーリィはさあ見なさい! と凄くイイ笑顔で、真モーラットピュアのぐーちゃんを掲げる。
「何というもふもふ具合…! そのもふもふを渡すんだ…!」
 毛里が声をあげる。
 ぐーちゃんのもふもふ具合にすっかり魅了されまくりの所をホーリィは、白銀の枝を振り上げ、炎の魔弾を撃ち出した。
「よし、こいつで墜ちろ!」
 流刃のちょっと物騒な銘のマジカルロッド、地雷探知機から炎の魔弾が弧を描いて一に着弾し、同時に真ケットシー・ガンナーのぷちりゅーの二丁拳銃が止めを刺す。
 ミストファインダーで射程を伸ばしている沙樹は、毛里に遍条と鴛魔の双剣で、黒影剣を使い、斬りつける。
 後で演技をするので、彼らの動きを追っている。
 これを真似るのか…と少し悲しい気持ちになるが、それはソレ。
「…絶対峰男は、醜いから爆破したいって思ってる、の。…間違いない、の」
「…んだと、コラ」
 桜花の言葉に沸点低すぎな峰男が、ホイホイと引っかかる。
「こいつらと一緒にするんじゃねぇよ。見ろ、この俺様の美貌!」
 うっとうしげな前髪を掻き上げ、さあ見ろと威張り気味で桜花を見る。
 突き刺さる視線。
「…格好良くない…の」
 グサリ。
「な…んだと!?」
「…この地に揺蕩う同胞よ、我が求めに応え敵を撃て!」
 ナルシストな分、否定されるのはかなりのショックらしく、峰男は身体を揺らす。
 続けて、その身体に桜花の放った雑霊弾が衝撃を与えた。
「後ろでブルブルしてるなんて、いかにも雑魚なのです」
 黒服たちを戦いに行かせ、その様子を後ろで見ているなんて、と小夜は可哀想な人を見るような目線を投げかける。
「雑魚…!? ねーちゃん、雑魚っていったよ、このこ!」
 上半身のつやつやボディを晒す攻木亜蓮が、小夜を指さした。
「うるさぁーい! やっつけてしまえば、静かになるわよ!」
 可憐が段々荒れてきている。
 小夜は水刃手裏剣を投げつけ、ダメージを重ねているショートさんに当てる。
 良い具合にさっくりと刺さった。
「痛いィ!」
「ゴーレムの方が、あんなのより、ずっとたくましいよね〜!」
 椎奈の視線の先にいるのは亜蓮だ。
「ねーちゃん、ねーちゃん!」
 存在を全否定された様な気持ちになったのか、亜蓮が涙目だ。
「黙りなさいよ!」
「邪魔はさせないよ〜! やっつけちゃえ、ゴーレム!」
 真フランケンシュタインBのゴーレムが椎奈の号令を受けて勢いよく、サンダーブラストを放った。
「黒い胸板ー!」
 亜蓮はゴーレムの攻撃を受けて傷つく自分にショックを受けている。
 そこに椎奈は遠慮無く雑霊弾で衝撃を与えた。
 急いでいるので皆、かなり容赦ない。
「く、なかなかやるなァ! 俺たちィのショートォ・ロンドを食らえィ!」
 ショートさんの号令で全員同じ攻撃を仕掛けて来る。
「シ」
「ョ」
「ー」
「ト」
「ォ」
「ロ」
「ン」
『ド』
 一は倒れているので欠番。
 でも昇天してる所から電波受信。
 主にナイトメアビーストたちの心の中で。
 皆の心の中で思ったのは屹度同じ。
(「凄く…面倒な敵…。戦力とかじゃなくて、性格のうざさ加減で」)
 悪夢爆弾より良いかなと思ったが、口上を述べつつ仕掛けてくるのでうっとうしい事この上ない。
 もう一度聞くのはイヤだと思った一同は、集中力が増し精度も上がったのか、ばしばしと攻撃を当てて数を半分に減らす。
 その間にも傷ついた分は、その都度回復して動きに支障がないように保つ。
「…ゆりゆりのどこがいいか、理解に苦しむ、の」
「ゆり姫さまの美しさが分からないとは、愚か者め…!」
 峰男は、乱暴に言い捨てると倒れた。
 更に半分に減ると、比較的静かだった面々が残り、戦いらしい状況下で仕掛け合うのは、どこか清々しい。
 五月蠅い面々が居なくなると、有木あきらや赤樹川紅水の勢いが無くなり、集中攻撃を受け、一気に頽れた。
 負け方もあっけない面々だった。

●電光石火
 桟橋に何艘かのボートが動かし易く、陸側に向いている。
 桟橋のボート管理用の小さな小屋の中や周辺にリビングデッドは居た。
 襲う相手も居ない為に、かなりのんびりだ。
 湖側を向いているのは、湖上にあるクルーザーでリリスたちが遊んでいる様子をぼーっと眺めているからだろう。
 島には本館にしかゴーストにとって敵は居ない訳で、ハッキリ言って何もする事が無い。
 警戒する相手も居ない為に、注意力散漫になっている分、襲いやすいといえた。
 沙樹がどのボートにするか選ぶと、目線で頷きあい速攻で制圧に掛かる。
 視界に入らないように身をかがめながら走り、小屋に近づく。
 小屋の中にいるリビングデッドは拓己と波那がスピードスケッチで攻撃を仕掛け、その中を恭也とルーベットが傍を抜けクレセントファングを食らわせる。
 これで小屋の中にいるリビングデッドは倒した。
 沙樹はボートの運転席に飛び乗り、流刃がロープを解いて準備を手伝う。
 勿論、周囲への警戒を忘れない。
「いけるか」
「ええ」
 残るは、湖側でぼーっと佇んでいた2体。
 距離的には乗り込んでいる時に追いつかれそうだと判断すると、ホーリィは炎の魔弾を撃ち込み、先制攻撃。
 小夜は水刃手裏剣を打ち込み、続けて桜花と椎奈が雑霊弾で衝撃を当てた。
 追いつかれそうなリビングデッドはこれくらいかと思った時、のそのそと騒ぎに気づいたリビングデッドが集まりだした。
 中にはやたらとフットワークの高いリビングデッドもいる。
 追いかけっこの開始だ。

●島を離れて
「急げ!」
 流刃が仲間を呼ぶ。
「行こう!」
 とりさんとゴーレムには全員がボートに乗り込むまで、リビングデッドが追いついて来て行動阻害された時の壁役として殿について貰う。
「動かせそうですか」
「ええ、いけそうよ」
 恭也の言葉に沙樹が応える。
 制服は少し目立つので、周囲から判別しにくいように内側になるように乗り込む。
 船の縁に近い所にくっついてるのはとりさん。海棲生物のゴーストや、追いついてきたゴーストを弾き飛ばして貰う為だ。
「問題は明らかに定員オーバーだからさっさとクルーザーに乗り換えないと、追いつかれるって事だ」
「と言う事で、次の準備よろしくね!」
「…頑張る」
「ナビゲートお願い」
 沙樹がボートのエンジンを掛ける。
「ああ、任せてくれ」
 ルーベットが巡礼士に貰った地図を手に、スーパーGPSで確認する。
「行くわ。振り落とされないように確りと掴まっていて」
 スピードは最初出にくかったが、距離を進めば安定したスピードが出た。

 段々と島が小さくなる。
(「今回は退くが、これ以上、好きなようにさせるかっての」)
 流刃は島にいる巡礼士の人々、そして団十郎の無事を願い、次に島へ上陸する時には蹴散らしてやると決意して、島を見送った。

●一芝居打ちます
「乗っている数の少ないのは…、あの端のクルーザーですね」
 小夜が他の船より離れているのを指す。
 椎奈はゴーレムとゴースト合体し、ぐーちゃんはホーリィの服の中に隠れている。
 その間に流刃は後ろ手にされ、ロープでぐるぐる巻きにされていた。
 イグニッションは解いている。ロープ自体は、後ろ手で流刃が上手く持って居るだけだ。すぐに行動に移れる様に。
 小夜と拓己、ルーベットも同様にロープを巻かれている、

「おぉ〜いィ!」
 滑らかな運転でクルーザーに横付けすると、船体についた梯子にロープを括り付ける。
 ゴーレムは合体を解いて、とりさんと一緒に湖面すれすれに潜って隠れている。
「歯向かわないようボコってんで、引き上げ頼むわ」
 口を布で塞がれた流刃を示す。
 仕草は先程戦ったナイトメアビーストのショートさん他の口調を真似る。
「あらぁ、美味しそうね」
「…!」
 何か言おうと流刃が演技して反抗的な態度を取る。すかさず沙樹が殴りつけると、おとなしくなった。
「貴様ら! 後で必ず聖杯を取り返し退治してやる!!」
 ルーベットが反抗的な台詞で煽る。
「何て反抗的なのかしら」
「ホントね。食べても良いかしら」
「かしら」
「小さいのが良いわ」
 よく似た容姿のリリスが3体、覗き込んで舌なめずりをする。
「乗せて良いわよ」
 島や周辺にゴーストが多く、リリスは能力者だと判別出来ないのか、それとも仲間のナイトメアビーストとでも思っているのか、気軽に言う。
 捕虜と言っても、食べてしまった場合には、食べちゃった♪ で終わりなのだろう。
 捕虜を1人につき1人が担当して、クルーザーに乗り込む。
 4人の捕虜役、流刃と拓己、小夜とルーベットがロープを放し、流刃はイグニッションする。
 沙樹は、クルーザーの操縦をすべく運転席に向かう。拓己も邪魔が入らない様に露払いの為に同行する。
 その間に残りの仲間が乗り込み、とりさんとゴーレムも戦闘に加わる。
 小夜は停泊して下ろしているボートの船底を水刃手裏剣で穴をあけて使えない様にし、錨の鎖はホーリィが切り落とした。
「な、なによう!」
「捕虜を解放しろだなんて言ってないー!」
「面倒じゃない、捕まえるの!」
「それとも苛められたいのかしら?」
「残念、苛められるのはそっちだ」
 演技とはいえ、殴られた分はそっちに八つ当たりだと、流刃がとてもイイ笑顔で言い放った。
 リリスの身体を湖に突き落とし、出発した。

●湖上チェイス
「わ、わ、一杯くるよー!」
 椎奈が雑霊弾を飛ばしていう。
「大丈夫、振り切るまで頑張れば大丈夫!」
 ホーリィは炎の魔弾でリビングデッドにあてて、ポジティブに返す。
 攻撃範囲内に入った者には全て攻撃を仕掛けていく。
 一艘のクルーザーを機動力の高いボートが追いかけている。
 停泊していたクルーザーは動かすのが面倒だったのか、追いかけてくる数は少ない。
 沙樹がクルーザーを動かして、その周囲を守る様に皆が左右に展開する。
 とりさんは船外から乗り込もうとするゴーストを突き落とし、桜花は雑霊弾で操縦者を狙う。
 ゴーレムは、追いついてきたリビングデッドの乗り込んだボートに、サンダーブラストを放つ。
 徐々にクルーザーのスピードが上がっていく。
 取り付いてなかなか落ちないのは、小夜が爆水掌で吹き飛ばす。
 ぐーちゃんは可愛い仕草で傷ついた仲間の傷を癒してまわっている。
 ぷちりゅーはボートやクルーザーの運転席に居るゴーストを撃ち抜き、追っ手の数を減らしに掛かる。
 数が多く乗っているボートには、恭也が地獄の叫びで攻撃する。
 回るような忙しさとは、こういう事をいうのだろう。
 沙樹は出せる速度一杯まで出し、追いかけてきていたボートを振り切った。
 続くのは水の白い泡。
「見えた!」
 ルーベットの誘導で最短ルートを進み、桟橋にクルーザーを横付けし、小夜と波那が飛び降りた。

 残りのメンバーが追いつく中、小夜が銀誓館学園に繋がる電話番号をコールする。
(「お願い、早く助けにきて!」)
 繋がるまでのコール音がもどかしい。
 1回。
 2回。
 ぷつん。
 止むコール音。
 応えるのは落ち着いた声。
「繋がりました!」
 小夜の声に、波那が笑顔で応え、皆の方へと振り返る。
 その笑顔を受けた皆の顔が達成感で満たされようとした時、波那の顔は唐突に強張った。
「え……何、あれ」
 彼女の視線を追って振り返った皆の視線は、琵琶湖の中央へと吸い寄せられる。そこでは、天へと向けてそそり立つ、巨大な建造物が築き上げられようとしていた。
「聖杯の、塔……」
 誰かが呟く。
 湖面に威容を映してそびえ建つ、巨大な塔。
 それが揺籠の君の勢力によって築かれたことを、疑う者は誰もいなかった。


マスター:東城エリ 紹介ページ
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いまいち
参加者:10人
作成日:2010/03/19
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