今までにいただいたご質問と回答
2009年 2月分
【質問1】
産経新聞の記事によると、日本に不利になりかねない立札が近く競売されるようだが、韓国側にわたらないよう、島根県が一般から募金を集め、入札に参加してはどうか。(同様の意見数件あり)
<回答>
ご意見ありがとうございます。ご指摘の高札は、今津屋八右衛門の事件を契機として、天保8年(1837年)、幕府が当時竹島と呼ばれた鬱陵島への渡海禁止を周知するため、全国に掲出した高札の一つです。浜田藩の今津屋八右衛門等が処罰された天保竹島一件については「杉原通信」第12回をご参照ください。島根県の浜田市歴史資料館にも同様の高札が所蔵されています。
江戸時代に鬱陵島が日本では竹島と呼ばれ、現在の竹島は松島と呼ばれていたことは周知のことであり、この高札にある「竹島」は鬱陵島のことなので、この高札が韓国に渡ることで、竹島の領有権問題に関し、日本側が不利になることはありません。したがって、島根県としては、今回の入札に参加することは考えておりません。
なお、一般に島根県竹島資料室では竹島問題に関係する資料の収集に努めていますが、その予算は僅少であり、皆様方のご厚意による資料の提供、寄託等を呼びかけている次第です。また、ふるさと納税制度を活用し、竹島の領土権の確立に関する事業への寄附をお願いしております。今後この寄附金の活用により、いろいろな資料の購入が可能となることも考えられます。皆様方のご協力をお願いいたします。(事務局:総務課)
【質問2】
1.韓国が日本による竹島編入を知ったのは1906年に島根県の竹島視察団が鬱島郡守に知らせたのが最初で、その時点で韓国政府は日本により外交権を奪われており、抗議できなかったとする主張があるが、韓国が竹島編入を知ったのはいつか。
2.李承晩ラインが引かれる前のマッカーサーライン時代にも数十隻の日本船が拿捕され、その後の韓国側の拿捕もマッカーサーラインの継承で、竹島周辺では一隻の日本船も拿捕されていないとする主張があるが、これは事実か。
<回答>
1について : 明治38年(1905年)1月の閣議決定による竹島の領土編入は、同年2月に島根県知事によって告示され、山陰地方の新聞にも載りましたが、韓国が知ったのは御質問にあるとおり1906年に島根県の調査団が竹島を視察した際、鬱陵島に立ち寄って伝えた時だとされています。ただし、外交権を奪われていて抗議できなかったという主張については、2008年7月分の質問回答2を御参照ください。
2について : 李承晩ライン規制によって竹島周辺で日本漁船が拿捕された例は無いか、あっても1隻だろうという研究があります(福原裕二「竹島の誤解を解く」『リポート21』19年度(島根県立大学)p.79)。しかし、李ラインがマッカーサーラインの「承継」だという議論は、李ラインや日本漁船拿捕の違法性の言い訳にはなりません。マッカーサーラインは占領下で日本船が個別の許可を得なくても航行できる範囲を定めた占領当局の指令であって平和条約の発効(占領の終了)に先立ち、昭和27年(1952年)4月に廃止されました。その前年の1951年7月に韓国の駐米大使が、平和条約草案を修正してマッカーサーラインが存続する旨の規定を設けるようアメリカに要求し、拒絶されました。公海上に一方的に線引きをして他国の船舶を拿捕することは国際法違反であることが明白であり、占領当局の措置であるマッカーサーラインの「継続」だという話も、法的に無意味であるだけでなく、事実にも反します。(事務局:総務課)
【質問3】
ロシアの国立図書館に、1889年のコルベット艦Vitjazによる鬱陵島の詳細図があるようだ。この地図中になにか竹島が韓国領土でないことを更に裏づけるような情報は無いのか。また、1902年にアメリカの戦艦New Yorkが竹島を測量しているが、その頃の航海日誌などはないのか。1857年のロシアの朝鮮東岸図はPallada号の測量結果に拠ったものだが、Pallada号の航海日誌などは調べているか。
<回答>
貴重な情報をありがとうございます。パルラダ号の航海日誌は、ロシア海軍発行の雑誌『モルスコイ・ズボルニク』15巻1号(1855年)に掲載されたものが日本海軍水路部発行の『水路雑誌』8号(明治16年7月)に翻訳紹介されています。竹島に関する記述もあります。『モルスコイ・ズボルニク』誌は、マイクロフィッシュで復刻されており国内の図書館にも所蔵があるようですが、Web竹島問題研究所ではまだ確認しておりません。同誌には丹念に見ていけばほかにも関連記事が載っている可能性があります。ロシア国立図書館の地図、アメリカ軍艦の航海日誌の調査を含め、今後の課題とさせていただきます。(事務局:総務課)
【質問4】
野口保興著『韓国南満州』明治43年刊の1ページに、韓国の東極について、「130度30分チャンバー地名辞典」という記述がある。チャンバー地名辞典とは何か教えてほしい。
<回答>
Chambersはロンドンの有名な出版社名なので、この出版社の出した辞典によるという意味でしょう。例えば、『Chambers' encyclopaedia』新版 第3巻 1889年 p.476 Corea の項には、「アジア東岸の王国で半島を成し北緯34度30分から43度、東経124度30分から130度30分にわたる」云々とあります。ただし、この記述は朝鮮半島についてであって島嶼を含んでいないと考えられます。済州島も範囲外です。(事務局:総務課)
【質問5】
民放テレビで、内閣府の北方領土CMを見た。同じ要領で竹島のCMもきちんと流すよう内閣府に主張すべきである。
<回答>
ご意見ありがとうございます。ご覧になったCMは、政府公報テレビ番組のスポットCM北方領土問題「私たちにできること」篇ではないかと思います。
この番組は北方領土問題の広報・啓発を担当する内閣府の「北方対策本部」が内閣府の政府広報担当部局に依頼して作成、放送されたものだと承知しています。毎年2月7日は国が定める「北方領土の日」であり、北方領土返還運動全国強調月間である2月と8月を中心にこのような啓発活動を行っているようです。
しかし、竹島問題については、政府に北方領土問題のような広報・啓発を担当する組織がなく、CMのような啓発活動は行われていません。島根県は、国に対し、竹島問題の広報啓発活動を所管する組織を設置し、この組織を中心に「竹島の日」の制定や広報啓発活動を積極的に行うよう繰り返し要望しております。今後はこのことをより強力に要望していくこととしておりますので、ご理解願います。(事務局:総務課)
(参考)国への要望 竹島の領土権の早期確立について
【質問6】
大人になってから竹島問題を知ったが、このような日本にとって大事なことは、島根県のみならず、全国的に知らせてなくてはならない。日本ももっと子どものうちからきちんとした歴史認識を持たせるべきであり、歴史や現況を周知させることで、少しでも進展があればと思う。島根県だけの問題ではなく、日本国民全員の問題だ。(同様の意見あり)
<回答>
ご意見ありがとうございます。ご指摘のとおり、学校教育において竹島問題を取り上げ、子どもたちにこの問題を正しく理解させることは極めて重要であります。
そうしたことから、島根県は国に対し、文部科学省が定める学習指導要領に北方領土と同様に竹島問題を記述し、学校の授業で取り上げるよう指導することを要望してまいりました。昨年改訂された中学校学習指導要領解説社会編に竹島が明記され、新学習指導要領が完全実施される平成24年度以降は、全国の中学校の社会科の授業において竹島問題を学ぶことになります。
先に公表された、新しい高等学校学習指導要領では「竹島に関する記述」は見送られました。島根県としては、中学校と同様学習指導要領解説に記述されるよう取り組むとともに、学校教育において、竹島問題が積極的に取り上げられるよう、今後とも国に対して強く要望していきます。
なお、島根県内の小、中学校では、来年度から全国に先駆けて、充実した竹島問題の学習を実施することとしており、今年度作成する竹島学習副教材を授業で活用する予定にしております。(事務局:総務課)
(参考)国への要望 竹島の領土権の早期確立について
【質問7】
Web竹島問題研究所の「県内外の動き・報道情報」サイトを見たが、どうも国内への対応のみで海外への広報が不十分だ。島根県は対外活動を外務省任せにせず、例えば韓国の主張を採用した第三国の機関に対し、外務省ウェブサイトをプリントアウトして送付し改善を求める等の活動を行うべきではないか。正当な主張でも外国に聞こえなければ埋もれてしまう。
<回答>
ご意見ありがとうございます。ご指摘のとおり、海外に向けての情報発信は重要であると考えておりますが、県にできることには限界があります。今後とも政府が外国に向けた情報発信、啓発活動を強化することを期待したいと思います。
なお、外務省は昨年末パンフレット「竹島問題を理解するための10のポイント」を10か国語に翻訳し、海外への広報に活用しているようです。(事務局:総務課)
【質問8】
2月22日の竹島の日第4回記念式典は県民会館の中ホールで開催されたが、来年からは大ホールでの開催をお願いする。竹島のキャラクターの全国での募集などはどうか。県職員向けの研修等は実施されているか。市役所(役場)や県の出先機関へ行ってもパンフレットの設置もポスターの掲示もあまり見かけないが、積極的に広報しているのか。
<回答>
ご意見ありがとうございます。「竹島の日」記念行事の今後のあり方については多角的に検討してまいりたいと考えております。また、職員への研修や啓発活動についてもご意見のありましたことを踏まえ、強化してまいります。なお、今年度作成する竹島問題啓発用のDVDを多方面に配布し、広報啓発に活用することを考えております。(事務局:総務課)