邦夫、結局「はぐれ鳥」…小池にラブコールも「論外」フラれ

2010.03.17


小池百合子氏にも新党入りを打診していた邦夫氏【拡大】

 新党結成を目指し自民党に離党届を提出した鳩山邦夫元総務相が、同党の小池百合子元防衛相にも新党参加のラブコールを送っていたことが17日、分かった。日本新党から自民党まで過去5つの政党を渡り歩き、「政界渡り鳥」との異名もある小池氏だが、今回は「論外」とばかり断固拒否。与謝野馨元財務相や舛添要一前厚労相にも距離を置かれ、「政界はぐれ鳥」状態になりつつある邦夫氏だが、小池氏からは議員辞職まで勧められたという。

 衝撃の事実は、小池氏が「ecoyuri」のハンドルネームでつぶやくツイッターにこう記されていた。

 「2月に邦夫さんからお誘いがあったが、丁重にお断りした。それより『納税者にご迷惑をかけた』と(鳩山由紀夫首相と一緒に)ご兄弟でバッジを外せば、停滞する政治にカツを入れられますよ、とお勧めしたところ、『逆に説得されそうだ』と退散されました」

 邦夫氏にひじ鉄を食らわせたことを明かした小池氏のつぶやきは、さらにボルテージを上げた。

 「『坂本龍馬をやりたい…鳩山邦夫氏、新党結成意向』(読売) だから覚悟の方向が違う。議員の『身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もあれ』です。バッジと鳩山家を優先するのか、国家をとるのか。どっちですか、邦夫さん!!」

 このつぶやきは、邦夫氏が新党構想をブチ上げ始めた14日に書き込んだもの。邦夫氏は翌15日午後、自民党の大島理森幹事長との会談で追い詰められ、離党届を提出したが、小池氏のつぶやきはさらにさえる。

 「本質をおわかりではなかったみたい。邦夫さん。Too lateでToo earlyですよ」「東京中央郵便局の解体工事にからんで、邦夫さんの『トキを焼き鳥にするようなもの』発言を思いだしました。あの騒ぎには無理無理感、違和感を覚えたものです」

 元ニュースキャスターだけに、話題の取り上げ方や言葉の使い方が絶妙だが、それにしても、邦夫氏が掲げる新党構想の展望は芳しくない。

 邦夫氏は「平成の坂本龍馬」を名乗り、与謝野氏や舛添氏、平沼赳夫元経産相(無所属)らの結集・決起を模索したが、あまりにも唐突な離党騒動や、政策の擦り合わせもない新党構想ブチ上げに、いずれも距離を置きつつある。

 与謝野氏の側近で軍師の園田博之前幹事長代理は16日、「あんなやり方では、うまくいかない。連動していると疑われる。しばらく話さない方がいい」と与謝野氏に耳打ち。本会議場で軽い意見交換はしたものの、本格的な邦夫−与謝野会談は急きょ中止となった。

 舛添氏も「今は公務に専念すべき時」と取り合わず、衆院本会議場で邦夫氏に話しかけられた平沼氏は「あなた、随分とオープンにしゃべっちゃったんだね」と皮肉り、邦夫氏との会談についても「約束していない」と記者団に語った。

 「まだ、これからですよ。すべては」

 邦夫氏は16日午後、側近である自民党の河井克行衆院議員と都内の個人事務所で会談後、記者団にこう語った。新党結成には持久戦覚悟で臨む姿勢を示したが、その表情は暗い。

 河井氏のほか、自民党では岩屋毅、古川禎久、武田良太、田村憲久の各衆院議員が邦夫氏に近いとされるが、現時点で邦夫氏支持を明言した議員はいない。政界屈指の資産家であり、子分の面倒見も悪くない邦夫氏だが、展望がない離党劇にはついていけないのだ。

 自民党内では、邦夫氏を「裏切り者」として粛清する案も。

 実母から多額の資金提供を受けていた問題をめぐり、「鳩山由紀夫首相も邦夫氏も脱税疑惑は同じ。離党したから追及しやすい」(礒崎陽輔参院議員)、「兄が脱税王なら、弟も脱税王だ」(谷川秀善参院幹事長)と、国会での証人喚問を求める声すら上がった。

 政治評論家の浅川博忠氏は「邦夫氏の新党構想の裏には、『長男の太郎氏に議員バッシを着けさせたい』という思いがある。本来、新党には政策や理念が重要だが、『増税派』の与謝野氏も『上げ潮派』の舛添氏も関係なく誰にでも声をかけている。これでは、新党は相当難しい」と語る。

 「政界はぐれ鳥」となりつつある邦夫氏。野党・みんなの党の江田憲司幹事長は「邦夫氏との連携はあり得ない」といい、さらに、「自民党の断末魔の動きではないか」と混迷する自民党を切って捨てた。