無事を祈る家族の願いは届かなかった--。福岡市西区の能古島で見つかった切断遺体は、6日から行方不明となっていた同市博多区の会社員、諸賀礼子さん(32)だった。インターネットの交流サイトに、仕事や結婚への希望をつづっていた。「人生これからという時にひど過ぎる」。家族や知人らは涙と怒りをにじませた。【江田将宏、三木陽介】
「初めての家族旅行。父さんの退職・還暦祝いを兼ねて家族が集合しました。母さんが心配なので横で皆の帰りを待っています。一番上の姉ちゃんは大変ですよ。二人とも長生きして下さい」
インターネットの交流サイト「ミクシィ」の諸賀さんの日記。会社では「何かにつけて幹事を任せられる」。面倒見がよく、周囲から慕われていた様子がうかがえる。
婚期を占ってもらった記述もあり「私はいつ結婚するんでしょうか……。35かなぁ、でも見合いをしたらすぐ結婚するよ。仕事と婚活に頑張るぞお」。笑顔やハートの絵文字が並ぶ。
同サイトに掲載されたプロフィルによると、諸賀さんは福岡県出身で地元高校を出た後、鹿児島大に進学。医薬・医療品卸売会社で勤めていた。
一方、悲報を受け、福岡県那珂川町の実家には16日、親族らが集まった。若い女性は泣きながら親族らを迎え入れていた。家から出てきた男性は「何も言えないし、何も分からない」。近所の女性は「頭がよく、まじめでしっかりした子。よくあいさつしてくれた」。「ニュースをみて同姓同名の別人であればと思ったが……」と悲しんだ。
ミクシィには昨年12月、11月の交通事故で相手ともめ、弁護士を立てたことが書かれている。日記は2月27日を最後に途絶えた。諸賀さんの身に何があったのか。県警はトラブルがなかったかなど調べを進めている。
毎日新聞 2010年3月17日 西部朝刊