福岡市の能古島で同市博多区堅粕、会社員、諸賀礼子さん(32)の切断遺体が見つかった事件で、諸賀さんが6日に自宅から不明となった直後から、携帯電話が不通になっていたことが分かった。県警は何者かが諸賀さんを連れ去るなどした後、追跡を妨げるため電源を切るなどして通話不能にした可能性があるとみて調べている。
捜査関係者などによると、諸賀さんは6日にゴルフコンペに参加予定で、会社の同僚が午前5時ごろ自宅に迎えに行ったが姿を見せなかった。同日午後3時ごろ、同僚が再び訪問したが応答がなく、携帯も通じなかった。7日も同様だったため、同僚らが警察に届け出た。
部屋は施錠されていたが、ガラスが内側から割れていた。財布が残され、駐車場には車もあった。近所の住人が言い争う声を聞いたとの情報もあるという。
諸賀さんは5日に会社から帰宅したところまで確認されており、県警は帰宅後に連れ去られるなどトラブルに巻き込まれたとみて、足取りなどを調べている。
県警は17日も、引き続き能古島で遺体のほかの部位の捜索を続けている。
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諸賀さんが勤めていた福岡市の医薬品卸売会社は17日、取材に応じ「女性営業員の第1号で、将来は幹部候補として嘱望されていた」と惜しんだ。約30件の医療機関を担当し、営業成績も優秀だったという。
諸賀さんはインターネットの交流サイトに交通事故を巡るトラブルを書いていたが、同僚らは知らなかったという。諸賀さんは「将来、もっと責任ある仕事をしたい」と周囲に話していた。同社は「非常に憤りを感じている。犯人を絶対に許すことはできない。いち早い逮捕を強く願っている」とコメントした。【島田信幸、金秀蓮、近松仁太郎】
2010年3月17日