「大相撲春場所5日目」(18日、大阪府立体育会館)
関取で最も身長が低い、自称166センチの磋牙司が、190センチの隠岐の海との新入幕対決に完勝。3日目から3連勝で、4勝目を挙げた。幕内史上最小力士が、次々と“巨人”を打ち倒し、春の大阪に旋風を巻き起こす。横綱白鵬は稀勢の里をはたき込みで退け、無傷5連勝。大関とりがかかる把瑠都も若の里を寄り倒し、5勝目を挙げた。全勝は大関日馬富士と琴奨菊、時天空の5人。
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こん身の攻めで、新入幕対決を制した。自称166センチの磋牙司が、190センチの隠岐の海を圧倒。低く鋭い立ち合いで頭から飛び込み、右でおっつけながら一気に土俵際まで押し込む。休むことなく下から下から攻め続け、相手に何もさせないまま押し出した。
隠岐の海は同じ新入幕だが、長身のうえに顔立ちも端正で、早くも抜群の人気を誇っている。一方の磋牙司は身長は低く、頭髪も心もとない。新入幕対決には「そんなことを気にしているようでは相撲が駄目になる」と無関心を装ったが、「(相手が)イケメンなのは気になりましたね」とニヤリ。今場所一番の快勝に、軽口も飛び出した。
これで序盤戦を終え、4勝1敗の好成績。「内容は悪くない。上出来です。初日、2日目はあれだったけど、いい内容が3番続いている。相手の方が体は大きいから、気合負けしないように自信を持ってやんないと」と闘志は十分。春の土俵に“小兵旋風”を巻き起こすつもりだ。
準備も怠りはない。横綱白鵬の体をケアする執行稔トレーナーと、今場所から契約した。執行トレーナーは「体が小さいから体がどうしても硬くなるので、それをほぐしています」と説明。この日も取組後に首の後ろを重点的にもみほぐしてもらい、「首がすごく凝るんです。立ち合いで頭から当たる影響だと思う。(薄い)髪からきているっていう話もあります」と笑わせた。
体は絶好調。口も滑らか。関取一小さい磋牙司が、徐々にその存在感を大きくしている。