改憲問題、「その時々の政治的要請で憲法を変えるのは危険性あり」＝大阪大学大学院准教授、木戸衛一氏

「市民の意見30・関西」（世話人：北川靖一郎氏）は18日、大阪市立弁天町市民学習センターで、「市民の意見30・関西」特別例会を開催した。この日の例会は、1931年９月18日、日本軍が、三光作戦を中国本土と本格化する契機となる行動を起こしてから76年目にあたるこの日を基点に、「改憲問題にみる　ドイツと日本」をテーマに、木戸衛一氏（大阪大学大学院准教授・日独平和フォーラム事務局長）を語り手に迎えて、市民らと共に話し合った。同会が今年、木戸氏を例会の語り手として迎えるのは、この日が3度目。

　同会世話人の北川靖一郎氏は、「世界」8月号（岩波書店）で掲載された「インタビュー　民主主義を殺さぬために　「ワイマール体制」崩壊の前夜から　小田実」というタイトルの記事のコピーを参加者らに配布し、ワイマール体制についての故小田実氏の考え方を参加者らに示した。

　木戸氏は、日本とドイツの比較の視座として、１）加害者の追及、被害者の救済、懲罰・教育などでの再発防止、２）不戦共同体、３）対イラク侵略戦争に対する両国の態度、４）戦後政治のありようや国際環境などを上げ、それぞれについての実態・実情を話した。

　その上で、木戸氏は、ワイマール共和国は、世界で最も先進的な憲法をもった国だと話し、「ドイツの憲法『基本法』は制定後、現在までに50回以上変えられている」「基本法の変更で、『連邦議会議員の3分の２、および連邦参議院の表決数の3分の２の同意を必要（79条の2項）』と明記された」「基本法の根本原理の堅持として、『連邦の州への編成、立法の際における諸州の原則的協力、または第1条および第20条にかかげられた基本原則に影響をおよぼすようなこの基本法の変更は許されない。（79条の3項）』と明記されている。」「第１条とは、『人間の尊厳、不可侵の譲渡できない人権、基本権の尊重』で、第20条とは、『民主的・社会的な連邦国家、国民主権、三権分立、法治国家』です」「つまり、第20条の国民主権を尊重するのであれば、過半数あったとしても、変えてはならないという意味で、そういう改憲はやってはいけないと書いているのです」と、ドイツの憲法について解説した。

　さらに、木戸氏は、現在、日本で検討されている改憲問題について触れた。「わが日本では、国民が許さない、政党権力のやりたい放題、そういう改憲が今進んでいます。わたしは、自民党の新憲法創案を、憲法クーデターだと思っています。改憲とは本来、憲法をよい方向に改めるという意味だと思いますが、私は、破壊の壊、「壊憲」が、今日本で進行していると思っています。」と話し、その時々の政治状況で、憲法を変えることは危険性を伴うことであることを強調した。【了】

■関連情報
ドイツのマスコミ事情、市民参加型の放送局も＝小田実氏らの集会で
「高齢者福祉の基本理念」テーマに、14日兵庫・芦屋で集会＝作家・小田実氏顧問の市民団体

ＰＪ募集中！
渡辺直子ジャーナルサイト
ＰＪ渡辺直子【刑事裁判】取材記事リンク集

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト　新納 直子