【ロンドン=土佐茂生】英国政府や議会のあり方を検証する英下院(定数646)の行政特別委員会(ライト委員長)は16日、政府に閣僚や閣外大臣ら「ミニスター」が119人もいることについて「多すぎて政府の効率性を害している。3分の1ほど減らすべきだ」と結論づける報告書を発表した。
ブラウン政権には現在、23人の閣僚(日本の大臣に相当)に加え、閣外大臣や政務次官(日本の副大臣や政務官に相当)が計119人いる。いずれも与党労働党の議員で、下院に約350人いる同党議員の3分の1が、政府に送り込まれていることになる。
こうした状況に対して報告書は、ミニスターは1900年の60人から倍増したとし、「50年代に『大きい政府』路線をとり、大英帝国を治めていた時でも約80人だった」などと指摘。さらに、ミニスターの役割を「重要な決定を行い、高いレベルの議論を行うこと」と位置づけ、「その役割に達していない人がいる。経費や効率性だけでなく、存在価値を下げないためにも、数を減らすべきだ」とした。
報告書は、政府の力が大きすぎて議会のチェック機能が低下したことも問題視している。ライト委員長は「50年代から、首相がミニスターの任命権を政治的に利用し、ミニスターの数が増えた。やることのないミニスターのために官僚が仕事を作らなければならない不条理が起きている」と指摘する声明を出した。
日本の民主党は「官僚主導の打破」を目指し英国型モデルを採り入れているが、本国では弊害が強調されている。
同委は昨年6月にも「正しい政府」と題した報告書を出し、同様の問題点を指摘していた。