派遣先企業が派遣労働者を受け入れる前に行う「事前面接」。現在禁止されていますが、これを解禁するかどうかで与党内で調整が難航していた労働者派遣法改正案について、政府は解禁を見送ることで決着しました。

　与党の党首クラスによる基本政策閣僚委員会が１７日朝、開かれました。焦点は、改正案に盛り込まれた「事前面接」の解禁。

　社民党・国民新党が「正社員として雇わないのに、労働者を選別するのは問題」として見直しを要求する一方、長妻厚生労働大臣は「審議会で労使が合意した内容」と見直しに反対していましたが・・・。

　「事前面接を可能にするという条文を削除すると決まった」（社民党党首　福島みずほ消費者担当相）

　結局、事前面接の解禁は見送られることになりましたが、実は現在も「事前面接」はその名を変えて行われています。

　「“ご面談です”と言われて、『面接』も『ご面談』も同じだと・・・」（元派遣労働者　土屋理美さん）

　去年まで大手自動車メーカーに派遣され、デザイナーとして働いていた土屋理美さん。土屋さんは派遣される前に、「ご面談」という形で派遣先の自動車メーカーの事前面接を受けたといいます。現在の法律では、雇用主ではない派遣先が派遣される労働者を選別する「事前面接」は禁止されているのですが・・・。

　「直接雇用するべきだと思う、面接するのであれば。（面接と同じ行為をしながら）企業は雇用の責任を負わないのが、派遣という働き方」（元派遣労働者　土屋理美さん）

　違法な事実上の事前面接を受けた上で派遣され働いた土屋さんでしたが、６年３か月後の去年２月に雇い止めに、土屋さんは仕事を失いました。事前面接のメリットについて、経営側は雇用のミスマッチを埋められると主張していますが・・・

　「年齢や性別、容姿、風ぼうで 選定している。“差別の温床”になっている」（労働者派遣法に詳しい棗一郎弁護士）

　今回の改正案で事前面接の解禁は見送られましたが、派遣労働者側は規制のさらなる強化を求めています。（17日16:35）