福岡市西区の能古島で会社員諸賀礼子さん(32)の遺体の一部が見つかった事件で、諸賀さんが私用の携帯電話以外、ほぼ何も持たない状態で行方不明になっていたことが18日、捜査関係者への取材で分かった。福岡県警は、諸賀さんが自宅に招き入れたり、急に近くに呼び出されたりするなど顔見知りによる犯行との見方を強め、周辺捜査を進めている。
捜査関係者や勤務先の医薬品卸会社によると、諸賀さんは勤務先を出た5日午後7時から、ゴルフのため同僚が自宅を訪ねた翌6日午前5時までの間に行方不明になった。通勤に使っていたマイカーは自宅マンション駐車場にあり、車の鍵も自室にあったことから、いったん帰宅した後、行方が分からなくなったとみられる。
県警が室内を調べたところ、諸賀さんが普段、持ち歩いている仕事用の携帯電話やバッグ、現金数万円入りの財布、キャッシュカードなどは自宅に残されたままだった。見当たらないのは私用の携帯電話や自宅の鍵程度で、県警は、諸賀さんが買い物や食事などで外出しているときに、トラブルに巻き込まれた可能性は低いとみている。
県警によると、割れていた諸賀さん宅のベランダの窓ガラスは、破片などから室内側から割られていたことが分かっている。自宅はオートロックのマンション2階で、面識のない人間が室内に押し入った可能性も低いとみられている。
近くの住民によると、諸賀さんが行方不明になる直前の3日と4日の未明、諸賀さんのマンションから男女が言い争う声がしたといい、県警は事件との関連を調べている。
=2010/03/18付 西日本新聞夕刊=