福岡・女性遺体事件 捜査本部、被害者の携帯電話履歴や防犯カメラなどの調べ進める
福岡市西区の能古島(のこのしま)で女性の遺体の一部が見つかった事件で、捜査本部は、被害者の携帯電話の履歴や防犯カメラの解析などから、犯人特定への糸口を探っている。
グレーのスーツ姿で右手にマイクを握り、カラオケを楽しむ諸賀礼子さん(32)。
2008年に取引先との忘年会の席で撮影された写真で、諸賀さんは、穏やかな笑みを見せていた。
諸賀さんを知る取引先の人は、「性格は明るいというか。それと、性格には入らないけど、お酒とか、そういうのは非常に強かった」、「彼女が声をかけると、何人か人間が集まって来るというか、そういう場面がありましたね。そういうところでは、なんか、彼女に頼んでおけば、頼りになるかなっていう」と話した。
医療品販売会社に勤め、営業先での評価も高かったという諸賀さんの遺体の一部が、博多湾に浮かぶ能古島で見つかってから、18日で3日となる。
諸賀さんの自宅アパート前には、花が手向けられていた。
18日、諸賀さんが1人暮らしをしていたアパートでは、現場検証が行われた。
室内に争った形跡はなかった一方、窓が内側から割れていた。
これは、倒れたゴルフバッグが当たったことが原因だとわかった。
諸賀さんの身に何が起きたのか。
近所の人は「金曜日(5日)の夜7時ごろ。(どういう音が?)叫び声やろ。(女性の?)うん」と話した。
失跡直前の4日ごろから5日にかけての2日間にわたり、諸賀さんのアパートから、女性を引きとめる男性の怒鳴り声がするのを、近所の住民が聞いている。
元滋賀県警本部鑑識課の坂本啓一氏は「もし、ここで気絶させたりとか、意識不明の状態で運び出すとなると、周りの環境を見てほしいです。こんな状況で、どこから見られているかわからないという状況の中で、はたしてそれができるのかどうか。グタってなったいるものを担いでいったりなんかしたら、すぐに目につきますよ。そういうリスクは普通、犯人は負わないですよ」と語った。
捜査本部では、自宅の状況などから、犯人は諸賀さん死亡後、自宅以外の場所で遺体を切断したものとみている。
また、諸賀さんの銀行口座を調べたところ、行方不明後も100万円以上ある預金から現金が引き出された形跡はなく、財布も室内に残され、カード類も盗まれていなかったという。
元滋賀県警本部鑑識課の坂本啓一氏は「何らかの形で、やっぱり一緒に出たか、もしくは呼び出されたとか、というのが自然なんですね。女性ですから、夜ですから、まったく知らない人に呼び出されるわけないでしょう。そうすると、知人の関係とか、面識のある人間という形になってきますから、(犯人は)絞られてきますよね」と語った。
自宅からは、諸賀さんの個人用の携帯電話がなくなっており、行方不明後は、電源が切られた状態が続いているという。
元滋賀県警本部鑑識課の坂本啓一氏は「普通は、仕事やっているとよくわかりますけども、会社の(携帯電話)は、いつ電話があるかはわかりませんから、会社の(携帯)電話も、個人の(携帯)電話も持っている。でも、個人の携帯(電話)だけがなくなった。そうすると、個人の携帯電話の中に、犯人につながる情報があったんじゃないかと」と語った。
警察は、通話履歴についても調べを進めている。
はたして、失跡前に聞こえたという男女の口論は、事件へとつながるトラブルだったのか。
諸賀さんを知る取引先の人は「性格的に、おっとりしているといえば、おっとりしているんですかね。すましたようなところはない。(将来の目標や夢は?)『会社で上を目指していた』のではないか。結婚したから(会社を)すぐ辞めるとか、そういう腰掛け的な勤務態度じゃなかった気がします。負けん気も強かったのでは」と語った。
捜査本部では、諸賀さんが行方不明になった前後の自宅周辺の防犯カメラを調べ、何者かが諸賀さんを連れ出すなどしていないか、解析を急いでいる。
(03/18 17:55 テレビ西日本)